“現代的な使用に耐える、ロックなシルバーフェイス”

シルバーフェイスのアンプ3種が待望の復刻!Fender ’68 Customアンプの発売を発表

現代の使用に耐える設計でクラシック・トーンが蘇る!日本での発売が正式に決定

日本での発売が正式に発表された“シルバーフェイス”’68 Customアンプ。

 Fender社のホームページで発表されて以来、“あのシルバーフェイス・アンプが復刻される!”と話題になっていた“’68 Custom”シリーズ。いよいよ日本での発売が正式に決定し、その全貌が明らかになった。ここでは、’68 Customシリーズ発表会の模様と、発表された3機種の魅力をレポートする。2013年11月6日、山野楽器海外事業部は、ギター・アンプ“’68 Custom”シリーズの日本発売発表会を都内Fender Showcase Tokyoで行った。会場には音楽系マスコミやディーラーが多数集まり、シルバーフェイス復刻への期待の高さが伺われた。当日発表された新製品は、次の3機種。

・’68 Custom Twin Reverb
・’68 Custom Deluxe Reverb
・’68 Custom Princeton Reverb

 85WのTwin Reverb、22WのDeluxe Reverb、12WのPrinceton Reverbと、シルバーフェイスの中でも特に人気の高い機種が、出力別にラインナップされた形だ。製品説明によると、3機種共通の特徴は次の通りだ。

・1968年スタイルのシルバーとターコイズブルーのフロントパネルを採用
・“ドリップエッジ”のグリルを採用(シルバーフェイスの中でも初期にしか見られない、フロントパネルの周りをアルミで巻いた独特な外観)
・オールチューブ回路、ハンドワイヤードチューブソケット
・オリジナル同様のチューブ駆動型スプリングリバーブとトレモロを装備
・オリジナル同様のカスタムメイド・シューマッハトランス採用
・スピーカーにはセレッションを採用

 外観やチューブ駆動のリバーブ等を再現している点はもちろん、サウンドにも影響を及ぼすトランスにも十分な配慮がなされている点は流石。本シリーズに対するフェンダーの意気込みが伝わってくる。ここで、最後の項目の「セレッション採用」という部分にひっかかった人はかなりのビンテージ・ファンだろう。なぜセレッションなのか。そこに、今回の復刻が、単なるリメイクではないポイントがある。

 実はオリジナルのシルバーフェイス・アンプは、60年代後半~70年代において、ロック系のミュージシャンからは“サウンドがクリーン過ぎる”とされていた。今回の復刻では、伝統のクリーントーンはそのままに、歪ませる場合(特にペダルで歪ませる場合)を考慮して若干の回路の見直しが行われている。つまり、“現代的な使用に耐える、ロックなシルバーフェイス”がコンセプトであり、セレッションの選択はその一つと考えてよいだろう。フェンダーからも「ストレートなブルースには’65シリーズ(ブラックフェイス)を、ロックやオルタナ系にはこの’68 Customをお薦めします」というコメントが発表されている。
 ここで、発表会の場でも紹介されたフェンダーUSA・開発担当者からのメッセージ動画をご覧いただこう。

オリジナルにはない、新しいシルバーフェイスの魅力とは?

’68 Custom Princeton Reverb

 それでは、各機種の特徴を見ていこう。
’68 Custom Princeton Reverbは、家庭での使用からレコーディングやリハーサルまで使える12Wの出力が人気の小型機。美しい外観、素晴らしい真空管トーンに加え、世界水準のFenderリバーブとビブラート・エフェクトはオリジナル通りだ。回路的にはペダルを好むモダン・プレイヤーのために、モディファイ・トーン・コントロール回路を搭載。高いトーン・フレキシビリティを実現している。またタッチ・センシティビティ向上と、オーバードライブの素早い立ち上がりを実現するため、ネガティブ・フィードバックを低減。スピーカーにはシングル10インチ Celestion® TEN30を搭載し、ロック・フレーバーを強めている。

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’68 Custom Deluxe Reverb

 ’68 Custom Deluxe Reverbは、レコーディングはもちろん、ライブでも使える22W。PAがしっかりしていれば、大会場でも使用できる。こちらも美しい外観、素晴らしい真空管トーン、そして世界水準のFenderリバーブとビブラート・エフェクトはオリジナル通りだ。本機で特筆すべきは、“カスタム”チャンネルにBassman® モディファイ・トーン・コントロール回路を搭載している点。オリジナルでは、“ノーマル”チャンネル(ボリュームとトーン・コントロールのみ。エフェクトはかからない)と、“ビブラート”チャンネル(ボリューム、トーン・コントロールと、リバーブ、トレモロ)の2チャンネルだったが、本機ではBassman® モディファイ・トーン・コントロール回路を搭載した“カスタム”チャンネルと、従来のトーンを確保した“ビンテージ”チャンネルの2チャンネル仕様。そして、両方にリバーブ・トレモロがかけられる。つまり、伝統的なデラ・リバ・サウンドに加えて、“ベースマンにリバーブをかけたサウンド”も得ることができるのだ!これは美味しい!
 回路面ではオリジナルのボリューム・ポットに付いていたブライト・キャップを外してエフェクト乗りを良くしている。スピーカーは12インチ Celestion® G12V-70。オリジナルに時々見られる“低域でスピーカーが負けてブーミーになる現象”が抑えられており、好印象だ。

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’68 Custom Twin Reverb

 ’68 Custom Twin Reverbは、ビートルズの有名な“ルーフトップ・コンサート”でも使われた、名機の復刻版。本機も美しい外観、素晴らしい真空管トーン、そして世界水準のFenderリバーブとビブラート・エフェクトはオリジナル通りだ。本機もデラックス・リバーブ同様、Bassman® モディファイ・トーン・コントロール回路を搭載した“カスタム”チャンネルと、従来のトーンを確保した“ビンテージ”チャンネルの2チャンネル仕様で、両方にリバーブ・トレモロがかけられるのがポイント。スピーカー2発でゆとりがあるTwin Reverbならではのクリスタル・クリーンに加えて、ベースマンの少しダーティなサウンドまで得られるのだからたまらない。スピーカーはデラックスと同様Celestion® G12V-70を2発。6L6の出力管(デラックスは6V6)と相まって、より余裕のあるキレのいいトーンが印象的だ。

  • モディファイ・トーン・コントロール回路を搭載した“カスタム”チャンネルを装備。

  • ’68 Custom Twin Reverbのコントロール部。

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  • 発表会当日は、これら3機種を在日ファンクのギタリスト・仰木亮彦氏が試奏。’68年製フェンダー・エスクワイヤー・2ピックアップ・モディファイドを持参し(製造年を揃えてきたところが憎い)、ソウル、ファンク系の流れるようなコード・ワークを連発して、艶やかなトーンを聞かせていた。

 3機種の発売は、2013年12月~2014年1月の予定。価格はそれぞれ’68 Custom Princeton Reverb/158,000円(+税)、’68 Custom Deluxe Reverb/175,000円(+税)、’68 Custom Twin Reverb/240,000円(+税)となっている。これだけの内容でありながら、組み込みをメキシコ・エンセナダ工場で行うことにより価格を抑えている点も魅力的だ。気になる機種については、ぜひ“商品検索”や店頭でチェックしてみて欲しい。

製品情報(フェンダー・オフィシャルサイト・ジャパン)

’68 Custom Princeton Reverb
’68 Custom Deluxe Reverb
’68 Custom Twin Reverb