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  • ギターで初音ミクが歌う、画期的なコンパクト・エフェクター!

KORG / MIKU STOMP

KORG / MIKU STOMP

  • 試奏・文、動画撮影・編集:ぎんじねこ
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 今から7年前の2007年。初音ミクはバーチャル・シンガー「VOCALOID」として音楽業界に颯爽とデビューし、音楽業界をあらゆる方面から席巻した。そして、2014年もあとわずかとなった10月末、KORGより初音ミクがギターで歌うエフェクター「MIKU STOMP」として新たなジャンルを開拓するべくギター業界に再デビューする。

 エフェクターの筐体サイズは、通常のストンプ・ペダルより横幅がやや狭くコンパクトな印象だ。筐体の中心には大きく初音ミクが微笑んでおり、ミク・ファンにとっては、これを足下に置いて踏みつけるなどとんだ罰当たりな行為に思え、さながら鎖国時代の踏み絵をさせられるような気分になってしまうかもしれない。ミク・ファンならば足下に置かずにギター本体やズボンのベルトなどに固定して、手で操作する方が精神衛生上良いかもしれないし、その方がミクと音楽の一体感を味わえるかもしれない。

 初音ミクが住んでいる筐体表面は、少しザラザラしたマット・コーティングが施されており、初音ミクが立体感を持って微笑んでくれる様にデザインされている。操作系統や、必要最小限に抑えられたINPUTなどのラベルもミクの邪魔にならないように配置されており、単に歌うエフェクターというだけではなく、KORGが如何にミクを大切にして開発されたか、ということが十分伺えるデザインとなっている。

 端子類はシンプルにINPUTとOUTPUTと電源ジャックの3種類でモノラルでの入出力となる。基本的には、MIKU STOMPだけでサウンド作りが完結できるので、ギター自体のサウンドはクリーン・トーンが基本となる。しかし動画内で紹介したように、リバーブや歪み系と組み合わせることで、一風違った使い方もできるので、あれこれとミクと一緒に歌いながら試してみるのも、このエフェクターの楽しみ方の一つかもしれない。

 MIKU STOMPの大きな特色として、自作の歌詞を読み込ませて歌わせる機能がある。これは、iOSの専用アプリに歌詞を書き、それをピックアップを経由して流し込む方式となっている。具体的には、アプリで作成した歌詞をiPhoneのスピーカーから出力させると、一昔前のダイヤルアップの様な「ジーーガーー」といった信号が鳴る。それをギターのピックアップに向けて流し込むことで、MIKU STOMPに歌詞が入力される方式となる。最大文字数は約6000文字なので、一般的な曲であれば、足りなくなるということはまずないだろう。

 最後に、レイテンシーがどれぐらいかも気になるところではないだろうか。発音される音や高さによってレイテンシーも変動してくるが、取扱説明書によれば30ms〜100msの間と記載されている。30ms=0.03秒となり、仮にBPM120の曲であれば4分音符が0.5秒なので、8分音符では0.25秒、16部音符だと0.125秒となり、初音ミクは問題なく歌ってくれる。しかし、いわゆるギター的なフレーズだとピッキングの強さが一定ではなく、また音程差が激しくなり、レイテンシーも変動するので、初音ミクが混乱してしまい、美しく歌ってくれない場合もある。なので、ミクに綺麗に歌ってもらうためには、乱暴な弾き方やギター・フレーズの様な複雑なものは極力避け、ギターをボーカルの様にみたてることで、ミクはあなたの思うままに美しく歌ってくれるパートナーとなる。

KORG / MIKU STOMP

KORG / MIKU STOMP(コントロール部)

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製品情報

KORG / MIKU STOMP

価格:オープン

【スペック】
●コントロール:Ahh / Pahh / Nyan / Phrase1 / Phrase2 / Phrase3 / Random1 / Random2 / Scat / Looh / Lahh ●入出力端子:インプット、アウトプット ●電源:単三アルカリ乾電池2本または9VACアダプター ●外形寸法:74(W)× 120(D)× 50(H)mm ●重量:250g(電池含まず)
【問い合わせ】
コルグ/KID http://www.korg.com/jp/
© Crypton Future Media, INC.
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プロフィール

ぎんじねこ
YouTube動画再生回数520万回、チャンネル登録者数8000名以上のモンスター・チャンネルを運営し、オリジナル曲のセルフ・プロモーションや、メーカーの製品レビュー、モニター動画などの配信活動を数多く手がける。2009年、Gibson社のオフィシャル・バンド・コンテストにて、ギターソロで2位入賞。日本を代表するトップミュージシャンである、西川進氏や松田"FIRE"卓己氏とも共演。また、音楽誌の特集ページやCDレビュー等への寄稿など幅広く活動中。さらに、15年の講師活動を経て、現在は“ヤマノミュージックスクール”のギター科インストラクターとして、後進の指導育成も努めている。

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