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- 2024/03/22
Gibson Acoustic / HP835SUPREME
週刊ギブソンではギブソン・アコースティックの2017最新モデル、HP(ハイ・パフォーマンス)シリーズの魅力を幾度かに渡り紹介してきましたが、今回は、このシリーズの最上位機種となるHP835SUPREMEのレビューをお届けします。シトカ・スプルース/ローズウッドの4インチ厚ボディから放たれる煌びやかさと柔らかさが同居するサウンドは、一弾の価値ありです。
ギブソン・スクエアショルダーの傑作モデル、ソングライターをベースに開発されたこの1本。モデルネームに付けられたSUPREME(=最高・最上)が意味することとは? 早速、その魅力に迫ってみましょう。まず目に飛び込んでくるのは、これぞフラッグシップと納得させられる装飾の美しさ。ゴールドのグローバー・ロトマチック・ペグ、ローズウッドで丁寧に作られたヘッドの化粧板とトラスロッド・カバー、そして指板に新しくデザインされたゴールド&ホワイトのマザーオブパールを奢ったシングル・パラレログラム(平行四辺形)インレイ。細かなところひとつひとつまで丁寧かつゴージャスに彩られたその見目形に、音を出す前から思わずため息がこぼれ落ちるでしょう。
注目すべき仕様のひとつは、トップ材にシトカ・スプルース、サイド&バック材にローズウッドというギブソンでは珍しい木材の取り合わせで新しくデザインされた、厚さ4インチ(従来のモデルよりわずかに薄い設計)というボディ。本器を抱えて弾いている時にボディ・バックからお腹に伝わって来る迫力は、まるで自分が楽器と同化したかのようにリアルで、低音部から高音部まで、わずかなニュアンスも逃さないレスポンスの良さを感じられます。
16インチRのフラットな指板はHPシリーズならではの特徴のひとつであり、どの位置でもチョーキングできるような、ジャンルを問わずあらゆる種類の音楽に対応できる非常に高いポテンシャルを秘めています。また、マホガニーのネックと、J-200と同じ25 1/2インチ・スケールが採用されたローズウッド指板の組み合わせは、煌びやかさの中にも柔らかな音を演出する手助けとなっているでしょう。
本器を実際に手に取ってみると、通常より薄めに製作されたボディは、これ以上ない極上の抱えやすさを与えてくれます。ハイ・ポジションへの移動も快適そのもので、カッタウェイ+フラットなネックの恩恵を感じられるでしょう。4フレットにカポをつけてややミュートさせた指弾きのブルースも、力強いフラットピックでのストロークでも、”ザ・ギブソン・アコースティック”というサウンドで応えてくれます。それはまさしく、長く培われてきた伝統的な手法で作られたハンドメイド・ギターでしか得ることのできない、リッチで芳醇なトーンです。
もうひとつ特筆すべきポイントがあります。この機種のために開発されたL.R.バッグス製エレメント・セッションというピックアップを搭載している点です。ボリューム/トーン/フェイズ・スイッチに加え、“ウォームス”という音の温かさをコントロールする機能が実装されたことで、ライブ・ステージでの豊かな音作りが可能になっています。まさに即戦力として使える1本に仕上がっているわけです。
見た目の美しさだけでなく、音の美しさだけでもなく、両者が最上の形で結びつき、至上のギターが生まれました。HP835SUPREME──“憧れられるギター”をお探しの方に、たまらない逸品ではないでしょうか。
※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは11月25日(金)を予定。
価格:¥452,000 (税別)
エバラ健太
えばら・けんた●1983年、東京都出身。地元と第2の故郷徳島を拠点に、全国各地を旅する弾き語りシンガー/ソングライター。作詞・作曲だけでなくアレンジ・録音・ミックスまでを自ら手がける。的確なギター・ワークと歌唱によるオーガニックなサウンドを、デジタルマシンで即興的に加工しながら情緒的に歌い上げるライブは、既存のジャンルにカテゴライズされない新しい音楽シーンの幕開けを予感させる。自身の活動の他、CM、TVなど、さまざまなレコーディングにも参加。Morris FingerPicking Contest 2015にて最優秀賞、オリジナルアレンジ賞を受賞。最新ソロ・アルバムは初のフィンガー・ピッキング・アルバムとなる『7』。