オーバードライブの名機として高く評価され、製造中止後に高値で取引されている超有名ペダルを現実的な価格で再現したエレハモのSoul Food。それをベース用にアレンジしたのがこのBass Soul Foodである。

　このペダルの最大の特長は、バッテリーまたはACアダプターによる9Vの電圧をいったん内部で昇圧することで、より高い電源電圧による広いダイナミック・レンジが得られる点にある。オーバードライブは音を歪ませるためのエフェクターだが、ダイナミック・レンジが広がることでメリハリのあるアタック音が得られ、それが音抜けの良さにつながるわけだ。ギターよりもダイナミック・レンジの広いベースの場合、この特長による恩恵はより大きくなる。Blendコントロールは絞り切るとドライ音のみ、時計方向に回し切るとエフェクト音のみになる。動画デモでは中盤を除いてエフェクト音のみの設定だが、Driveを最大にして目一杯歪ませても、アタックがほとんどつぶれないのがお分かりいただけるだろう。この状態でも低音は十分に出るが、Blendを反時計方向に回して原音を加えることで、低域に膨らみを持たせることももちろん可能だ。-10dB／0dBのパッド・スイッチは、アクティブやハムバッカー・ピックアップを搭載した高出力の楽器を接続した際に、-10dBに設定することで回路に必要以上の負荷がかかるのを防ぐためのものだが、ダイナミック・レンジの広さを生かしたクリーン・ブースターとして使用する際に、不要な歪みを抑えたい場合にも有効だ。本体内のスイッチではトゥルー・バイパスとバッファード・バイパスを切り替えることもできるので、プリセット・トーン付きの簡易プリアンプ／バッファーとしても利用できるだろう。

　一見シンプルだが、思った以上の幅広い用途に対応できそうな製品だ。

Electro-Harmonix / Bass Soul Food