ドイツの老舗ブランドWarwickから創立35周年を記念して、同社の代表的なモデル「Thumb Bass」のアニバーサリー・モデルが2タイプ、リリースされました。スルーネック・タイプの「Custom Shop Series Thumb NT Ltd 2017 35th Anniversary」とボルトオン・タイプの「Germany Pro Series Thumb BO Ltd 2017 35th Anniversary」ですが、今回は後者のモデルを細部にわたってご紹介していきましょう。

　本器の最大の特徴は、杢目の美しいフィギュアード・メイプル・バールをボディ・トップに採用している点でしょう。特別な木材を用いて同社のドイツ工場が誇る職人の手によって丹念に製作されるCustom Shop Seriesに対して、Germany Pro Seriesは同じくドイツ製ながらチーム・ビルドにて優れたコストパフォーマンスを実現したラインナップですが、本器はさすがにアニバーサリー・モデルだけあって充分にゴージャスな印象を与えるルックスとなっています。ボディ・バックはマホガニーですが、一般的な楽器よりもトップ材が厚いため音色に与える影響も大きいでしょう。また、ネック材はWarwickでは定番のウェンジを、指板はエボニーを使用しており、ヘッド・トップにはメイプル・バールが丁寧に貼り付けられています。プリアンプは2バンドEQのMEC製ですが、ピックアップは現行のThumb Bassで搭載しているMEC製ではなく、初期のThumb Bassと同じEMG製を採用している点も大きな特徴と言えるでしょう。

　音色は、いかにもアクティブ・ベースらしい明るい抜けの良さが印象的です。ボルトオンならではのタイトなアタック感があり、中音域の厚みに特徴のあるマホガニーと、カラッとした抜けの良さが特徴のメイプルの、ボディ材それぞれの特徴も音色にもよく表われていると感じました。2バンドEQはモダンな楽器らしい効きの良さで豪快な音色変化を確認できますね。バランサーを操作すると音色の幅は予想以上に広く、リア寄りの繊細でクリアな音色も、フロント寄りのモッチリとしつつも抜けの良い音色も、どちらも甲乙つけがたく、かなりのサウンド・バリエーションが楽しめそうです。

　今回、試奏してみて改めて感じたのはThumb Bassがとても幅広い音楽性に対応できる楽器であるという点ですね。ジャズ・ファンク系の音色はもちろん、ソロ楽器としても唯一無比のカラーがあり、現代的なドライブ・サウンドとも相性が良さそうです。もちろん、本器ならではのスペックに起因する音色的な特徴も大いにあると感じました。同じ杢目はふたつとないバール材をボディ・トップに採用した本器ですが、4弦と5弦、それぞれ100本の限定生産ということで、気になる方は早めにゲットしたほうが良さそうですね。