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- 2024/03/22
L.R.Baggs / Stadium Electric Bass D.I.
アコースティック・ギター用プリアンプやピックアップに定評のあるL.R.Baggsから、ベース用のプリアンプD.I.であるStadium Electric Bass D.I.(以下Stadium D.I.)がリリースされました。開発者が理想のベース用プリアンプD.I.を求めて作り出した本機は、既にリリースされているアコースティック・ギター用のSession Acoustic D.I.と形状こそ同じものの中身は完全にベース用にカスタマイズされており、スタジオ・クオリティの音質と性能を実現しています。
そもそもD.I.は、入力された楽器の信号レベルを整えスタジオ機器などにライン・レベルの信号を楽器本来の音色に色付けすることなく伝送する役割があります。しかし、例えば商業用のレコーディング・スタジオでベースの録音をする場合は、D.I.から受けた信号をそのまま収録せずに、楽曲に合った音色になるよう、マイクプリやEQ、コンプなどのプロセッサーによって加工を施すことがほとんどです。StudiumD.I.はD.I.本来の機能に加えて、こういったスタジオ・クオリティのプロセッサーが担う機能を搭載することで、レコーディング・スタジオで行なうような高い水準でのベースの音作りに必要なプロセスを1台で完結させる、全く新しい発想のプリアンプD.I.と言えるでしょう。
まず、Stadium D.I.のプリアンプ機能をバイパスしてD.I.としての音色を聴いてみます。なるほど、レコーディング・スタジオにある定番の高級D.I.の音色と比較しても遜色のない素直でストレートな音色です。レンジの広さはもちろん、適度な太さとクリアな倍音の抜け具合を併せ持った音楽的な音色で、いわゆる「ラインの音」にありがちな冷たい音色という印象はありません。
プリアンプをオンにしてみます。ゲインを上げると真空管式のベース・アンプのゲインを上げたような太く自然な音色が得られます。結構歪ませることもできますね。歪みはドライブのスイッチでも加えることができますが、エフェクターのディストーションのような過激な音色ではなく、あくまでアンプをドライブさせたような、低音感を損なわない自然な音色という印象でした。グロウルも歪みの一種ですが、グロウルを上げると音色がより煌びやかになり、楽曲に馴染みやすくしたり適度な太さを持たせたりすることができます。また、アタックで高音域を、ファットスイッチで低音域を調整することができます。「トレブル」や「ベース」といったわかりやすい名称のトーン・コントロールではありませんが、実際に操作してみると名称のイメージ通りの効果に納得できました。コンプEQはマルチバンド・コンプとなっており、実用的な範囲でナチュラルに音圧を増したり、出過ぎた高域を抑えたりすることができますね。
多機能で幅広い音色を作ることができるStadium D.I.ですが、プリアンプはいずれも「かゆいところに手が届く」絶妙な効果を持ちます。ヤリ過ぎ感はなく、まさにスタジオ・クオリティのプロセッサーで構築するような自然で実用的なプロ仕様の音色。こういった効果を奏者の手元で手軽にコントロールできるようになるのはとても便利ですね。宅録環境はもちろん、ライブやリハーサルでも、ちょっとした補正から積極的な音作りまで幅広く活用できるでしょう。
価格:オープン