良いギターを作るには、様々な努力が必要だ。贅沢に時間をかけて木材を選定し、乾燥させる。その後、丁寧に加工を行ない、さらに「寝かせ」や下処理をして、塗装工程に入る。こちらも丁寧に処理を施し、仕上げのクリアを吹き、磨き上げる。最後に組み込みやアッセンブリーを行ない、セットアップされてギターは完成する。これは大体、皆さんが考える「ギター製作の流れ」と一致すると思う。では、レギュラー・ギターと高級ギターの差は、どこにあるのか？　材の良さ？　パーツの良さ？　それもある。しかし、一番の違いは「楽器製作に時間をかけられるか否か」にあるとも言えるだろう。いくら良い材を使用しても、製作に時間をかける事ができなければ、仕上りには期待できない。また、きちんと製作されていれば、材の価格差を感じさせない楽器を製作する事も可能だろう。つまり、低価格でも良いギターはあるし、反対もまた然り、と言える。

　このゴダンSessionシリーズのウェブサイトには「世界でも類を見ない一貫した生産管理体制のゴダンギター。原木の選定、管理、加工、組み立てなど全ての行程を自社内で行なっているメリットを最大限に活用し、Made In Canadaでありながら衝撃の価格を実現したモデルがSessionです」とある。先の文章をチェックしてもらうと、これがどういう意味なのか、よくわかってもらえるはずだ。

　Sessionシリーズはとにかく弾きやすく、インポートの楽器にありがちな「手こずる感じ」がない。そして、楽器が良く鳴っている。シーズニングの具合やスムーズな加工など、楽器製作のノウハウを生かして手頃な価格帯を実現している点でも非常に好感が持てる。さらに、ピックアップのマウント方法からネックのプロファイリングまで、「ゴダンのソリッド」のこだわりを随所に感じる。手に入れてすぐ、自分好みの楽器に仕上げるための調整も最小限で済むはずだ。

　サウンドの傾向はモダンなボルトオン・スタイルなので、様々な音楽に対応できると感じる。特にロック系ポップスやファンク系のサウンドには向いていると言えるだろう。楽器のクオリティは高く、弾きやすさ、音の良さ、そして「ゴダンならではの作りの良さ」が感じられる注目のシリーズだ。

※使用アンプ：Fender '68 Custom Deluxe Reverb

Godin / Session（カラー：ビンテージ・バースト SG）

センスの良い小ぶりなヘッドストック。ストリング・ガイドは1-2弦と3-4弦にセットされている。

優れたプレイヤビリティに貢献するネック／フィンガーボード。

ゴダン・オリジナルのGS-1シングルコイルとハムバッカーのSSHレイアウト。

シンプルな1ボリューム、1トーン、5ウェイ・ピックアップ・セレクター。トーン・ノブはハムバッカーのコイルタップSWも兼用する。

六角レンチでトレモロアームを任意の場所に固定できる、Tru-Loc トレモロ。

上位モデルのSession LTDのリア・ピックアップには、セイモア・ダンカンのSH-11がマウントされる。

Godin / Session LTD（カラー：デザート・レッド HG）