楽器探しのアシスト・メディア デジマート・マガジン

  • 製品レビュー
  • 圧倒的にリアルなロータリー・キャビネット・シミュレーター

Experimental Noize / SPIN CYCLE

Experimental Noize / SPIN CYCLE

  • 試奏・解説・文:村田善行 動画撮影・編集:伊藤大輔
このエントリーをはてなブックマークに追加

 元MXR/ALESISのスタッフによって設立された注目の新進メーカー、Experimental Noize(エクスペリメンタル・ノイズ)社。同社の記念すべき第1号ペダルがこのSPIN CYCLE(スピン・サイクル)だ。圧倒的にリアルなロータリー・キャビネット・シミュレーターである本機は、一見するとツマミが多く複雑そうに感じられるが、実際には非常に簡単にサウンドメイク可能な高性能ペダルだ。

 まずはロータリー・スピーカーの回転速度をスロー/ファストで切り替える際の、それぞれのスピード・コントロール(Slow Speed & Fast Speed)。続いてその回転速度の変化を緩やかに切り替えるか、速く切り替えるかを無段階に調整するアクセル・コントロール(Acceleration)。ここまではスピードの調整だ。次にツイーター(高域)とドラム(低域)の回転レシオを調整するコントロール(Drum:Rotor Ratio)で、このSPIN CYCLEの個性を決定できる。例えばレズリー・スピーカーのイメージなら1:1.01方向にセットすると、グルービーなロータリー・サウンドになるだろう。反対側に回すとビブラート効果が強くなり、シングル・スピーカーのロータリー・サウンドに近づく。これは強いて言うならばレイ・ヴォーンの愛用したビブラ・コーラスのイメージかもしれない。

 他にもマイキングの距離を擬似的に再現するディスタンス・コントロール(Distance)も面白い。この値を低くすればトレモロ効果が得られ、値を上げていくと揺れ感が少なくなり、コーラス的なアプローチとなる。このあたりを注意深く設定する事で、様々な音楽で聴かれるロータリー・スピーカー・サウンドを再現する事ができるだろう。

 モノ・インプット/ステレオ・アウト対応。ギタリストであればA/Bボックスでアンプを切り替えて、Aのシグナルをメインのアンプへ。Bのシグナルの先にSPIN CYCLEをセットし、ステレオ・アウトをRoland JCアンプのチャンネル1と2にそれぞれ入力すれば、オリジナルのレズリー・スピーカーさながらのセッティングが完成するだろう。60年代から現代まで、良質な音楽に多く使われた本格的なサウンドを手に入れる事ができる素晴らしいペダルと言える。ぜひ動画でその効果、サウンドをチェックして欲しい。

※使用ギター:Crews Maniac Sound / ReNeWeL 2016
※使用アンプ:VOX / AC15 Hand-Wired

Experimental Noize / SPIN CYCLE

Experimental Noize / SPIN CYCLE(Rear Panel)

このエントリーをはてなブックマークに追加

製品情報

Experimental Noize / SPIN CYCLE

価格:¥62,000 (税別)

【スペック】
●コントロール:スロー・スピード、ファスト・スピード、アクセレレーション、ドラム:ローター・レシオ、チューブ・エミュレーション、キャビ・エミュレーション、ディスタンス、バランス、イネイブル・スイッチ(エフェクトON/OFF)、ブレーキ・スイッチ、スピード・スイッチ ●入出力端子:インプット×1、ゲイン・スイッチ(+12dB)、アウトプット×2(L/R)、フットスイッチ(TRSステレオ・タイプ用)●電源:9V DC ●サイズ:179(W)× 145(D、ジャック含む)× 60(H、ツマミ含む)mm ●重量:770g
【問い合わせ】
Hoochies (フーチーズ) http://www.hoochies.info/main/effect/spincycle/
デジマートでこの商品を探す

プロフィール

村田善行(むらた・よしゆき)
株式会社クルーズにてエフェクト・ペダル全般のデザイン担当、同経営の楽器店フーチーズ(東京都渋谷区)のマネージャーを兼任。ファズ関連・エフェクター全般へのこだわりから専門誌にてコラムを担当する他、覆面ネームにて機材の試奏レポ/製品レビュー多数。

製品レビューREVIEW

製品ニュースPROUCTS