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  • 週刊ギブソン Weekly Gibson〜第14回

ギタマガ9月号「ES-335特集」連動! 1959 ES-335TDNを徹底チェック!

Gibson Memphis / 1959 ES-335TDN

  • 文:井戸沼尚也
  • 映像編集:雨宮透貴

ギブソン・メンフィスから精度の高いビンテージ・リイシューやシグネチャーなど素晴らしいES-335が多数リリースされ、渋好みのベテラン・プレイヤーはもちろん、ラウドなロックを奏でる若手プレイヤーも競うように335を手にするなど、今、改めてギブソンES-335に熱い視線が集まっています。ギター・マガジン9月号においても、そんなES-335を大フィーチャー! 今週はギタマガ特集の最初に紹介されているES-335の最高峰、Gibson Memphis 1959 ES-335TDNをチェックします。

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幻の名器! 1959年製ブロンド335を再現

 1958年に発売されたギブソンES-335は、現在ではセミアコの代名詞と言える名器として知られています。ジャズ、ファンク、ブルースはもちろん、ロックやポップスまで幅広いジャンルに対応できるサウンドの柔軟性と、ダブル・カッタウェイによる演奏性の良さ、そしてバランスのとれたデザインが、世代を超えたプレイヤーから支持されているわけです。

 ES-335の仕様は誕生以来、様々なマイナー・チェンジを経てきましたが、現在でも人気が高いのが“ドット”、“ロング・ガード”などとも称される最初期の仕様。その呼び名が示す通り、ポジション・マークがドットで、ピックガードはテイルピース付近まで伸びたロング・タイプを搭載、さらにカッタウェイ部分が丸みを帯びた“ミッキーマウス・イヤー”と呼ばれる形状であるなどの外見上の特徴を持っています。サウンドを決定付ける要素としては、PATENT APPLIED FOR(P.A.F./「特許申請中」の意)のデカールが付いたハムバッカー・ピックアップ、ストップ・テイルピースやザグリの少ないセンター・ブロックを採用していることがこの時期の特徴です。

 こうした仕様のES-335は、実は1958年から1960年の後期までのほんのわずかな期間しか生産されていません。その中でも特に貴重なものが、“ブロンド”と呼ばれるナチュラル仕上げの335です。1959年のブロンド335の生産数はわずか71本で、今となっては現物を目にする機会も少ない、幻とも言える名器なのです。

 Gibson Memphis 1959 ES-335TDNは、まさにこの仕様を復刻したもの。外観上の特徴は余さず再現し、サウンドについてもビンテージ・トーンを再現するために新開発されたMHSハムバッカーを搭載しています。

それでは、Gibson Memphis 1959 ES-335TDNのサウンドを動画でチェックしていきましょう。

使用アンプ:フェンダー 68 Custom Deluxe Reverb
使用シールド:ギブソン18' Purple Gibson Instrument Cable

箱モノらしいクリーンからソリッドを彷彿とさせる歪みまで

 まずはクリーン・トーンでサウンドをチェック。シールド1本でアンプにつなぎ、リバーブもほとんどかけていないのですが、フロントの音は甘く太い、335のクリーンと言えば皆が想像するあの音、そのままです。フロントではクリーンでも粘りがあって、何を弾いてもブルージーな雰囲気を醸し出すことが出来ます。そのままリアにすると、「カキクケコ」の発音が非常に良い、アタッキーな音に変わります。まるでソリッドのレス・ポールのようです。このあたりは、みっちり詰まったセンター・ブロックが関係しているようで、59仕様ならではと言えるでしょう。セレクターをセンターにすると、非常にチャキチャキした音になり、これもセミアコらしい音の一つです。このチャキチャキした音で、少し歯切れ悪く16分音符を弾くと、70年代初期のB級ファンクそのものの音になります。好きな人にはたまりませんね。

 次に歪ませてみます。バイト感はクリーンと同様で、アタックがありながらふくよかさや粘りも感じます。特にリアでは、やはりレス・ポールに近いニュアンスで鳴ります。ここではかなりクラシックなサウンドですが、オーバードライブ・ペダル等をつないで少し音を整理してやると、現代的なトラックの中でも違和感なく使用できる音になると思います。動画では、2分50秒前後のサスティンしながら表情を変えていく様子や、その後に続くピッキングの強弱で歪みのニュアンスが変わる様子から、このギターが持つポテンシャルが伺えると思います。

 ギター・マガジン9月号/ES-335特集ではFUZZY CONTROLのJUON氏が9本の335系モデルを弾き倒していますが、私見ではその中でもこの1959 ES-335TDNがトリニ・ロペス・モデルと並び、最もロックなサウンドだと思いました。やはり、太めのネックと、隙間の少ないセンター・ブロックの影響が大きいのではないかと思います。同誌はCD付で、サウンド・チェックには絶好のサンプルですので、ぜひ手に取ってみてください。

 箱モノらしいふくよかなクリーンから、ソリッドを彷彿とさせる歪みまで、どれも使える音ばかり。特にピッキングのタッチを大切にするプレイヤーには、絶対にお勧めできる素晴らしい1本です。なお、ここで試奏した個体はG-CLUB TOKYOにて取り扱っています。


ギター・マガジン2014年9月号「攻めるオトコのギブソンES-335」特集も必読!

 リットーミュージック刊『ギター・マガジン2014年9月号』では、「攻めるオトコのギブソンES-335」と題したCD連動特集を展開中。JUON(FUZZY CONTROL)による痛快な演奏で335が紹介されています。ぜひご覧ください。

定価:1,000円(本体926円+税)
仕様:A4変型判/244ページ/CD付き
発売日:2014.8.12

ギター・マガジン2014年8月号の詳細はこちらから!


※週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは毎週金曜日に更新します。次回は8月22日を予定。

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製品情報

Gibson Memphis / 1959 ES-335TDN

価格:¥780,000 (税込)

【スペック】
●ボディ:メイプル●ネック:マホガニー●指板:ローズウッド●フレット:22●ピックアップ:バースト・バッカー1&2●コントロール:ボリューム×2、トーン×2、3ウェイ・ピックアップ・セレクター●付属品:ハードケース、保証書
【問い合わせ】
ギブソン/ジャパン http://www.gibson.com/
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