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  • 宅録にも活用できる伝説のフル・チューブ・アンプ後継機!

Ampeg / PF-20T

Ampeg / PF-20T

  • 試奏・解説・文:河辺真 動画撮影・編集:伊藤大輔
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 小型の真空管コンボ・アンプであるAmpegのポータフレックス・シリーズは、ジェームス・ジェマーソンを始め数多くのベーシストに愛用され、レコーディングやライブで無数の名演を残してきた歴史的な名機ですが、今回紹介するPF-20Tはその正統な後継機とも言える小型のオール・チューブ・ヘッドです。

 プリ管に12AX7を2本、パワー管に6V6を1ペア採用しており、アンプの出力は20Wと、昨今の小型D級アンプと比較すれば小さく感じるスペックですが、真空管アンプは数値以上の音量感を体感できるうえ、宅録環境や自宅練習での使用を考えれば、むしろ扱いやすい大きさなのではないかと思います。

 フロント・パネルのコントロールはゲイン、ベース、ミッド、トレブル、ボリュームの5つだけとシンプルですが、それぞれのコントロールは実に味のある効果を生み出します。ゲインを上げていくと音量が上がるとともに徐々に音色の艶感が増し、さらに上げるとブーミーになりつつ歪んでいきます。ボリュームは5以上にしても音量が上がらず、音色の質感が変化する感覚は、いかにもリアルな真空管アンプらしい挙動で好印象です。ベースは柔らかく、トレブルも高過ぎず、昨今のアンプのようなタイトなコントロールとは対極にある効果ですが、“アンプを操作して音を作っている”感がとても心地よく、音色の変化そのものが楽しく感じられます。

 動画では3種類のベースを使って、それぞれの音色の違いを聴いていただいていますが、楽器の特性を生かしつつ幅広い音色を出力するPF-20Tの特徴がご理解いただけるのではないかと思います。個人的にはパッシブの楽器を弾いた時のアタック感が“コレ、コレ!”という感じで、とても心地良かったです。フラット弦でも弾いてみたかった(笑)。

Ampeg / PF-20T

 バック・パネルに目を向けると、スピーカー・アウトの他に、2つのXLRアウトを備えていることがわかります。プリアンプ・セクションのバランス出力と、位相反転段、パワー管、出力トランスを含むパワーアンプ・セクション以降のバランス出力で、どちらも本機にしか出せない艶のある音色を堪能できますが、後者のほうがより真空管アンプならではのサチュレーション感を楽しめます。

 また、真空管方式のパワーアンプは、正しい負荷(スピーカーなど)を接続していないと正しく動作せず故障の原因になってしまうのですが、本機はダミー・ロードを内蔵しているので、スピーカーから音を出さなくても使用できるのが大きな特徴です。いかにもラインっぽいベースの音色に悩んでいた宅録派のベーシストには嬉しい機能ですね。

 小型でリーズナブルな価格設定ながらもレコーディングやライブ、はたまた自宅練習や宅録など、さまざまな場面で即戦力として活用できるPF-20T。何より本物の真空管アンプでしか味わえない独特の音質を、ぜひとも多くのベーシストに体感していただきたいです。

コントロール・パネルは、ゲインと3バンドEQ、ボリュームと非常にシンプル。Ampegロゴ下のLEDはスタンバイ時には赤に点灯する。

バック・パネルには、スピーカー・アウトに加え2系統のDIアウトなど、充実した出力端子を装備している。

筐体上部にはケージ風カバーに覆われた真空管が鎮座する。パワーアンプ部は6V6を、プリアンプ部は12AX7を2本ずつ搭載。

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製品情報

Ampeg / PF-20T

価格:¥120,000 (税別)

【スペック】
■出力:20W(4Ω or 8Ω) ■プリアンプ:12AX7×2 ■パワーアンプ:6V6×2 ■コントロール:ベース(+8/-12dB@50Hz)、ミッド(+5/-15dB@550Hz)、トレブル(+12/-20dB@8kHz)、プリ/ポストEQスイッチ、グラウンド/リフト・スイッチ、バイアス・コントロール ■入出力端子:インプット、スピーカー・アウト、プリアンプ・バランスド・ライン・アウト、トランスフォーマー・バランスド・ライン・アウト ■外形寸法:330(W)x264(D)×185(H)mm ■重量:約6.9kg
【問い合わせ】
神田商会 TEL:03-3254-3611 https://www.kandashokai.co.jp/flos/ampeg/bass_amplifiers/portaflex/pf-20t.html
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