1980年代初頭から世界のトップ・バンドとして活動を続けるU2のベーシスト、アダム・クレイトンのシグネチャー・モデル。彼はこれまでに様々なベースを使用してきたが、現在はジャズ・ベースに落ち着いているようで、本器も現行のアメリカン・スタンダード・ジャズ・ベース（以下、アメスタ）に近い仕様になっている。

　ボディには、ソリッド・カラー・モデル用の標準的な材であるアルダーを採用。仕上げは、60年代にもカスタム・カラーとして提供されていたシャーウッド・グリーンだ。ネックはローズウッド指板のメイプル1ピース、ポジション・マークはパールのブロック・インレイで、バインディングはない。ペグは1966年頃に短期間だけ存在したものと同様の、パドル（アメリカではロリポップ）と呼ばれる長円形のツマミのものを採用している。ヘッドはボディと同色に仕上げたマッチング・タイプだ。これらの仕様の組合せは歴史的には存在しないが、白いパーロイドのピックガードも含め、全体としてシックな外観に仕上がっている。ピックアップは60年代仕様のカスタムショップ製を採用。コントロールは2ボリューム、1トーンとなっている。ブリッジはアメスタと同様で、弦は裏通しとトップ・マウントの両方が選択できる。

　アメスタとの構造的な違いは、グラファイト製のサブロッドが仕込まれていない点と、ネックのグリップが“カスタム・アダム・クレイトンC”という、通常のCタイプよりやや太めになっている点である。サブロッドを省略した太いネックや60年代仕様のピックアップの相乗効果か、ジャズ・ベースとしては太めの、豊かな木質感のあるサウンドという印象だ。ピックで弾いてもその特徴は失われないので、大音量のバンドでもアンサンブルの土台をしっかりと支えてくれるだろう。

アダム・クレイトンのサイン入りマッチング・ヘッド。パドル・タイプのペグが特徴的。

パーロイドのピックガードとブロック・インレイという、シックな組み合わせ。

ピックアップは60年代仕様のカスタムショップ製。

コントロールも通常のジャズ・ベースと同じ2V1T。

アメリカン・スタンダード／デラックスと共通の、裏通しとトップ・マウントが選択できるブリッジ。

出荷時には裏通しで弦が張られている。

Fender USA / Adam Clayton Jazz Bass

Fender USA / Adam Clayton Jazz Bass