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  • 週刊ギブソン Weekly Gibson〜第40回

ジョニー・A.が弾く新シグネチャー・モデル【Play & Interview】

Gibson Custom Shop / Johnny A Standard

40回の節目となる今週の週刊ギブソンは、話題のジョニー・A.ニュー・シグネチャー・モデルを、本人自らがプレイし、その魅力を語るという豪華企画! コンパクトなボディのセミアコ構造で、ビグスビー付きという独自の仕様を持つ本モデル、誕生の経緯や特筆点について、お話を伺いました。

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 2015年2月、東京都内にあるCotton Clubでのショーのために来日したジョニー・A.。ブルース・ロックをベースに、ジャズやカントリー等のエッセンスも取り入れて弾きまくる彼のプレイは、まさに自由奔放! ライブでは自身の代表曲である「Oh,Yeah」や「Hip Bone」はもちろん、興に乗ってくるとビートルズ、ジミ・ヘンドリックス、レッド・ツェッペリン、クリーム等、自らのルーツとなる曲やフレーズを弾きまくり、会場を沸かせていました。その手に抱えられていたのは、もちろんギブソンのジョニー・A.シグネチャー・モデル! まずは自ら試奏紹介&たっぷり語ってくれた動画をご確認ください。

使用アンプ:マーシャルJVM205H(ヘッド)+1960A(キャビネット)
使用シールド:
Gibson Instrument Cable

Johnny A Standard

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個性的な仕様はそのままにシンプル化を図った最新シグネチャー・モデル

 最新のジョニー・A.シグネチャー・モデルは、基本的な構造やピックアップは2003年にリリースされた初代シグネチャー(後述)を継承しつつ、装飾を抑えたシンプルな仕様となった。主な変更点は、パーツ類がゴールドからニッケルに、バインディングが1プライに、サンバーストの色味がよりトラディショナルな“バーボン・バースト”に、インレイがシンプルになったこと等が挙げられる。また、指板材がエボニーからローズウッドに変わったことで、明確なアタックの音から、少し角が取れてスモーキーなサウンドに変化している。このトーンの変化は、レス・ポール・カスタムとスタンダードで考えるとイメージしやすいだろう。サンバーストの色味が明るくなったことや、ピックガードの色が黒から白に変わったことも、レス・ポール・スタンダードを連想させる。それ以外の仕様は、シンライン構造、ダブル・カッタウェイ、ビグスビー搭載、“シミター(東洋のサーベル)”型fホール等の特徴が踏襲され、ひと目でジョニー・A.モデルと分かる仕上がりになっている。

※取材で試奏した個体はイシバシ楽器渋谷店にて販売されています。

Johnny A Signature

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ジョニー・A.の個性が随所に光るゴージャスな初代モデル

 2003年に発売された初代のジョニー・A.シグネチャー・モデルは、ゴージャスなルックスとそれに恥じない豊かなトーンが人気のカスタム・モデル。小型のセミ・アコースティック・ギターでありながらSGのようにとがったダブル・カッタウェイの個性的なシルエットは、ひと目見たら忘れられないインパクトを持つ。フィギュアード・メイプルのボディ・トップにゴールドのビグスビーを搭載し、漆黒のエボニー指板にはPearl Johnny A Shapeと呼ばれる独自のインレイが映える。ヘッドのインレイや、5プライのバインディングも高級感を高めており、随所にジョニー・A.の個性が光る逸品。ピックアップにはネック/ブリッジともに57クラシックを搭載。P.A.F.を踏襲したウォームかつバイト感のあるサウンドが、ロックやブルースはもちろん、ジャズやカントリー等幅広いスタイルを誇るジョニー・A.を支えている。

Johnny A Standard

Johnny A Signature Custom(本人使用モデル)

Interview

僕のシグネチャー・モデルは幅広いスタイルに受け入れられると思う。
演奏者によってカメレオンのように自在に変化すると思うね。

──最初のシグネチャー・モデル誕生の経緯は?

 1stアルバム『Sometime Tuesday Morning』をリリースした時に、メイン・ギターとして使っていたのがES-295だったんだけど、他にもES-335やレス・ポール、ファイアーバードなども使っていた。インストの曲を演奏していた初期の頃は、ライブ中、ギターを頻繁に交換していたね。ただ、それがあまり好きではなかった。そんな頃、ギブソン・カスタムショップが1959レス・ポールにビグスビーを搭載したものを作ってくれて、すごく気に入ったよ。ツアーには3本持って回ったね。ギブソンに同行してSummer NAMM Showでパフォーマンスした時、リック・ゲンバー(General Manager of Gibson Custom Division)とマイク・マグワイア(Ex. Operation Manager of Gibson Custom Division)に例のレス・ポールの感触を聞かれた。もちろん、レス・ポールは素晴らしいギターだし、あらを探すつもりではなかったんだけど、自分のES-295に関しては箱鳴りが足りないと感じていたことを伝えた。それで話し合いが始まって、ギターのデザインについて僕の考えを聞いてみたいと言ってくれたのが2002年ナッシュビルでのNAMM Showで、ギターが完成したのが翌2003年だった。

──新シグネチャー“Johnny A Standard”と、今回お持ちになった初代モデル“Johnny A Signature Custom”との違いは?

 前モデルは、トップにはマルチ・プライ・バインディング(5プライ)、バックとネック、ヘッドストックには3プライ・バインディングを使用していた(※新しいモデルは1プライ)。それから指板は前モデルはエボニーだったけれど、今回はローズウッドを使っている。トップはどちらもメイプル。前モデルはパーツにゴールドを使っていたけど、今回はニッケルになっているね。構造的には、ピックアップやメカニズムは特に変わっていないし、指板材以外は装飾が異なっているだけだよ。

──サウンド面で特筆すべき点は?

 両モデルのサウンド面での違いは、今回のギターはミッド・レンジにもっと温かみが増したと思う。前モデルはエボニーを使用していたので、パキパキしたサウンドが顕著に出ていたけれど、新しいのはローズウッドを使っているので、もっと詰まったスモーキーなサウンドになっていると思うね。

──ルックスに関してはどうですか?

 セクシーだよね(笑)。ダブル・カッタウェイが好きなんだ。極力自分の指の動きを制限されることがないように、指板へのアクセシビリティを追求した結果、生まれた形なんだけどね。

──他に前モデルとの違いは?

 サンバーストが違うね。前回のはサンセット・グロウと言って、往年のアーチトップのような暗めのバーストがサイドやカッタウェイにかかっていていた。今回のはさらにトラディショナルなギブソンと言うか、59レス・ポールのようなルックスを意識したものとなっていて、美学的な観点から言うと、少しシンプルになったとも言えるね。

──シンプルなデザインの方が好み?

 行きつ戻りつって感じで、どちらも好きなんだ。

──弾き心地はいかがですか?

 ネック・プロファイルは、友人たちの所有する膨大な数のオールド・レス・ポールを弾き比べた時に、オリジナルの59も弾いたんだけど、そのギターのネック・プロファイルをざっくりとベースにしていると言う感じかな。超フラットなバックではないけれど、少し丸みを帯びていて、僕は大抵、親指をネックの後ろに当てるグリップで弾くので、少しだけバックをフラットにした。

──自分のスタイルを考えての仕様ですね。

 その通りだね。

──このギターはどんなプレイヤーに向いていると思いますか?

 どんなギタリストにもそれなりにいいんじゃないかな。アメリカン・ルーツ・ミュージック的な音楽で知られるマット・ウォードもこのギターを使っていると聞いたし、カーク・ハメットやニール・ショーンも1台持っていると言うし、分け隔てなく使ってもらえると思う。ジャズを弾いていると言う人もいれば、ブルースにも合うと思うよ。もちろん僕のような音楽にも適しているし、幅広いスタイルに受け入れられると思う。演奏者によってカメレオンのように自在に変化すると思うね。

──どんなギタリストでも弾けるということですね。

 そうだね、例えばレス・ポールはもともとジャズ用にデザインされ、今でもジャズを弾く人はいるけれど、実際はロックを演奏するのにも適していることが判明したわけだし、それと似たようなことなのかもしれない。プレイヤー次第だと思う。

──今回の来日公演では、アメリカ本国でのステージとセッティングは同じですか?

 今回は自分のペダルボードを持って来たし、いつもアメリカで自分が使っているのと基本的には同じアンプ、マーシャルJTM45を使っているよ(※実際に日本のショーで使用したのはマーシャル1962HWコンボを2台)。だからアメリカでのショー・セッティングとほとんど変わらないね。アンプのスピーカーが違うから、出て来る音に慣れるのに少し時間はかかるけど、それ以外に特に変わった点はないよ。演奏へのアプローチ方法に関しては、自分のペダルを持って来てるし変わらない、自分が求めているサウンドとほとんど同じものが得られていると思う。

──日本のファンにメッセージを。

 日本のファンからは本当にたくさんのメッセージをもらうんだ。今回で5回目の来日となるけれど、毎回素晴らしい経験をさせてもらってるよ。とても親切で丁寧に接してくれて感謝しているし、彼らのために演奏するのが本当に好きなんだ。本当に夢のような経験をいつもありがとう。


※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは3月6日(金)を予定。

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製品情報

Gibson Custom Shop / Johnny A Standard

価格:¥616,000 (税別)

【スペック】
●Body:Figured Maple Top / Mahogany Back●Neck:Mahogany●Fingerboard:Rosewood●Tuner:Nickel Kluson Tulip Style●Pickup:57 Classic×2●Control:2Volume、2Tone、3Way Toggle Switch●Finish:Bourbon Burst(紹介個体)、Antique Gold
【問い合わせ】
ギブソン・ジャパン http://www.gibson.com/
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Gibson Custom Shop / Johnny A Signature

価格:¥780,000 (税別)

【スペック】
●Body:Figured Maple Top / Genuine Mahogany Back●Neck:Mahogany Neck / Maple Spline●Fingerboard:Rosewood●Tuner:Green Key Machine Heads, Single Band●Pickup:57 Classic×2●Control:2Volume、2Tone、3Way Toggle Switch●Finish:Sunset Glow
【問い合わせ】
ギブソン・ジャパン http://www.gibson.com/
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プロフィール

Johnny A.
1952年、米マサチューセッツ生まれ。当初はドラムから音楽を始め、12歳の時にギターへ転向。以降、ビートルズ、ジミ・ヘンドリックス、エリック・クラプトン、ジミー・ペイジ等から影響を受けてテクニックを磨く。70年代からボストン近郊でライブ活動を行い、様々なミュージシャンのサポートを務めながら、ジャズ、カントリー等様々なエッセンスも取り入れた独自のスタイルを確立。1999年に自身のデビュー・アルバム『Sometime Tuesday Morning』を発表。スティーヴ・ヴァイを始め、同業のギタリストから高い評価を受ける。2003年にはギブソンより自身のシグネチャー・モデルをリリース。2014年の最新アルバム『Driven』も高く評価されている。

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