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- 2024/03/22
VOX / AC10C1
驚くほどコストパフォーマンスの高い製品を生み出し続けているVOXブランド。確かな技術と最先端の生産体制。そしてマニアックな着眼が、質の高い製品を生み出す原動力となっている。
今回紹介するAC10C1は、10インチ・スピーカーを1発搭載したコンボ・タイプだ。パワー・アンプもプリアンプも真空管を採用したこのアンプが、この価格で買えてしまう事に改めて驚くが、もっと驚いたのがその音色。「これぞ、VOX」と言わんばかりのチャンキーなクリーンに、コンプレッションとSAG感がたまらないクランチ。ベルの様にハジける高域のドライブ具合等、ちょっと感動的な音でもある。ビンテージのVOXアンプは音量を上げても耳障りでは無く、ミッドが十分あるのにも関わらず不要なミッド帯域はスクープされた独特の弾きやすさを持っているが、このアンプからも同様のテイストが感じられる。それが10インチ・スピーカーの賜物なのか、はたまたシンプルなサーキットが生み出すものなのかはわからないが、とにかく「良いVOXサウンド」のお手本の様な音色と言っていいだろう。リバーブはオリジナルVOXよろしく、あまり微調整が効くものでは無い。しかしそれもまた、VOXリバーブの味わいだ。動画後半でのリバーブ・サウンドもチェックして欲しい。レトロな響きがナカナカの雰囲気を生み出してくれる。
VOX、特にAC30にインスパイアされたカスタム・アンプは、本当に星の数ほど存在するが、この音が出るアンプは実際には少ない。さらにこのプライス・レンジ……本家でないと出せないサウンド・パフォーマンス&コストパフォーマンスには脱帽だ。低域のスッキリ感も素晴らしく、歌もののバッキングからハードなR&Rにも間違いなくフィットするだろう。録音用に1台手に入れても損は無い。できればマスター・ボリュームをグッと上げて使って欲しい。未だにギタリストが真空管アンプにこだわる理由が、すぐに理解できるハズだ。
※使用ギター:Crews Maniac Sound / OSTL-59
価格:¥60,000 (税別)
村田善行(むらた・よしゆき)
株式会社クルーズにてエフェクト・ペダル全般のデザイン担当、同経営の楽器店フーチーズ(東京都渋谷区)のマネージャーを兼任。ファズ関連・エフェクター全般へのこだわりから専門誌にてコラムを担当する他、覆面ネームにて機材の試奏レポ/製品レビュー多数。