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- 2024/03/22
Hofner / Limited HCT 500/1 Union Flag
楽器を演奏しない方でも、ビートルズのことは知っているでしょうし、ビートルズのポール・マッカートニー氏が今なお愛用するベースということで、ヘフナーのバイオリン・ベースは世間一般ではかなり知名度の高い楽器だと思います。ただ、ショート・スケールや中空ボディなど、やや癖の強い楽器という認識を持つベーシストも多いかもしれません。何を隠そう私、小さい頃からビートルズを愛聴してきたくせに、じっくり弾かせていただいたのは今回が初めてでした。さて、その感想は……。
今回紹介する「Limited HCT 500/1 Union Flag」は、エリザベス女王即位60周年記念の際にポール・マッカートニー本人が演奏したドイツ製のUnion Flag仕様のバイオリン・ベースを基に、中国製のHCTシリーズとして限定再販売されたものです。ピックアップはドイツ製でトップ材にスプルースを採用するなど、ドイツ製と同様の本格的なスペックで作られていますが、スプルース材によるセンター・ブロックを持つセミ・アコースティック構造となっているのが大きな違いです。
バイオリン・ベースはコントロールが多少複雑です。2つのツマミはフロント、リアそれぞれのピックアップのボリュームで、TREBLE ONはフロント・ピックアップのミュート・スイッチ、BASS ONはリア・ピックアップのミュート・スイッチとなっています。つまりTREBLEを強調したい時はリア・ピックアップだけにする、BASSを強調したい時はフロント・ピックアップだけにするためのスイッチなわけで、両方ONだと音が出ません(両方OFFでミックス出力)。RHYTHM SOLOスイッチはSOLO側にすると全開、RHYTHM側にすると高音域が抑えられ音量感も下がります。常にSOLO側で使うも良し、普段はRHYTHM側でバッキングしてソロを弾く時にSOLO側にして前に出る、といった使い方をしても良いでしょう。
さて、実際にバイオリン・ベースを手にしてみると、まずはその軽さに驚きます。塗装も綺麗で細かいところまで良くできてるなーと思いました。コンパクトで、ロー・ポジションからハイ・ポジションまでストレスなく移動でき、大変弾きやすいです。とりあえずはビートルズ的なフレーズを弾きたくなるところですが、フラット弦やブラック・ナイロン弦を張るともっとニュアンスが出るでしょうね。ワンカラーな楽器なのかなと思っていましたが、全くそんなことはありません。むしろ、思ったよりも普通の音がするというか、スイッチ類の設定や弾き方次第でソリッドな音色も作れるし、汎用性の高い現代的な音色も作れます。音色バリエーションはとても広い、という印象でした。UK好きはマストバイですが、取り回しの良さを活かしてちょっとした旅行や職場などでのチョイ弾き用の楽器として持っていても良いでしょうし、音色バリエーションの一環として持っていても損はないでしょう。色々な場面で何かと活躍してくれそうな1本です。
価格:¥135,000 (税別)