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Sundrum & Aludu by VALTER PERCUSSION feat. はたけやま 裕

VALTER PERCUSSION / Sundrum & Aludu

  • 取材&文:西本勲 撮影:八島崇 動画撮影&編集:熊谷和樹 録音:大屋努

パーカッションの分野では、作り手の独創的な発想から生まれた斬新な楽器がしばしば登場する。今回、スウェーデンのブランドVALTER PERCUSSIONから発売されるSundrumとAluduはまさにそれ。多彩なパーカッションを操って幅広いアーティストと共に活動するはたけやま 裕に、それらの魅力をいち早く体験してもらった。

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独自の発想で開発された2つの個性的なパーカッション

Sundrum

VALTER PERCUSSION / Sundrum(ピエゾ:¥75,000 ピエゾ+マイク:¥90,000)

 VALTER PERCUSSIONの創業者である打楽器奏者Valter Kinbom氏が、バラフォンやムビラなどのアフリカ楽器にインスパイアされて開発したというSundrum(サンドラム)。直径約32cmの木製の打面に放射状の切れ込みを入れて設けられた12枚の音板を、指やマレットで演奏する。音板は独自の仕組みでチューニング可能になっており、複数のキー/スケールに対応。それぞれの音板にピエゾ・マイクが取りつけられ、繊細なタッチまで余すところなくライン出力できるほか、全体の鳴りを収音するコンデンサー・マイクを加えたモデルも用意されている。

Hatakeyama's Impression

柔らかい音色が生み出す独特の世界観にハマりました。
おしゃれでアートな外観も魅力的です。

 実は最近スリット・ドラムに興味があって、買おうと思っていたのですが、音数が少ないわりに高価だから二の足を踏んでいたんです。でもこれはチューニングができるのが画期的なので、リアルに欲しいです(笑)。部屋に置いておきたくなるような外観もおしゃれです。
 これでメロディも演奏できますけど、個人的には、耳で聴いて気持ちいい音程に合わせて、響きを楽しみながらリズムで遊ぶのが素敵だと思いました。柔らかい木の音色でいろんな音階を出せるので、独特の世界観を表現できます。特に、ちょっと触るくらいに優しく叩いたときの音や、和音を出したときの響きが気持ちいいです。細かいフレージングもかなりイケますね。
 ピエゾ・マイクで拾った音はとてもクリアで、コンデンサー・マイクで全体を拾うとさらに空気感が出ます。叩けば叩くほどトリップできる、とても楽しい楽器だと思いました。

それぞれの音板には、上下から挟むような形でマグネットがついており、S字型の溝に沿ってスライドさせることで音程を変える仕組み。12枚の音板でG1からC4までの音域をカバーする。

今回試奏したのはピエゾ・マイクとコンデンサー・マイクの両方を備えたモデル。上がピエゾ・マイク用の出力端子(標準フォーン)、下がコンデンサー・マイク用の出力端子(XLRタイプ)だ。

Aludu

VALTER PERCUSSION / Aludu(¥50,000)

 アルミ製のウドゥでAludu(アルドゥ)、というストレートなネーミングのパーカッション。陶器製のウドゥと違って運搬時などに割れる心配がなく、軽量でもあるため扱いやすいのがうれしい。ウドゥと同様に表面を叩いたり、穴を塞ぐように叩いて低音を奏でるなどの奏法が可能。胴が薄く、陶器製のウドゥよりレスポンスが良くなっているのも特徴だ。さらにフィンガー・ブラシが付属し、サウンドのバリエーションを広げている他、コンデンサー・マイクが内蔵されており、大音量のアンサンブルに混ざった場合でもその持ち味をいかんなく発揮できる。

Hatakeyama's Impression

ウドゥの扱いづらさを解消してくれる楽器。
マイクを通した音を聴くと劇的に印象が変わります。

 まず、アルミ製で割れないというのがうれしいですね。私も実際、運搬中にウドゥを割ってしまったことがあるので……。コンパクトで軽いのも、とてもありがたいです。
 ウドゥとは形が違いますが、叩いていて違和感は全然なく、穴の位置も“なるほど”と思いました。ブラシがついているのには最初驚きましたけど、上から叩いたり、手で払うようにしたりと、実際に演奏してみてすごく納得しました。
 これもマイクを内蔵しているのが画期的です。特にウドゥはパーカッション・セットに組み込んだときのマイキングが難しく、大音量のバンドでは使うのを諦めることも多いんです。でもこれなら、他の楽器と干渉しないバランスを作りやすいんじゃないでしょうか。サウンド自体も、マイクを通すと劇的に印象が変わって、100倍くらいアイディアが湧く感じ。今までとは違う表現の世界が広がる楽器です。

付属のフィンガー・ブラシはマジック・テープで装着。フック面を本体に貼る位置も自由に決められる。本体表面の塗膜にはわずかな凹凸があるため、ブラシ・サウンドを効果的に得られる。

本体には高性能コンデンサー・マイクが内蔵されており、ファンタム電源を備えたミキサーなどに接続して使用する。写真はXLRタイプの出力端子。

本記事はリズム&ドラム・マガジン2016年12月号にも掲載されています

リズム&ドラム・マガジン 2016年12月号 本記事はリットーミュージック刊『リズム&ドラム・マガジン2016年12月号』のProduct Review「北欧生まれの“オーガニック電子”打楽器 Sundrum & Aludu by VALTER PERCUSSION feat. はたけやま裕」を転載しています。

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製品情報

プロフィール

はたけやま・ゆう
国立音楽大学打楽器専修卒業。桑田佳祐、井上陽水、加藤登紀子、由紀さおり、島田歌穂、辛島美登里、上妻宏光、古澤 巌、山下洋輔らのサポート/共演など、ジャンルを問わず活動。07年の『The Birth of YOU』をはじめソロ名義のアルバムを4枚発表している他、15年にはカホン教則DVD『ドラマーのためのカホン移行ガイド〜超絶技巧とフレーズ集〜』をリリース。Decora43からはたけやま裕モデルDecora43Cajon You model 8P320tが発売中。

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