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名器OD-1とDS-1の名前を継承したスペシャル・モデルが登場

Special Interview:BOSS OD-1X&DS-1X開発チームが語る歪みエフェクトの可能性

最後に歪みサウンドのニュー・スタンダードと言えるOD-1X、DS-1Xを開発したチームにメール・インタビューを行なった。世界のエフェクター界を牽引してきたBOSSが、次世代の歪みサウンドを見据えたうえで技術を結集させた2モデルであることがここから伝わってくるだろう。

ギタリストにとって歪みは最もこだわりのエフェクトだと思います

35年以上ものエフェクター作りのノウハウと最先端の技術で、音を突き詰めていく。

──エフェクターの開発は何人でどのような分担で行なっているのですか?
OD-1X、DS-1Xの開発は、音色設計担当、回路設計担当、機構デザイン担当、製品リーダーの4人でおもに行ないました。

──OD-1X、DS-1Xの開発はいつから、どのようなコンセプトでスタートしたのですか?
昨年、最先端のDSP技術であるMDPを搭載したTE-2、MO-2、DA-2の3機種を発売しました。BOSSの新たな技術であるMDPは、非常に複雑なプログラム処理を行なっているため、音を突き詰めていくと膨大な開発時間を必要とします。TE-2、MO-2、DA-2の発表後も、さらなる可能性を求めて研究開発を続けていました。そして、開発過程においてMDPによる歪みに新たな可能性が見い出されました。この新たな可能性と、今まで培ってきた歪みのノウハウを注ぎ込み、最新のオーバードライブとディストーションを作りたい。このようなコンセプトでスタートしました。

──OD-1、DS-1の名前をつけるというアイディアはどのように生まれたのですか?
新しい技術により、長い歪みの歴史の中で、新たな時代に入ったと言える製品が完成したと自負しています。BOSSにとって○○-1は永久欠番とも言える型番ですが、その型番を使うことでこの製品への思いが最も伝わると考えました。

──OD-1、DS-1のオリジナル機を改めて検証したりしたのでしょうか?
OD-1、DS-1だけではなく、今までのBOSSの歪み製品を改めて検証しました。

回路設計、音色設計、デザインなどの専門分野が集まって開発は進められる。

──OD-1は歪んだアンプでブースターとして使用する人も多く、一方DS-1はグランジ・バンドも含めてかけっぱなしでトーン・キャラクターを作るために使用している人も多いようですね。開発の際には歪んだアンプかクリーンなアンプか、ソロのブースト用かかけっぱなしで使うのかなど、状況はどの程度想定しているのですか?
上記の状況はすべて想定しています。そのため、たくさんのアンプでの状況違いも含めて、音の調整を行ないました。アンプにはそれぞれ持ち味があるため、どの使い方が一番良いとは言い切れませんが、あらゆる使い方で試して頂けたらと思います。

──開発に際して最もこだわった点、最も困難だった部分があったら教えて下さい。
音です。音が最も大切です。弾いてみて、新しさと違いがわかる完成度でなければならない。アタック感や太さであったり、ギターやアンプが持つ良さを引き出せるような歪みであることにこだわりました。何かをイメージし過ぎると、それはすでに存在するものになってしまうので、今までのオーバードライブ/ディストーションのイメージからの脱却が最も困難でした。

──歪んでいても音の分離が良いというのは特徴のひとつだと思いますが、これを実現するうえで難しいところはどんな点でしたか?
分離のバランスです。意外かもしれませんが、分離が良ければいいというわけではないんです。コードで一緒に鳴っている複数の音が、ある程度かたまりであることも大切でして、そこが難しいところでした。

──コントロールが4つという仕様に決まったいきさつを教えて下さい。
歪み具合と音量調整は必ず使いますので2つは必須です。残りのコントロールでどうやって音を調整するかがポイントでした。シンプルさと調整の自由度の両立から4つに決まりました。

あらゆる状況を想定して、実に多くのアンプを使用してサウンドの検証を行なう。

──ハイ、ローの効きの良さも特徴だと思います。
アナログ回路では難しい動きをしています。複数のフィルターが同時に動き、そしてブースト側とカット側で違う動きをしています。ハイは、ブースト時はエッジ感の増加、カット時は甘めの音色になるような効き方をします。ローは、ブースト時はタイトさを損なわずに低音を増加し、カット時はレンジの広さを抑える効き方をします。どちらも直感的に調整ができるように設計しています。

──ノイズの少なさも特徴ですが、これを実現するうえで大変だったことはありますか。
今回の機種からではないですが、今まで行なってきたBOSSコンパクト・ペダルのさまざまな改良のひとつとして、回路設計の見直しによりノイズが低減されています。その効果を生かせたと思っています。

──DA-2から継承した部分はありますか? MDPによる歪みサウンドの最大の利点とは?
MDPの基本部分は継承しています。MDPは、歪ませていてもコードがきれいに鳴り、どのポジションで弾いても最適な歪みが得られます。それでいてレンジの広さがあります。その結果の最大の利点として、ギターやアンプの持ち味を生かして歪ませることができます。

──OD-1X、DS-1X、それぞれの歪みの違いとは?
OD-1Xはやや温か味があり、DS-1Xは攻撃的です。OD-1Xは偶数次倍音が多く含まれています。

スペシャル・モデルであるため、カラー・デザインやパーツにも非常にこだわっている。

──開発の際に他メーカーのアンプやエフェクターで意識したモデルはありますか?
歪みの音質として特に意識したモデルはありませんが、さまざまなアンプでの音を確認する中で、組み合わせとして意識したモデルはあります。

──OD-1X、DS-1X、それぞれどのようなタイプのギタリストに使ってほしいですか?
さまざまなジャンルで使える製品だと思いますので、ギタリストの皆さんに使って頂きたいです。その中でも、この製品でしか表現できない音があるので、新たな歪みを求めるギタリストにはぜひ使用していただきたいです。

──OD-1X、DS-1Xそれぞれは、ボスの歪みエフェクターのどのモデルを使っているギタリストに特に強くアピールすると思いますか?
どのモデルもキャラクターが異なるので特定のモデルはありませんが、ボス以外も含めて、ピッキング・ニュアンスを大切にする歪みをお使いのギタリストには、強くアピールできると思います。

──これからOD-1X、DS-1Xを使用したいと思っているギタリストにメッセージをお願いします。
ギタリストにとって歪みは最もこだわりのエフェクトだと思います。それゆえに感じ方も好みのセッティングもさまざまです。ぜひ弾いて、体感して頂きたいです。ここから新しい音楽ジャンルが生まれると嬉しいです。

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製品情報

◎BOSS製品に関するお問い合わせ:ローランドお客様センター

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リットーミュージック刊『ギター・マガジン』2014年4月号においても、「BOSS歪みエフェクトのニュー・スタンダード」のタイトルでOD-1X&DS-1Xを特集している。このページで取り上げた両機の解説、開発チーム・インタビューはもちろんのこと、向井秀徳(ZAZEN BOYS)、ヒラマミキオ、滝善充(9mm Parabellum Bullet)のインプレッションも掲載。必見の特集となっているぞ!

■定価:800円(本体762円+税)
■仕様:A4変型判/272ページ
■発売日:2014.3.13

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