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- 2024/03/22
Gibson Custom Shop / Historic Collection 1959 Les Paul Reissue 2014 VOS
話題の“ハンドセレクト”レス・ポールについての続報です。本連載第7回に続き、ハンドセレクトの魅力とVOS個体のサウンドを紹介しましょう。
レス・ポール・ファンの間ではお馴染みになりつつある“ハンドセレクト”。改めて紹介すると、ギブソン・カスタム・ファクトリーが所有する最高のトップ材を、ディーラーが直接現地に赴いて、実際に見て・触って・確認して選ぶシステムです。さらにディーラーがカラーやフィニッシュのオーダーを行うこともできるため、杢目、フィニッシュともにスペシャルな個体に仕上げられるのが最大のポイントです。
今回紹介する個体も、杢目、フィニッシュとも文句なし素晴らしい1本。もちろんサウンドも、最新のヒスコレ仕様に基づく最高のレス・ポール・サウンドです。早速、細部をチェックしていきましょう。
今回紹介するこの個体は、ボディ・トップ全体にびっしりと入った細めのタイガー・ストライプが、見る角度によっては太めの帯のようにも見える極上杢を持つギターです。特に動画ではピックアップの間、トグル・スイッチの下、右ひじが当たる辺りの下が太い帯のように見えますが、角度を変えた写真や実物では細かい杢目がはっきりと見えます。こうしたトップのレス・ポールは、90年代中期頃までのヒスコレ初期のレス・ポールに時々見られましたが、近年では珍しいもの。ハンドセレクトで選び抜かれたトップ材ならではです。
杢を活かすボディ・カラーは、『THE BEAUTY OF THE BURST』の表紙やP.92でお馴染みの、あのレス・ポール風の色合い。自然なライト・ティー・バーストという感じの、味わい深く、飽きのこない色合いです。VOS(ビンテージ・オリジナル・スペック)フィニッシュで、大切に保管されてきたビンテージのように仕上げられています。この美しいボディを全て見せるために、ピックガードはあえて取り付けられていません。もちろん付属はしているのですが、当初から取り付けない仕様でオーダーされているため、ネジ穴が開いていないのが特徴です。
サウンドに関係する部分では、アルミのストップ・バーをロング・スタッドで固定しているブリッジ周り、バンブルビー・コンデンサーを採用したコントロール部等に代表されるいわゆるヒスコレ仕様に加え、チューブレスのトラスロッドを採用、ネックや指板の接着にハイド・グルーを使った最新の仕様です。ヒスコレ史上最高と噂される鳴りは、本器でも確認することができました。
そのサウンドを、動画でチェックしていきましょう。
使用アンプ:フェンダー 68 Custom Deluxe Reverb
良いレス・ポールはどれも、ソリッド・ギターでありながらアコースティックさを感じさせる鳴り、太く豊かではあるが決してこもらずしっかりと高域が出てトレブリーだという、ある意味で相反するイメージを違和感なく融合させているのが特徴だと思います。本器もそうした特徴を有しており、例えばクリーン・トーン時にリア・ピックアップを選択した場合、“カ・キ・ク・ケ・コ”といったアタックはしっかり出るのに、決して“耳に痛い”“細い”といったニュアンスにはなりません。クリーンでも歪ませた時でも、独特のバイト感が心地よく、いつまでも弾いていたくなる感じです。
そうした“良いレス・ポール”としての基本を押さえつつ、この個体はかなりロックな音だという印象を受けました。前回の“ハンドセレクト その1”で弾いた個体が、色気のある、ブルージーなトーン(もちろんロックもいけますが……)だとすれば、本器はもう少し元気があって、音がストレートに前に出てくる印象です。ですから、動画冒頭のようなリフや、その後に続くフロントで軽くクランチさせてのカッティング(それ程上質とはいえないレス・ポールでこれをやると音が濁り過ぎます)等が、気持ちよく演奏できます。見た目がよく、音も素晴らしい、この個体。ギブソン・ファン、レス・ポール・ファンにはたまらない1本でしょう。なお、ここで試奏した個体はG-CLUB TOKYOにて取り扱っています。
※週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは毎週金曜日に更新します。次回は7月18日を予定。
価格:オープン