使用アンプ：マーシャルJVM410H（ヘッド）＋1960A（キャビネット）
使用シールド：ギブソンInstrument Cable

これぞハンドセレクトの懐の深さ
Les Paul Custom Blue Widow

　日本の主要ギブソン・ディーラーが定期的にテネシー州ナッシュビルのギブソン・カスタム・ファクトリーへ出向き、ボディ・トップ材を実際に見て、触って、確認して選ぶオーダー・システム、ハンドセレクト。華麗なフィギャード杢の59LPや渋いフレックの入った58LPは有名ですが、実はハンドセレクトの対象はビンテージ・リイシュー・モデルのみではありません。希少なプレミアム・ウッドが入荷したタイミングとディーラーからの熱い要望が合致すれば、特別な1本が誕生することもあるのです。今回紹介する“Blue Widow”と名付けられたレス・ポール・カスタムは、ハンドセレクトの懐の深さを示すスペシャルな１本です。

青く彩られたヘッド化粧板

揺らぐ水面のような3Aキルト・メイプル

7積層バインディングもブルー

　まずはボディ・トップに採用された見事な3Aキルトと、鮮烈なブルーのフィニッシュに目を奪われますね。トップだけではなく、ヘッドからバインディングまですべてブルーという鮮烈なルックスは一度見たら忘れられないインパクトがあります。この仕上げのベースとなるモデルがレス・ポール・スタンダードではなく、カスタムというところもポイントです。ゴールド・パーツ、スプリット・ダイヤモンド・インレイなど、スタンダード以上に華麗な装飾が実に似合う、近未来的なルックスを誇るギターに仕上がっています。

パワフルで爽快なロック・サウンド！

　本器を手にした人は、“プレイヤーから見る景色”にも驚くことでしょう。ボディ・バックもネックもトランス・ブルーで、そこに映えるバインディングとポジション・マークはオーディエンスだけでなくプレイヤーから見てもとても新鮮です。プレイアビリティについてももちろん文句なし。手に吸い付くようなグリップ感と、精巧に処理されたフレット周りは演奏する喜びをもたらしてくれます。

　肝心のサウンドですが、これもルックス同様、ビンテージ系というよりモダンな傾向を持っています。さすがハンドセレクトといった生鳴りを、490Rと498Tピックアップがアウトプット。粘り気が強いビンテージ系のピックアップとは異なり、パワフルで爽快なロック・サウンドを得意とするPUを選択したことで、本器の個性が明確になっています。弾き方やセッティングによってはもちろんブルージィなサウンドもお手のものですが、より現代的なプレイヤーが現代的な音像の中で弾くとハマりそうです。個人的には“弾いてみた”系の動画をアップするようなプレイヤーに、ルックス、サウンド両面から強くオススメしたいと思います。

　本器はこの3Aキルト・モデル以外に、フィギャード・メイプルのバージョンも存在します。どちらにしても、適材が入手できた時にのみ少数オーダーされる完全なカスタム・オーダー品。Les Paul Custom Blue Widowは、まさに一期一会のギターなのです。

※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは6月24日（金）を予定。