トップクラスのサウンド&使い勝手の良さで復刻の枠を超えた真空管アンプ!

Fender USA
68 Custom Deluxe Reverb

 電源を入れて、所謂「ギンパネ・デラックスのリイシュー」だと思いながら音を出してみたが、様々な点で期待を裏切られた。まず、このアンプは見た目こそ60年代後期のギンパネアンプだが、いくつかのポイントはヴィンテージの復刻という事を意識していない。

 まず、レギュラーチャンネルは「CUSTOMチャンネル」と名称を変え、デラックスではなく59ベースマンタイプのトーン回路を持っている。これが非常に良い結果を生み、このアンプの使い勝手を良くしている。ベースマンのトーン回路はフェンダーアンプの中でもファンが多いツィードアンプが持つ「暗めのサウンド」で、JTM系ブリティッシュアンプ的なトーンを持っている。クラプトンやジェフベック、キース・リチャーズ等が愛用したツィードベースマンのトーンだ。ディストーションやファズペダルとの相性も良く、勿論シャープなシングルコイルギターを心地よくドライブさせるのにも都合が良い。しかもヴィンテージアンプでは左側のチャンネルにはリバーブがかけられないが、このリイシューモデルでは、こちらのチャンネルにもリバーブがかかる様になっている。これがどれだけありがたいことかは、フェンダーアンプユーザーであればおわかりいただけるだろう。59ベースマンタイプにリバーブが付いているのだから、使い勝手は申し分ない。右側のチャンネルは往年のギンパネらしくコンプ感と高域のヌケ感が心地よい。ハムバッカー・ピックアップで歪ませるなら、このチャンネルはかなり良い結果を生んでくれるだろう。もちろん、シングルコイルピックアップではクランチーでキレのある音色を生んでくれる。

 スピーカーはオリジナルではジェンセンをマウントだったが、今回のリイシューではセレッションのG12V-70をマウント。ジェンセンモデルに比べミッドに存在感があり、音も飛ぶ印象。アメリカンアンプよりもブリティッシュアンプのトーンフレンドリーなセレッションスピーカーのチョイスが、CUSTOMチャンネルにより良い結果を与えていると言えるだろう。

 レコーディングは勿論、2〜300人規模のライブハウスであれば、かなり使い勝手が良く、心地よいクランチドライブが程良い音量で得られるだろう。コンパクトペダルとの相性やアンプ自体のサウンドのバリエーションも多彩。この価格で手に入る真空管アンプの中でもトップクラスのサウンドを持っていると言えるだろう。

  • Fender USA / 68 Custom Deluxe Reverb

Specifications

●出力:22W ●チャンネル:2(カスタム/ヴィンテージ)●真空管:12AX7×4、12AT7×2(プリ部)、6V6×2(パワー部)、5AR4×1(整流管)●スピーカー:セレッションG12V-70×1 ●コントロール:【ヴィンテージチャンネル】ボリューム、トレブル、ベース、リバーブ、スピード、インテンシティー【カスタムチャンネル】ボリューム、トレブル、ベース ●入出力端子:インプット×4、フットスイッチ ●外形寸法:622(W)×241(D)×445(H)mm ●重量:約19kg
価格:175,000円(+税)

製品情報・問い合わせ:フェンダー/山野楽器海外事業部

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[試奏者PROFILE] 村田善行(むらた・よしゆき)

株式会社クルーズにてエフェクトペダル全般のデザイン担当、同経営の楽器店フーチーズ(東京都渋谷区)のマネージャーを兼任。ファズ関連・エフェクタ全般へのこだわりから専門誌にてコラムを担当する他、覆面ネームにて機材の試奏レポ/製品レビュー多数。