MarkシリーズやRectifierシリーズなど高品質なチューブ・アンプ・メーカーとして揺るぎない地位を築いているMesa/Boogie。チューブ・アンプを知り尽くした同メーカーならではの、ユニークなアンプ・インターフェイス「CAB CLONE」を紹介しよう。一口で言ってしまえば、自宅で騒音に悩む事なくスタック・アンプを鳴らす事ができる製品である。より詳しく説明すると、スタック・アンプのトーンやサウンドを損なう事無く、ヘッドフォンでミュートな環境で鳴らすことができ、かつオーディオ・インターフェイスを介せば、自宅でのDAWレコーディングに対しても、普段ライブやスタジオで演奏しているトーンをそのまま録音することができ、3種類のキャビネット・シミュレーターが、どんなタイプのスタック・アンプにも対応するという非常に便利な製品となっている。

　まず最初に断っておかなければいけない事が1点ある。動画内のトークでは、“チューブ・サウンドをシミュレートする”と言うニュアンスにもとれる節があるので、補完させて頂く。CAB CLONEに接続されたアンプ・ヘッドの音（信号）はそのままラインレベルまで下げられ、CAB CLONEに搭載された3種類のキャビネット・シミュレーターでアウトプットされる仕様となっている（但し、1/4"ラインアウトはシミュレートされていないダイレクトな出力となる）。

　それでは、順にみていこう。まず、このCAB CLONEには電源が一切不要で、全て電源及び電池不要のパッシブで動作する。そのため、サイズも非常にコンパクトかつ軽量で、持ち運びも設置もスムーズに行う事ができる。次に出力面だが、BALANCED DIRECT OUT（XLR）が実装されておりここから出力する際には、「CLOSE BACK」「OPEN BACK」「VINTAGE CABINET」の３種類のキャビネット・シミュレートから好みのトーンをチョイスすることができる。また、空間系エフェクター類はアンプのセンド／リターンに接続することで、そのまま普段のサウンドでライン出力させることができ、バランスの取れたサウンドで演奏することができる。またアンプ・ヘッドの出力を減力しない「THRU」アウトを使用すれば、スピーカーも鳴らすことができるので、スピーカーをマイキングしたサウンド、バランス・ダイレクト・アウトのサウンド、あるいはミックス・ダウンする際に両方をブレンドするという様々な音作りが可能になる。この方法はレコーディングでもライブでも応用することが可能だ。

　そして、CAB CLONEの一番のおすすめ機能がヘッドフォン・アウトプット。とてつもなく濃密でライブ感のある、決してアンプ・シミュレーターでは出す事のできない、生のトーンをヘッドフォンで体感することができる。もちろん、ヘッドフォン使用時にもキャビネット・シミュレーターが動作するので、普段使用しているキャビネットの特性に合わせて弾く事もできれば、別のキャビネット特性を試す事もできる。

　CAB CLONEは、スタック・アンプ・ホルダーにとって待ちに待った夢の製品といっても過言ではない。

※使用アンプ・ヘッド：マーシャルJVM210H

Mesa/Boogie / CAB CLONE

Mesa/Boogie / CAB CLONE（Rear Panel）