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Fender 60年代ジャズ・ベースを受け継ぐ現行モデルを根岸孝旨が弾く!

Fender / Jazz Bass

エレクトリック・ベースの最高峰として、脈々とその遺伝子が受け継がれてきたFender Jazz Bass。現行プロダクトとしても数多くのラインナップが揃えられているが、ここではベース・マガジン2016年12月号と連動して、1960年代のジャズ・ベースにインスパイアされたモデル6機種と、伝統を受け継ぎながらも最新鋭の技術が投入された最新プロダクトである“アメリカン・エリート・シリーズ”のモデルを紹介していこう。試奏してくれたのは、ビンテージ・ジャズ・ベースの愛好家でもある根岸孝旨だ。またデジマートでは、映画『JACO』の日本公開を記念して、ジャコ・パストリアスも愛用していたジャズ・ベース購入者キャンペーンを実施中。そちらもぜひチェックを!

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Fenderの現行ジャズ・ベース8本を根岸孝旨が徹底チェック!

Classic Special '60s Jazz Bass

Classic Special '60s Jazz Bass(価格:124,000円)

SPECIFICATIONS
●ボディ:アルダー●ネック:メイプル●指板:ローズウッド●ピックアップ:ビンテージ・スタイル・シングルコイル×2●コントロール:ヴォリューム×2、マスター・トーン●カラー:3カラー・サンバースト

 ジャパン・メイドながら、本家USA製にも負けない高スペックでビンテージ・トーンを再現したのが本モデル。アルダー2ピースのボディはラッカーのトップ・コートが施され、ネック&指板は1960年代でも初期製造モデルの仕様と言えるスラブ貼りタイプとなっている。ピックアップにはアルニコ・マグネットを採用した新開発のビンテージ・スタイルを搭載し、アッセンブリーにはUSAパーツを使う。1960年代初頭の本格的なビンテージ・サウンドと、国産ならではの丁寧な作りが融合した1本と言えるだろう。

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Negishi's Comment

 パッと見るとUSA製のような気がしましたが、これは日本製なんですね。60年代のビンテージ・モデルを意識したということで、アルダー2ピース・ボディでラッカー塗装と、本格的な作りになっています。サウンドは、確かに60年代のニュアンスはありつつも、いい意味でギラッとして前に出るところもあって、モダンな響きがしますね。いい感じでビンテージ臭すぎず、いろんなオケに合う、使いやすいベースだと思いますよ。

Classic '60s Jazz Bass

Classic '60s Jazz Bass(価格:82,000円)

SPECIFICATIONS
●ボディ:バスウッド●ネック:メイプル●指板:ローズウッド●ピックアップ:ビンテージ・スタイル・シングルコイル×2●コントロール:ヴォリューム×2、マスター・トーン●カラー:3カラー・サンバースト、ブラック、フィエスタ・レッド(写真)、ガン・メタル・ブルー、オーシャン・ターコイズ・メタリック、オールド・レイクプラシッド・ブルー、ソニック・ブルー、ビンテージ・ホワイト●備考:オーシャン・ターコイズ・メタリック・カラーは76,000円(税抜)

 ボディ材にバスウッドをセレクトしつつ、スラブ指板など1962年製の面影を色濃く投影した国産モデルだ。オリジナル・ジャズ・ベースにはないバスウッド材だが、近年ではハマ・オカモトのシグネイチャー・プレシジョン・ベースにも採用されるなど、音質面では決してアルダーに引けを取らない鳴りの良さと力強いトーンを実現する。ピックアップは国産の上位機種であるClassic Specialと同様で、パーツ類もビンテージ機種を思わせるスペックとなり、これが7〜8万円台(定価、カラーによって変動)という非常にリーズナブルな価格設定になっているのは大きな魅力だ。

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Negishi's Comment

 今回試奏したなかでは一番価格が安いんですが、最初に弾いたときには、むしろ一番高いモデルなんじゃないかって思いました。ちょっとくすんだ感じがあり、ドンシャリ感が少なくて中域に寄っているような音で、音の訛り方というかニュアンスは、びっくりするくらいビンテージです。僕はビンテージ・ベースを何本か所有していますが、それに引けを取らない感じがある。これで7〜8万円は奇跡的。超オススメです。

Classic '60s Jazz Bass USA Pickups

Classic '60s Jazz Bass USA Pickups(価格:102,000円)

SPECIFICATIONS
●ボディ:アルダー●ネック:メイプル●指板:ローズウッド●ピックアップ:USAビンテージ・スタイル・シングルコイル×2●コントロール:ヴォリューム×2、マスター・トーン●カラー:オールド・キャンディアップル・レッド(写真)、オールド・レイクプラシッド・ブルー、ビンテージ・ホワイト

 本器一番のポイントは、アルダー材×ポリエステル・フィニッシュのボディに搭載された、本モデル・オリジナルのUSA製ピックアップだ。スリムなボビンにエナメル・フィニッシュを施したコイル、アルニコ・マグネット・ポールピースというマテリアルが、パワーのある抜けのいいトーンを演出してくれる。ビンテージ的サウンドメイクはもちろん、出力自体は低くないため、現代ポップスやロックなどモダンなプレイ・スタイルにも充分に対応してくれるだろう。オリジナル・ライクなスペックとコストパフォーマンスを両立させた1本である。

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Negishi's Comment

 シャープで輪郭がはっきりしていますね。日本製のモデルなんだけど、ピックアップはUSA製を採用しているということですが、それによってなのか、より明るい感じがするんですよ。そういう意味では、Classic '60s Jazz Bassがすごくビンテージ感があるとすると、これはもうちょっとモダンなロックに向いているのかなという気もします。ハイの抜けを優先される方にはオススメかもしれません。作りの良さは日本製ならではです。

Road Worn '60s Jazz Bass

Road Worn '60s Jazz Bass(価格:185,000円)

SPECIFICATIONS
●ボディ:アルダー●ネック:メイプル●指板:ローズウッド●ピックアップ:ビンテージ・スタイル・シングルコイル×2●コントロール:ヴォリューム×2、マスター・トーン●カラー:3カラー・サンバースト

 パーツの変色や塗装剥げ、長年弾き込まれてきたダメージなど、本物のビンテージ・ジャズ・ベースを思わせる“Road Worn(ロード・ウォーン)加工”が目を惹く、メキシコ・メイドの1960年代タイプ。ほかにもアメリカン・ビンテージ・スタイルの4サドル・ブリッジや逆巻きペグなど、よりビンテージへのこだわりが見える。もちろんルックスだけではなく、実際のフィニッシュにもボディ、ネックともにニトロセルロース・ラッカー塗装を施し、楽器本来の鳴りをより高めているなど、非常に“音楽的”なモデルでもあるのだ。

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Negishi's Comment

 Road Worn加工ということで、ビンテージ風に塗装が工夫されていますが、ピックアップのところもちょっと錆びている雰囲気もあって、すごくよくできていますね。これがカスタムショップ製とかじゃなく、レギュラー・ラインというのがいい。塗装が薄い分非常に鳴っているというか、いい感じに枯れた感じがすでにある。新品なのに不思議な感じがします。手軽にビンテージの風合いを楽しむのにはいいと思いますよ。

Flea Jazz Bass

Flea Jazz Bass(価格:185,000円)

SPECIFICATIONS
●ボディ:アルダー●ネック:メイプル●指板:ローズウッド●ピックアップ:ピュア・ビンテージ’64シングルコイル・ジャズ・ベース×2●コントロール:ヴォリューム×2、トーン×2●カラー:シェル・ピンク

 ロック・ベース界のカリスマ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリー・シグネイチャー・モデル。もととなるのは彼の所有する1961年製のジャズ・ベースで、ゆえにコントロールも同社ラインナップのなかで唯一のスタック・ノブ・タイプ(2軸2連型)となっている。ピュア・ビンテージ’64タイプ・ピックアップは極薄ラッカー塗装と相まって、倍音のある粒立ちのハッキリしたサウンドを生み出してくれる。レアなシェル・ピンク・カラーということもあり、フリー・ファンはもちろん、ビンテージ楽器ファンにもぜひ手にしてもらいたい。

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Negishi's Comment

 フリーさんのシグネイチャーということで、もっとバキバキするのかと思っていたら、とても音がまとまっていて、本当にビンテージな音がします。良い意味で、上も下も余分なところがないから、パッと聴いたら、ちょっと地味だと思うかもしれないけど、むしろ非常に実戦向きですよ。プロのミュージシャンが一番喜ぶ帯域が出ている。そういう意味では、今すぐにでも仕事に持っていきたいベースだと言えますね。

American Vintage '64 Jazz Bass

American Vintage '64 Jazz Bass(価格:330,000円)

SPECIFICATIONS
●ボディ:アルダー●ネック:メイプル●指板:ローズウッド●ピックアップ:アメリカン・ビンテージ’64シングルコイル・ジャズ・ベース×2●コントロール:ヴォリューム×2、マスター・トーン●カラー:3カラー・サンバースト

 1960年代ビンテージ・スタイルのなかでは、本器のみ“1964年製タイプ”と年代を明記しており、徹底的に同年の仕様を踏襲している。指板はもちろんラウンド・ラミネイト、ポジション・マークもややくすみのあるクレイ・ドット。フィニッシュはフラッシュ・コード・ラッカーで、3カラー・サンバーストもほかの機種に比べて明るく黄色の発色も明瞭。ピックアップも本モデル用に開発されたもので、ブリッジ・カバーが付属するのはレギュラー・ラインでは本器のみ。まさにビンテージを追求するプレイヤーのためのジャズ・ベースだ。

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Negishi's Comment

 64年モデルということで、僕もオリジナルを持っていますが、ビンテージ・ベースだとコンディションなど不安なところもあるんです。でも、これはさすがに作りもしっかりしていますね。重心も低くて渋い音がします。あと、スポンジが入っているブリッジ・カバーも、昔のモータウンのような短いサステインの音が手軽に味わえていいですよね。ソウル・ミュージックはもちろん、良質な歌もの楽曲にはすごく合うと思いますね。

American Elite Jazz Bass

American Elite Jazz Bass(価格:320,000円)

SPECIFICATIONS
●ボディ:アルダー or アッシュ●ネック:メイプル●指板:ローズウッド or メイプル●ピックアップ:オリジナル第4世代ノイズレス・ピックアップ×2●コントロール:マスター・ヴォリューム、バランサー、トレブル/ベース(スタック)、ミッド/ミッド・フリーケンシー(スタック)、アクティヴ/パッシヴ切り替えミニ・スイッチ●カラー:3カラー・サンバースト、ブラック、ナチュラル(写真)、オリンピック・ホワイト、タバコ・サンバースト●備考:ナチュラル、タバコ・サンバーストは330,000円(税抜)

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American Elite Jazz Bass V

American Elite Jazz Bass V(価格:330,000円)

SPECIFICATIONS
●ボディ:アルダー or アッシュ●ネック:ローズウッド or メイプル●指板:ローズウッド●ピックアップ:オリジナル第4世代ノイズレス・ピックアップ×2●コントロール:マスター・ヴォリューム、バランサー、トレブル/ベース(スタック)、ミッド/ミッド・フリーケンシー(スタック)、アクティヴ/パッシヴ切り替えミニ・スイッチ●カラー:3カラー・サンバースト(写真)、ブラック、ナチュラル、オリンピック・ホワイト、タバコ・サンバースト●備考:ナチュラル、タバコ・サンバーストは340,000円(税抜)

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 これまで作られてきた歴代のジャズ・ベースから得られたノウハウをもとに、現在のフェンダーが満を持して発表した最新型モデルが、この“アメリカン・エリート・シリーズ”。特に注目したいのが、第4世代ノイズレス・ピックアップ&アッセンブリー。18ボルト駆動のプリアンプは高出力でありながら余計なアクティヴ感がなく、超低ノイズで多彩なサウンドを作り出してくれる。ヘッドからボディに向かって徐々に薄くなっていく“CtoD” ネック・シェイプやヒールレス・カットなど、プレイアビリティも非常に高い。同社の最先端技術が詰まった、オールマイティなジャズ・ベースである。

Negishi's Comment

 アクティヴとパッシヴの切り替えができますが、アクティヴとパッシヴの差がないというか、アクティヴにしてもすごくナチュラルに持ち上がる感じがいいですね。このプリアンプだけでも欲しいなぁ(笑)。ロックからミクスチャー系、もちろんポップスでも、スラップでも、本当にオールラウンドなベースだと思います。コンパウンド・ラジアスのネックやヒール・カットされたジョイント部も弾きやすい。5弦モデルは、ローBにパンチがありつつ、輪郭や音程感もちゃんとあるのが、さすがフェンダーという感じです。


《日野“JINO”賢二×ハマ・オカモトによるアメリカン・エリート・ベース特集はこちら》

Total Impression by Negishi
時代が変わっても、フェンダーでしか出せない音がある

negishi_sub.jpg 今回試奏したなかで、仕事の即戦力という意味で一番使えると思ったのは、American Elite Jazz Bass。アクティヴなのにアクティヴ臭くないところも良くて、これ1本あれば、どんな現場でも対応できますよ。60年代ビンテージの再現度ということでは、Flea Jazz Bassも仕事で使えると思うし、そのサブにはClassic '60s Jazz Bassを持っていきたいですね。これは今回一番驚きました。プロのベーシスト仲間が弾いても、これが10万円を切っているなんて思わないでしょうね。
 そのほかのモデルに関しても、それぞれ個性があって、使う人の好みに応じて、いろいろと用意されているなと思いました。64年の再現モデルは、今までのフェンダーの集大成な感じがしましたし、日本製のモデルは“ただの60年代ジャズ・ベースのコピーでは終わらせないぞ”という前向きな感じもありますしね。時代が変わっても、フェンダーでしか出せない音がやっぱりあるんですよね。

デジマート「Fender Jazz Bass」購入者キャンペーン実施中!

bnr_JACO_Digimart.png 今なら、新品の「Fender / Jazz Bass」をデジマートで購入した方、先着100名様に映画『JACO』オリジナルTシャツが当たる! 今こそジャコ・パストリアスも愛用したジャズ・ベースを手に入れるチャンスだ。詳細は上の画像をクリック!

本記事はベース・マガジン 2016年12月号にも掲載されています

 本記事はリットーミュージック刊『ベース・マガジン 2016年12月号』の特集記事「60年代ジャズ・ベースの真実」の一部を転載しています。

BassMag1612.jpg【SPECIAL PROGRAM】
映画『JACO-ジャコ-』公開記念!
重要人物が語るジャコ・パストリアスの魂
featuring
ロバート・トゥルージロ(メタリカ)、中村梅雀
【奏法企画】
「ドナ・リー」で学ぶジャズ・アプローチ
【THE BASS INSTRUMENTS】
60年代ジャズ・ベースの真実
【LOUD PARK16 SPECIAL INTERVIEWS】
轟重低音百花繚乱
メタル・シーンを彩る7つのヘヴィネス

and more……

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製品情報

Fender / Classic Special '60s Jazz Bass

価格:¥124,000 (税別)

【問い合わせ】
フェンダーミュージック TEL:0120-1946-60 http://www.fender.co.jp
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Fender / Classic '60s Jazz Bass

価格:¥76,000 (税別)

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フェンダーミュージック TEL:0120-1946-60 http://www.fender.co.jp
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Fender / Flea Jazz Bass

価格:¥185,000 (税別)

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フェンダーミュージック TEL:0120-1946-60 http://www.fender.co.jp
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Fender / American Vintage '64 Jazz Bass

価格:¥330,000 (税別)

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フェンダーミュージック TEL:0120-1946-60 http://www.fender.co.jp
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Fender / American Elite Jazz Bass

価格:¥330,000 (税別)

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フェンダーミュージック TEL:0120-1946-60 http://www.fender.co.jp
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プロフィール

根岸孝旨
ねぎしたかむね●1961年9月28日生まれ、埼玉県出身。Cocco、GRAPEVINE、つじあやの、くるり、中島美嘉、aiko、miwaなど、数多くのアーティストの作品をプロデュース。また、Dr,StrangeLove、JUNK FUNK PUNK、kokuaといったバンド活動、さらには奥田民生や吉井和哉、藤井フミヤなどのアーティストのサポートも行なう。ビンテージ・フェンダー・ベースに対する造詣も深く、1962年製を始め、ビンテージ・ジャズ・ベースも複数本所有している。

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