Maestro／エコープレックス
真空管回路で構築されたテープエコーの至宝。現在も愛され続ける2代目エコープレックス。
ディレイ・エフェクトの始祖とも言えるテープエコー・マシン。その源流のひとつが、アメリカのマーケット・エレクトロニクス社が製造し、CMI（Chicago Musical Instruments）をとおして販売されていたエコープレックスである。エコープレックスは1959年に電気技師のマイク・バトルによって設計され、完成した最初のモデルはのちに“EP-1”と呼ばれるようになった。同年代にあった他社のテープエコーの多くが固定式プレイバックヘッドを使用していたことに対し、EP-1は可動式プレイバックヘッドを採用し、わずかひとつのプレイバックヘッドでさまざまなディレイ・タイムを連続的に得られる画期的な機構を有していた。そして、そのEP-1にいくつかの改良が施されて登場した2代目のエコープレックスが、本記事で紹介するEP-2である。
EP-2は先代と同様に6EU7管が2本、6C4管が1本と、計3本の真空管を使用したフル・チューブ回路で構成されているが、EP-1にあった“INSTR/MIC VOL”（ 原音の音量調整）と、“ECHO VOLUME”（ディレイ音の音量調整）のコントロールはなくなり、ひとつの“VOLUME”コントロールでエフェクト音と原音をセッティングする仕様となった。また、発売後にもわずかな仕様変更があり、後期型のEP-2には簡易的な多重録音機能である“サウンド・オン・サウンド・モード”も追加された。当ページに紹介する個体も69年製の後期型である。
EP-2は66～67年頃から流通し始めたが、70年代初めにはソリッドステート化された後継機種のEP-3が新たに登場したため、わずかな期間でその姿を消してしまった。しかしEP-3までのすべての設計を行なったマイク・バトルは、晩年も真空管回路のエコープレックスにこだわり、EP-1とEP-2のデザインを愛していたという。
鈴木茂コメント
ロー・ミッドがふくよかに出てフレーズをしっかりと支えてくれるんです。
『ギター・マガジン2016年9月号』に掲載中の本連載「ビンテージ・エフェクター・カフェ」に、鈴木茂のコメント全文、さらにEchoplex EP-2の内部写真とその分析が掲載されています。ぜひチェックしてください。
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日本を代表するギタリストでスライド・ギターの第一人者、鈴木茂の自伝。ベンチャーズに憧れてギターを弾き始め、はっぴいえんどでプロ・デビュー。以後、キャラメル・ママ～ティン・パン・アレーで多くのアーティストをサポート、ソロ活動では永遠の名盤『BAND WAGON』を産み落とし、セッション・ミュージシャンとしても数々のレコードに名演を残している。半ば伝説化された存在で、若い世代からのリスペクトも年々高まっている鈴木の幼少期からの音楽体験やはっぴいえんど秘話、そして現在に至るまでの半生を掘り下げた初のドキュメントだ。
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