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  • ギター・マガジン2016年7月号連動 トーンベンダー系ファズ特集

越川和磨がぶった斬る! 現行トーンベンダー系ファズ14機種

トーンベンダー系ファズ

  • 写真:植田山月

ファズ・ペダルの名機として名だたるギタリストを魅了してきたトーンベンダー。現在ではそれをモチーフとした“トーンベンダー系ファズ”がさまざまなメーカーから、さまざまな特色をもってリリースされている。ここではギター・マガジン2016年7月号の特集“歪み界最大のミステリー!? トーンベンダー系ファズってなんだ?”と連動し、注目を集めるトーンベンダー系ファズ14機種を一挙紹介。オリジナル・トーンベンダーにも造詣が深い越川和磨(THE STARBEMS、ex.毛皮のマリーズ)をナビゲーターにお迎えして、各機種の試奏所感をコメントして頂いた。ぜひご一読を!

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Fulltone
SOUL-BENDER

価格:オープン

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ブースター的にも使えるから、幅広い用途で使う人向けかな。

 Fulltoneってノイズがなくて使い勝手がいいペダルを出しているイメージなんですけど、やっぱり使いやすい。最初に言っときますけど、トーンベンダーってめちゃくちゃ扱いにくいんですよ(笑)。これは効きのいい“TONE”ツマミがあるから、そこを調整できる安心感はでかいですね。
 音は、MK3をモチーフにしてるからか、60年代ってよりは70年代的なハードな方向性を感じます。で、オリジナルよりはきっちりしてる印象。とはいえ、“DIRT”を上げれば音がつぶれるので、トーンベンダー的なムードは出てきます。逆に“DIRT”を下げるとブースター的にもなるから、幅広い用途で使う人向けかな。“つぶれ気味のクランチ”を出したい人とか好きになるかも。

Specifications
●コントロール:ボリューム、トーン、ダート ●入出力端子:インプット、アウトプット ●電源:9V電池、9Vアダプター ●外形寸法:61(W)×112(D)×51(H)mm ●重量:420g

【SOUL-BENDERの参考動画】
【オフィシャルHP】


D*A*M
MK-II Professional

価格:93,000円

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D*A*M
1966

価格:93,000円

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限りなく本家に近い。いいですね!

 両方ともムラードのOC82DM(ゲルマニウム・トランジスタ)とかを使っているから、限りなく本家に近いキャラですね。全体的にブチブチしてるし。あと、手元のボリュームの絞り方でけっこう音が変わるんですよ。僕はここがトーンベンダーのおもしろいところだと思っていて、ギターの入力の大きさで変わる音色をぜひ感じてほしいですね。当時のギタリストはみんなこうやって音を作ってましたしね。
 “MK-II”は、イメージより歪む印象で、音のキャラとしてはクリーミーな音って言うんですかね。手元を全開にした時の音を聴いてみると、けっこう丸い感じじゃないですか? ロー・エンドの歪み方、つぶれ方に特徴がありますね。
 で、次に弾いたこの“1966”なんですけど、いいですね! ほかのペダルが全部爆音なんで、音を聴くとしょぼく感じるかもしれないけど、超使える。手元を絞るとけっこうクリーンな音になって、ちょうどいいクランチも出せるんですよ。手元のボリュームで幅広く音作りができます。あと、踏むだけでトレブルが気持ち上がりますね。だから1~2弦でロックンロールなフレーズなんかを弾くと超気持ちいい。……あ、これ、インピーダンスの調整スイッチが付いてますね。く~、なるほど(笑)! これは、“Super Bee”っていうのにするとロー・ミッドが出てくる感じになって、“’66”にするとエッジィな雰囲気になります。このツマミも使えるな。まさにトーンベンダー直系の音でありつつ、けっこういろんなジャンルの曲で使えそうなエフェクターですね。

Specifications
●コントロール:【MK-II】レベル、アタック【1966】レベル、アタック、インピーダンス・アジャスト・スイッチ ●入出力端子:インプット、アウトプット ●電源:9V電池(ACアダプター不可) ●外形寸法:83(W)×157(D)×65(H)mm ●重量:【MK-II Professional】420g【1966】460g

【MK-II Professionalの参考動画】
【1966の参考動画】
【オフィシャルHP】


GuitarSystems
Tony's Bender Tool

価格:40,833円

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ずばり、ナウいトーンベンダーですね。

 なんか、とんでもないペダル・オタクが作った雰囲気がビシビシ出てますね(笑)。インピーダンスを切り替えるスイッチが右側面にありますけど、試奏ではおもにジャリジャリ感のある“Passive”でやりました。“T.M.F.”っていう真ん中のツマミは、なんか微妙に歪みの質が変わる感じかな。
 このエフェクターは、ザラザラしたゲルマニウム・ファズの匂いはがっつりあるんだけど、そんなに変な癖がないタイプですね。えげつなさが薄いっていうか。サステインも十分だし、ディストーション・ペダルに近い扱いやすさがあります。ゴリゴリのメタルとかもいけるっちゃいける。あまり人を選ばないペダルだと思いますよ。ずばり、ナウいトーンベンダーですね。

Specifications
●コントロール:ボリューム、ファズ、T.M.F.、インピーダンス切り替えスイッチ(アクティブ/パッシブ) ●入出力端子:インプット、アウトプット ●電源:9V電池、9Vアダプター ●外形寸法:75(W)×123(D)×62(H)mm ●重量:350g

【Tony's Bender Toolの参考動画】
【オフィシャルHP】


Jetter Gear
GS68

価格:28,000円

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すごく音圧があって、“音量感”がある音。

 ど真ん中のトーンベンダーの音を狙ったペダルっていうよりは、もっと今のサウンドで使えるようなファズっていうのが第一印象ですね。ただ、トーンベンダーの“香り”みたいなのはどことなく漂ってくるんですよ。口で説明するのは難しいんですけど、そういうチューニングが施されてるんでしょうね。あと、ギターのボリュームをいじったときの反応が独特ですね。そのあたりはCDを聴いてもらえればわかると思います(※ギター・マガジン2016年7月号の付録CDに音源が収録されています)。
 で、このペダルが個性的だなと思ったのが、なんか“音量感がある音”っていうのかな。すごく音圧があって、ぎっしり詰まった歪みがドーンと出てくるんですよ。だから、ぶっといファズの音を出したい人向けですね。

Specifications
●コントロール:レベル、ファズ ●入出力端子:インプット、アウトプット ●電源:9V電池、9Vアダプター ●外形寸法:70(W)×113(D)×45(H)mm ●重量:360g

【GS68の参考動画】
【オフィシャルHP】


British Pedal Company
MKI.5 Tone Bender

価格:46,000円

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British Pedal Company
Professional MKII Tone Bender

価格:46,000円

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British Pedal Company
MKI Tone Bender

価格:60,000円

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使える音楽は限定されるけど、絶対にこれじゃないと出せない音。

 まずMK1.5ですけど、これは特徴あるな。エフェクターのツマミを全開まで上げたけど、あんまり歪まない。ゲルマの個体差なのか、こいつの今日のコンディションなのかわかんないですけど(笑)。ただこの音は、まさに60年代のガレージ・バンドの音ですよね。ギターのボリュームを1にした時のカスカスな感じとか。10で弾けばかなりブチブチ度の高い、ええ音だと思います。
 MK2に関しては、まさに“これこれ、この音”って感じ。まず、圧倒的にサステインがありますよね。単純に弾いててテンションが上がるな。ギターのボリューム1の時点から歪んでますからね(笑)。ぶっつぶれ系の轟音を出したい人はこのMK2、好きなんじゃないですかね。
 で、最後にミック・ロンソンでお馴染みのMK1ですけど……なんだこの音量は(笑)! でかすぎる! いや~、いいっすね。音がでかいというだけでうれしい(笑)。しかもただそれだけじゃなくて、きっちりチューニングされてる感じもしますし。
 なんかトーンベンダーのリイシューを作る時って、ギターの入力を下げた時のザラっとした感じと、上げた時のつぶれる感じの再現が難しいと思うんですよね。そういう面では一番先頭を走ってる気がします。ゲイリー・ハーストさん本人が関わった正真正銘のトーンベンダーだからあたり前かもしれませんけどね。まぁ、今の一般的な歪みペダルとはまったく別の作りなんで、マニアックなペダルだとは思います。使える音楽は限定されますけど、これじゃないと出せない音ってあるんですよね。

Specifications
●コントロール:レベル、アタック ●入出力端子:インプット、アウトプット ●電源:9V電池(※ACアダプター不可) ●外形寸法:【MK1.5&MKII】110(W)×218(D)×77(H)mm 【MKI】110(W)×210(D)×7O(H)mm ●重量:【MK1.5】900g 【MKII】940g 【MKI】920g

【MKI.5 Tone Benderの参考動画】
【Professional MKII Tone Benderの参考動画】
【MKI Tone Benderの参考動画】
【オフィシャルHP】


Castledine Electronics
Supa Mk1

価格:オープン

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なかなかうるさいペダル(笑)。シングルコイルにマッチするかも。

 これはなかなかうるさいペダルですね(笑)。大好物ですよ。ゲイリー・ハーストさんが作ったMK1リイシューに近いんですけど、傾向としてはハイがキンキンしてこなくて、そんなにピーピー言わないって印象かな。知り合いのトーンベンダー・マニアの大久達朗(Buzz the Fuzz)によると、このペダルを作っている人はテレキャスターで音をチェックしているみたいなんです。だから、ハムバッカーよりシングルコイルにマッチするようなチューニングになってるのかな。今回みたいなハムバッカーでも音は十分いいんですけど、歪ませすぎるとやや埋もれるような気がするんで、シングルコイルのギターにお薦めしたいかもしれないですね。

Specifications
●コントロール:ボリューム、フィルター ●入出力端子:インプット、アウトプット ●電源:9V電池(※ACアダプター不可) ●外形寸法:92(W)×150(D)×66(H)mm ●重量:450g

【Supa Mk1の参考動画】
【オフィシャルHP】


Lovepedal
MKIII FUZZ

価格:オープン

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この爆発感は、ある種ビッグ・マフ的な方向性かも。

 トーンベンダーらしいじゃじゃ馬感っていうよりは、もっとしっかり作られていて、使える幅の広い感じです。今回のじゃじゃ馬だらけのラインナップの中ではややマトモというか……普通の歪みペダルに比べれば、これも相当なファズなんですけどね。あ、これはある種、ビッグ・マフ的な方向性に近いかもしれない。音の爆発感がめちゃめちゃあります。これは、ふくよかなセッティングにして、単音弾きのフレーズとかで使うと存在感あるかもしれないですね。あとはもう、がっつり歪ませて音をつぶして、飛び道具として鳴らしてしまうとか。もっと荒々しく使いたいなら、ストラトとかにつないでジミヘンっぽく使ったほうがよさそうですね。

Specifications
●コントロール:レベル、アタック ●入出力端子:インプット、アウトプット ●電源:9V電池、9Vアダプター ●外形寸法:67(W)×112(D)×55(H)mm ●重量:235g

【MKIII FUZZの参考動画】
【オフィシャルHP】


Manlay Sound
Ronno Bender

価格:37,000円

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イカれたトーンベンダー・オタクが作ったペダル。

 僕が使っているのがまさにこれです。正確には限定版の大きい筐体バージョンなんですけど、やっぱり聴き慣れた音がしますね。僕はずっと、“ミック・ロンソンっぽいロング・トーンを出すには一体どうしたらいいんだ”って思ってたんですけど、その疑問がこのペダルで解決されたんです。特徴は、まず音がめちゃめちゃでかいこと。ペダルのレベルを11時にした時点でとんでもない爆音が出ます。それから、ギターの入力を絞った時に出てくる色気が独特なんですよね。まぁ、ピーピー言ううるさいペダルなんで、全員にお薦めするかって言ったらあれですけど(笑)。イカれたトーンベンダー・オタクが作ったペダルですね。

Specifications
●コントロール:レベル、アタック ●入出力端子:インプット、アウトプット ●電源:9V電池(ACアダプター使用不可) ●外形寸法:66(W)×120(D)×66(H)mm ●重量:295g

【Ronno Benderの参考動画】
【オフィシャルHP】


MJM GUITAR FX
BRIT BENDER 2 KNOBS

価格:27,000円

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音がでかくて太い。好きな人けっこういるんじゃないかな。

 これも音がでかい、頭おかしい系のファズですね(笑)。“音がでかい”っていうのは、もしかしたらトーンベンダーらしさなのかもしれないです。ゲルマニウムを3つ搭載しているってことは、オリジナルと近い感じだと思うんですが……、あ、これは音が太いっすね。ハイ・エンドよりはロー・エンドの音が出てくる。“ブーミー”な感じって言い方が合いますかね。この雰囲気が好きな人はけっこういるんじゃないでしょうか。これ、シングルコイルのギターと相性いいだろうなぁ……と思ったら、説明書にまさに書いてあるやん(笑)。まぁでも、ハムバッカーでも独特の野太い音を出せるんで、俺は好きですね。

Specifications
●コントロール:ファズ、レベル ●入出力端子:インプット、アウトプット ●電源:9V電池、9Vアダプター ●外形寸法:75(W)×120(D)×55(H)mm ●重量:290g

【BRIT BENDER 2 KNOBSの参考動画】
【オフィシャルHP】


UNION Tube & Transistor
Tour Bender

価格:オープン

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より万能性の高い姿に進化したトーンベンダー。

 今回弾いたペダルの中では、一番ディストーション・ペダルの要素が濃いエフェクターだと思いましたね。なんとなく、ロシアン・マフみたいなイメージに近いかな。あくまでファズなんだけど、もっとレンジが広くて全域にブワァーっと広がっていくようなキャラクターっていうか。あと、音の特徴はなんとなく“ゴツゴツ”した感じ。ジリジリとした60年代的な雰囲気っていうより、もう少しあとの時代みたいな音かな。だから、トーンベンダーの要素を持ちつつ、もっと現代のサウンドで鳴らしたいとか、60年代的なロックとは違うジャンルでうまく馴染ませたい人にお薦めですかね。より万能性の高い姿に進化したトーンベンダーです。

Specifications
●コントロール:ボリューム、ゲイン ●入出力端子:インプット、アウトプット ●電源:9V電池、9Vアダプター ●外形寸法:91(W)×127(D)×53(H)mm ●重量:470g

【Tour Benderの参考動画】
【オフィシャルHP】


Holy
Holy Bender

価格:30,000円

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トーンベンダー&ファズ・ファクトリーみたいな印象。

 これはまた個性的な音ですね。なんか個人的には、Z.VEXみたいなテイストというか。12フレットあたりをチョーキングした時の伸び感が、ほかのペダルにはない感じ。“クラシック・モード”で録ったんですけど、トーンベンダーのブチブチ、ザラザラっていうのとは似てるようで違っていて……あ、なんか“ビット・クラッシャー”的っていうんですかね。うん、これはこれでおもしろいペダルです。けっこう好きだな。音作り次第でトーンベンダー的な音にもできるし、もっと過激な設定にしたらZ.VEXのファズ・ファクトリー的な、いい具合にデジタルな感触の音になると思う。だから、トーンベンダー&ファズ・ファクトリーみたいな印象ですね。

Specifications
●コントロール:レンジ、ファズ、ボリューム、クラシック/モダン・スイッチ ●入出力端子:インプット、アウトプット ●電源:9V電池、9Vアダプター ●外形寸法:70(W)×115(D)×48(H)mm ●重量:230g

【オフィシャルHP】


ビンテージ・トーンベンダーの誘い

1966年に登場したProfessional MK2。写真はソーラー・サウンドが復刻したリイシュー製品となる(写真:イシバシ楽器デジマート店)。

 

1974年製のSUPA TONE BENDER。トランジスタを4つ使用した4石回路となっている(写真:TC楽器)。

 

VOXブランドのトーンベンダー。OEMトーンベンダーの代表格だ(写真:イシバシ楽器デジマート店)。

ビンテージ・トーンベンダーに関する詳しい情報は『ギター・マガジン2016年7月号』にて!

【ビンテージ・トーンベンダーをデジマートで探す】


ギター・マガジン2016年7月号で詳細をチェック!

本記事はリットーミュージック刊『ギター・マガジン2016年7月号』の中でも紹介されています。越川和磨による紹介機種の試奏音源(ビンテージMK1の音源も収録!)が付録CDに封入されているほか、オリジナル・トーンベンダーの写真、分析記事や代表的な使用者の紹介なども収録した盛りだくさんの内容になっています。本記事でトーンベンダーに興味を持った人はぜひこちらも参考にしてください。

【Contents】
■Special Program/プリンス 殿下のギター愛 
■Special Program/Guitar Magazine Championship vol.9 
■The Instruments 1/歪み界最大のミステリー!? トーンベンダー系ファズってなんだ?
■The Instruments 2/イチから始める! コンプレッサー・コンプリート・マニュアル
■名手直伝!誌上スペシャル・セミナー/常識を打ち破れ! JUON流ダンス・ロック・イズム
■Special Program/ジョージ・ハリスンのオールローズ物語、今月登場したギタリストのペダル&ボード
■GM WORKSHOP/高田漣のスライド・シネマ・パラダイス ~ボトルネックで楽しむ映画音楽の世界、Duran Walking with NEO BLUESMAN~ブルース・ギター超絶アレンジ講座
...and more!

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製品情報

トーンベンダー系ファズ

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プロフィール

越川和磨
1981年、和歌山出身。中学生の時にセックス・ピストルズに衝撃を受け、ベースを手にする。03年に志磨遼平(vo)らと毛皮のマリーズを結成しギタリストに転向。2011年の解散まで6枚のオリジナル・アルバムを世に送りだす。解散後はTHE STARBEMSのギタリストとして活動するほか、さまざまなミュージシャンのサポート・プレイヤーとしても活躍している。愛称は西くん。

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