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K-A-Z plays Providence PEC-2

Providence / PEC-2

  • 文:井戸沼尚也
  • 出演:K-A-Z
  • 写真撮影:八島崇 動画撮影・編集:編集部

完全プロ仕様の機能と音質、そしてアマチュアでも扱いやすい操作性が人気のプログラマブル・スイッチャー(以下:スイッチャー)、Providence PEC-2。ここでは、SADSや黒夢のライブで実際にPEC-2を長らく愛用している“重低音職人”ギタリスト、K-A-Zが、スイッチャーの世界基準にして完成形「PEC-2」の魅力を紹介する。

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K-A-Z plays Providence PEC-2

 まずはK-A-ZによるPEC-2を使ったデモンストレーションをご覧いただこう。煩雑なプロの現場で、そのシンプル操作/サウンドへの信頼感が伝わるはずだ。


スイッチャーのワールド・スタンダード
Providence PEC-2

PEC-2 / 価格:オープン・プライス

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 全世界で愛用者が増え続けているスイッチャーのワールド・スタンダード、プロビデンスPEC-2。その人気の秘密は、スイッチャーに必要な機能はすべて網羅していながら、極めて扱いやすいという点にある。PEC-2は、好みのペダルの組み合わせを選び保存するというプログラミングの一連の流れを、すべて「モード」や「ストア」などの各フット・スイッチを“踏むだけ”で完了できる。ギタリストに優しい直感的な操作が可能で、必要であればリハーサル中やライブ中でも新しい音色を楽々設定できる、使い勝手の良いスイッチャーだ。PEC-2の主な特徴は次の通り。

●エフェクターを8個まで接続可能(シリーズ接続ループ×5、パラレル・ループ×3)
●セパレート・ループはアンプ・チャンネル切替時に使用するラッチ・スイッチとして使用可能
●8ループのオン/オフ動作を84個(7プログラム×12バンク)までメモリー可能
●単独使用可能なミュート・スイッチ搭載
●各ループのオン/オフ動作を直接コントロール可能にするダイレクト・アクセス・モード搭載
●MIDI機器を含めたシステム構築を可能にするMIDIイン/アウト端子装備
●2台をリンクして最大16個のループを使用できるリンク・モード搭載(それぞれのPEC-2のループ・オン/オフを自由に設定可能)
●PEC-2をリモート・コントロール可能にするリモート・モード搭載(1台のPEC-2をマスターに設定し、もう1台をスレーブに設定)

豊富な拡張機能を備えるバック・パネル。MIDI端子を装備している点もポイントで、MIDI信号による音色切り替え機能を持つアンプなどにも対応できる。さらにリンク端子で、スイッチャーを拡張することも可能。また、2つの入力端子があるため、バッファー回路を経由するかどうかも選択できる。

 MIDIコントロールやリモート・コントロールが可能な点、アンプのチャンネル切替ができる点などは、プロにも喜ばれている仕様だ。プレイヤー自身が足下のPEC-2で2台のアンプの出力切り替えを行なったり、マスターとなるPEC-2をステージ袖に置いてテックがサウンドをコントロールするなど、ライブのあらゆるシチュエーションに対応可能だ。直感的に扱える操作性の良さとトップ・プロも満足する充実した機能は、スイッチャーに求める基本要素を満たしたものであり、同時にこれこそ“完成形”だと言える。

Interview

ギタリストが直感で扱えるのが最高!

──PEC-2を使い始めたきっかけは?

K-A-Z ルーティング・システムの良さは、足下の多くのエフェクターを通すことによる音痩せを防いで、本当に必要なものだけを通すことで原音の劣化を防ぐ──これが最大のメリットなんじゃないかと思うんです。そのためには、複雑過ぎるシステムは必要ないというのがボクの考えで、ボクは最初からPEC-2を使っています。最初にこれを導入するときには、周りのギタリストに聞いたり、ネットで調べて、入力の数やMIDI制御ができる点は確認しました。あとは、エフェクト・ボードにスッと入る大きさということも大事だし、値段も大事ですよね。それで、PEC-2は機能、大きさ、値段、すべてにおいてベストでした。

──実際に使ってみての感想は?

K-A-Z なにしろプログラムしやすいのが最高ですね。こういったシステムは難しそうだという先入観があったんですが、使ってみるとプログラムが直感的にできるという感じです。最初はもちろん、取扱説明書やサイトで使い方を調べましたけど、「こんなに簡単にできちゃうの?」という感じでした。例えば、今は「メイン」のプログラムでは外れているコンプを入れたいと思ったら、ダイレクト・アクセス・モードを選んで、コンプを繋いでいるループをオンにして、ストアを押すだけ。ポン、ポン、ポンとスイッチを踏むだけで、2アクションか3アクションでプログラムができちゃう。ライブ前のリハーサル中に急にサウンドを変えたい、新しいエフェクターを足したいという時にも、その場でパパッとできるのが凄くいいところ。今、どのエフェクターが掛かっているかが一目瞭然だし、とにかく直感的に扱えるのが最高です。

──PEC-2をどのように使っていますか?

K-A-Z まずは、コンプレッサー、ワウ・ペダル、オート・ワウ、ワーミー・ペダルなんかを欲しいサウンドによってオン/オフしていくエフェクトのコントローラーとしての使い方。それと2台のアンプの制御もPEC-2でやっています。ボクは歪みに関してはエフェクトは使わずにヒュース&ケトナーのコア・ブレイド、グランドマイスターという2台のアンプで作っているのですが、アンプのチャンネルの呼び出しもPEC-2で行なっています。完全に、PEC-2が全システムの中枢になっていますね。

──使い勝手はいかがですか?

K-A-Z ライブでの使い勝手は最高ですね。スイッチ同士の距離が適切で、ボクのでかい足でガンガン踏んでも踏み間違うことは一切ないです。耐久性も凄く良くて、導入してから今までトラブルは一度もないです。スイッチの踏み心地も凄くいいし、ずっとPEC-2を使っているんで、この感じじゃないと困りますね。

これ以上欲しい機能はない。ハッキリ言って、完成されている。

──K-A-Zさんならではの使い方を教えてください。

K-A-Z ボクの場合は、バンドに合わせてバンクを分けています。バンドによって必要な音色が変わってくるので、例えば10番台のバンクはSADS用のプログラム、20番台は黒夢用のプログラムというように分けています。そして、そのバンドでツアーに出る時等はバンクは変えずにその中で音色をチェンジしていくわけです。10番台のプログラム(SADS用)、20番台のプログラム(黒夢用)に、何が入っているか一目でわかるシールをスイッチ下に貼っているのもポイントですね。それから、ボクは7弦や8弦を使うことも多いのですが、会場によってはローをきちんと聴かせることが難しい場合があります。そこで、事前に少しだけローをカットした音を作ってプログラムしておき、リハーサルの状況を見てそれを呼び出して使うということもありますね。会場に合わせた音をいちから作るとなったら大変ですから。それを一発で呼び出せるのは最高です。

──PEC-2の魅力とは?

K-A-Z PEC-2はMIDIイン/アウト端子も装備していて、とても多機能ですよね。でも扱いが非常にシンプルで、大抵のプログラムが2アクション、3アクションでできてしまう。そこが本当に素晴らしいと思います。これならアマチュアのギター・キッズでもすぐに使えますから。現場の一線で活躍しているプロのような方でも、複雑なシステムは本当は使いたくないはずなんです。シンプルで使いやすく、トラブルがないシステムが理想のはず。PEC-2は、昔だったらとんでもない大がかりなシステムになっていたものが、このサイズに凝縮されているんですから凄いですよね。ボクはこれ以上、欲しい機能は無いですし、必要なものがすべて揃っていると思っています。PEC-2、ハッキリ言って完成されています。

Sound Making
PEC-2を核とした音作り

K-A-Zのペダルボード

SCHECTER K-A-Z Signature “Spacious”

Hughes&Kettner GrandMeister 36(左)、Hughes&Kettner COREBLADE(右)

 ギター(SCHECTER K-A-Zシグネチャー"Spacious"7弦モデル)からの信号は、まずEX-PROのペダル式ワイヤレス・システムPW SERIESへと送られ、そこからMORLEY Bad Horsie2(ワウ)を通ってPEC-2へ入る。PEC-2からは次のエフェクターを各ループに繋いでいる。

・ループ1:Jim Dunlop Cry Baby(ワウ・ペダル)
・ループ2:Morley Steve Vai's Little Alligator (ボリューム・ペダル)
・ループ3:Carl Martin Classic Optical Envelope(オートワウ)
・ループ4:Carl Martin Compressor Limiter(コンプレッサー)
・ループ6:DigiTech Whammy DT(ワーミー・ペダル)
・チューナー・アウト:Morley AC-1(ペダル型チューナー)

 これらの組み合わせを「メイン」「クランチ」「クリーン」「ソロ」といった求めるサウンド毎にプログラムし、エフェクト・コントロールの要としてPEC-2を使用している。同時にPEC-2のループ7でHughes&Kettner COREBLADE(100Wアンプ)のチャンネル切り替えを、ループ8で同じくHughes&Kettner GrandMeister 36(36Wアンプ)のチャンネル切り替えを行なっている。基本的には小出力のGrandMeisterでハイ〜ミドル、大出力のCOREBLADEでローの帯域をコントロールし、全体のサウンドを作っている。この辺りのローへのこだわりは、さすが"重低音職人"だ。歪みはすべてアンプで作っており、2台のアンプのチャンネル切り替えは、すべて足下のPEC-2でコントロールされている。エフェクト・コントロールの要として、またアンプ・サウンドの組み合わせの司令塔として活躍するPEC-2は、まさにK-A-Zサウンドの中枢と言えるだろう。

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製品情報

Providence / PEC-2

価格:オープン

【スペック】
●ループ:8(シリーズ接続ループ×5、セパレート・ループ×3)●メモリー数:84●外形寸法:446(W)×130(D)×50(H)mm(背面側。ジャック、スイッチなどの突起物は含まず)●重量:約1.9kg●電源:PEC-2専用ACアダプター
【問い合わせ】
パシフィクス http://www.providence.jp/
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プロフィール

最新ソロ・アルバム『Spacious -attacK-A-Zenith Ⅲ-』

K-A-Z
Sads 、Raglaia、カイキゲッショクの活動の他、黒夢、THE MAD CAPSULE MARKETS、THE冠など多彩なサポート/セッションで重低音を轟かせる技巧派ギタリスト。7〜8弦ギター/Providence PEC-2を中枢とした、ラウド&ヘヴィ、そしてエモーショナルなプレイはまさしく唯一無二。シェクターよりシグネチャー・モデル“Spacious”もリリースしている。ソロ・アーティストとしては、2012年に1stアルバム『attacK-A-Zenith』を、2013年に2ndアルバム『Devilish -attacK-A-Zenith ll-』を発表した。最新ソロ作『attacK-A-Zenith Ⅲ』がビクターより8月26日にリリース予定。Raglaiaの 2nd single 『Promisies』も8月12日リリース予定となっている。

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