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  • 週刊ギブソン Weekly Gibson〜第116回〜拡大版!お茶の水大楽器祭り2016レポート2

小沼ようすけ×Gibson Memphis ES-275〜最強コンテンポラリー・ジャズ・ギターの実力

Gibson Memphis / ES-275

  • 文:井戸沼尚也 動画・写真撮影・編集:熊谷和樹 録音:大屋努

先週に引き続き、『拡大版! お茶の水大楽器祭り』(主催:黒澤楽器店)のイベント・レポート第2弾として、イベント2日目に行なわれた「Gibson Memphis presents 小沼ようすけジャズギター マスタークラス」の模様をレポートします。当日はジャズ・ギタリストの小沼ようすけ氏が、愛器ギブソン・メンフィスES-275との出会いから、サウンド・メイキングについて、はたまた日頃の練習法までまさしく目からウロコなお話を展開。デモ演奏では“マスタークラス”の名にふさわしいプレイを披露し、会場を沸かせました。その模様を、ダイジェスト動画とともにレポートします。

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Yosuke Onuma×Gibson Memphis ES-275

初めて明かされたギブソンES-275の開発秘話  

 イベントは、ギブソンジャパンの栗田隆志氏を司会に小沼氏と対談する形で進行。まずは小沼氏の流麗なデモ演奏が披露され、会場の熱気が一気に高まりました。

 小沼氏は、昨年11月に行なわれた「ギブソン・メンフィス2016年モデル発表会」の場でES-275と出会い、その日からずっとES-275を愛用しています。その出会いについて「僕は1999年のデビューからES-335を愛用していたのですが、2004年に奏法を大きく変えたことを機に(ピック弾きから指弾きにチェンジ)、より太いネック・グリップや豊かな箱鳴りを求めるようになりました。ES-275は、当時、栗田さんとディスカッションを重ねていた内容がそのまま形になったようで、手にした瞬間からこのギターに惚れ込みました」とコメント。これを受けた栗田氏からは「本人にも言っていませんでしたが、このギターの開発コンセプトは実は小沼さんなんです」との秘話が飛び出しました。ギブソン・メンフィスのスタッフと栗田氏が日本の楽器店のヒアリングを行なった際に「日本のジャズ・ギタリストには才能のあるプレイヤーが多いが、L-5やL-4はちょっと大きい」という声が挙がったのを受け、「小沼さんのように座って弾くだけでなく立っても弾く、ピックだけでなくフィンガーも使う、そんなプレイヤーによりフィットする、しかもギブソンらしさを失わないギター」というコンセプトが確立されたとのこと。完成したES-275はボディ厚が2インチとかなり薄く、身体にフィットして取り扱いが楽な、新しいタイプのジャズ・ギターとなりました。

ES-275を使いこなすための小沼流Tips

 ES-275のサウンド・メイクのコツについて小沼氏は「まずは、弦」とコメント。ギターに対して常にフレッシュな気持ちで向き合うために、いろいろな弦を試すそうです。現在は3弦にフラットワウンドを張り、4〜6弦はラウンドワウンドを張って低域のグルーブ感を強調しているそうですが、ベース・ラインをスムーズに聞かせたい場合は6弦にブラックナイロンを張ったり、時には弦のゲージ自体を変えたりと、目的や気分によって張り替えているとのこと。  

 日々の練習については「身体から自然と音が出てくるまでは、とにかく反復です。家で練習していると“なんでできないんだ”と落ち込むこともありますが、それを乗り越えられれば、落ち込んだ分、大きな喜びを得ることができます」、「練習ではどんなに間違えても大丈夫だから、家で間違えておくことも重要」と語り、会場のファンが頷く姿が印象的でした。小沼氏がES-275を弾き始めて1年にも満たないのですが、「楽器の鳴りが明らかに変わってきたし、自分自身が変わってきたところもある」ということですので、小沼氏とES-275のさらなる進化に期待が高まります。イベントは、最後に熱いデモ演奏で会場を沸かせ、終了しました。

ギブソン・メンフィスES-275について

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 ES-335と同じシンライン・ボディ・スタイル、センターブロックを持たないフルアコースティック構造で、ベネチアン・カッタウェイを持った新機軸。本器はプレーン・トップ&バック、クラウン・ヘッド・インレイ、ダブル・パラレログラム指板インレイ、フェイデッド・チェリー・フィニッシュなど、ES-345と近いルックスを持つ。また、ロールド・ネック・バインディング仕様のためプレイアビリティの高さも際立っており、スムーズなフィンガリングに寄与する。さらにヒストリック・トラスロッドを、ピックアップにはMHSハムバッカーを、テイルピースにはトラピーズ・タイプを、指板材にはローズウッドをそれぞれ採用しているのも特徴となる。

SPECIFICATIONS
●Body Top:3ply(Maple/Poplar/Maple) ●Body Back:3ply(Maple/Poplar/Maple) ●Neck:Mahogany ●Fingerboard: Rosewood ●Pickups:MHS Humbucker (AlnicoⅢ for Neck, AlnicoⅡ for Bridge) ●Controls:2 Volume、2 Tone、3 Way Toggle Switch ●Bridge:ABR-1 with titanium saddles
価格:520,000円(税別)※ES-275 Figured Montreux Burstは553,000円(税別)、ES-275 Figured Dark Vintage Naturalは576,000円(税別)


※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは9月9日(金)を予定。

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製品情報

プロフィール

『At One』

小沼ようすけ
1974年、秋田県生まれ。ジャズ・ギタリスト。14歳でギターを始め、1999年、ギブソン主催のギブソン・ジャズ・ギター・コンテストにて優勝。2001年に『nu jazz』でメジャー・デビュー。現在までに9枚のアルバムをリリースし、ギブソンES-335をメインに様々なアーティストとのコラボレーション、国内のみならず海外でのライブなど幅広い活躍を見せる。最新作はトニーモナコ、小沼ようすけ&ジーンジャクソン名義の『At One』。なお、待望のソロ・アルバム『Jam Ka Deux』が11/23発売予定となっている。

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