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  • 週刊ギブソン Weekly Gibson〜第37回

奥田民生の愛器59バーストを再現した噂のCollector's Choice#29!

Gibson Custom / Collector's Choice #29 Tamio Okuda 1959 Les Paul

  • 文:井戸沼尚也
  • 動画撮影:編集部 録音協力:加藤和彦(オンキヨー) 映像編集:熊谷和樹 取材協力:Gibson Brands Showroom TOKYO

今回ご紹介するのは、奥田民生氏が所有するオリジナル1959年サンバースト・レス・ポールを徹底的に再現したコレクターズ・チョイス#29 Tamio Okuda 1959 Les Paulです。現在入手できるあらゆるレス・ポールの中でも、最上の1本と言えるほどの仕上がりになっています。

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日本の至宝! 奥田民生のレス・ポール

 シンガー/ソングライター/ギタリストの奥田民生氏は、多くのビンテージ・ギターを所有していることでも知られています。ただし、その立ち位置はいわゆるコレクターとは異なり、貴重なビンテージ・ギターであってもステージやレコーディングでガンガン使用することで有名です。氏の愛器、オリジナル1959レス・ポールも、数多くのステージやレコーディングで使われてきました。そういう意味でも、そのサウンドを比較的身近に感じることができる非常に稀なオリジナル・バーストであり、いわば日本の宝とも言えるギター……キャリア初期にユニコーンでブレイクした時に“周りのメンバーが車を買う中、自分はこれを買った”という有名な逸話で知られる1本を、ギブソン・カスタムが徹底的に解析、再現したのが今回発表されたCollector's Choice #29 Tamio Okuda 1959 Les Paulになります。

 本コーナーでも何度か触れていますが、コレクターズ・チョイスは“複数の典型的なオリジナル・バーストの平均値”を狙うヒストリック・コレクションとは違い、“特定の個体を徹底的に再現すること”を狙うシリーズです。本器もオリジナルの入念な調査・分析に基づいて製作されており、分析を開始したのは2011年3月にまで遡ります。当時、デジタル・スキャナーをはじめとしたインスペクション・ツールを携行して来日したカスタム・ショップ・チームが、都内の音楽スタジオにて奥田氏の所有するそれ(SN 9 1165 )を入念に調査。データを持ち帰り、日本を代表するアーティストへのリスペクトと、プロの制作現場で長年使い込まれた、このサンバースト・レス・ポールの存在意義を高く評価し、製品化が決まったのだとか。以降、プロトのプロト、プロト1号、同2号と何度もギターを作っては奥田氏とギブソン・カスタムで、ボディの形状、ネックのフィーリング、トーン、フィニッシュ、全体のバランス等に関する意見交換が行われ、ようやく2015年にリリースされることになりました。

本画像はプロトタイプ#1 のため、実際の製品とは一部仕様、色味が異なります。

 コレクターズ・シリーズに初めて日本人が所有するギターが登場したという意味でも、このCC#29は注目の1本だと言えるでしょう。今回はそのプロトタイプを試奏いたしました。

使用アンプ:マーシャルJVM205H(ヘッド)+1960A(キャビネット)
使用シールド:
ギブソン18' Purple Gibson Instrument Cable

現実的に入手できる最上のレス・ポール

 CC#29にはAgedとVOSの2種類があり、今回試奏したのはAgedのプロトになります。どうですかこの威風堂々たる佇まい。ケースを開けた際、「うわぁ……」という溜息のような感嘆詞のような、言葉にならない声しか出ませんでした。もちろん本器はオリジナル器ではありませんが、なんというか、その佇まいから“現場で使われているバースト”にしか発することのできないオーラのようなものを感じたのです。手にとって弾いてみると、軽いギターだなぁと感じました。近年のヒスコレやコレクターズ・チョイスのレス・ポールは、本当に軽い個体が多いと思います。本器も“レス・ポール=重い”というイメージを覆す1本です。

 そのサウンドは、まさに最上のレス・ポール・サウンド。甘く太いトーンの中にも、キリリと立ったトレブルと、コツンコツンという心地よいピッキングのアタックが含まれ、それが弾き手のタッチによって、爽やかな心地よいニュアンス〜濃厚な色気のあるニュアンスまで多様な表情を見せます。動画で見ると、1:42からのフロント・ピックアップを選んでボリュームを絞って弾き、少し上げて弾き……というシーンに注目してください。ボリュームの調整によるトーンの変化、同じボリュームでもピッキングの強さによるトーンの変化がわかると思います。そしてボリュームをグッと上げた2:10からのトーン! ただマーシャルにつなぐだけでこの音が出るのですから、他には何も要らないという気になります。オリジナルの実器を手に入れることは、ほとんどの人にとっては現実的に難しい今、実際に手に入れることができる最高のレス・ポールがヒストリック・コレクション、もしくはコレクターズ・チョイスであり、その中でもこの#29は、“最上の1本”と再度声を上げたいと思います。

 奥田民生氏のファンはもちろん、本当に良いレス・ポールが欲しい人に強くお薦めしたいギターですね。


※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは2月13日(金)を予定。

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製品情報

Gibson Custom / Collector's Choice #29 Tamio Okuda 1959 Les Paul

価格:¥1,027,000 (税別)

【スペック】
●BODY:Unique Figured Maple top, Genuine 1 Piece Mahogany Back●Neck:1 Piece Genuine Mahogany neck with maple spline (Vintage trussrod)●Fingerboard:1 Piece Indian Rosewood●Tuners:Reissue Kluson Deluxe●Tailpiece & Bridge:Lightweight Aluminum ABR-1 with Thumbwheels●Pickup:57 Classic×2 ●Run:Limited Edition of up to 300(Aged and VOS) ●Price:Aged/¥1,027,000、VOS/¥842,000
【問い合わせ】
ギブソン・ジャパン http://www.gibson.com/
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