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Collings コリングス・ギター

世界的に希少なモデルも初公開!
ハイエンド・ギター6モデルの
サウンドを試奏動画でチェック!

Collings コリングス・ギター
コリングス・ギター 6モデルのサウンドを有田純弘がチェック! | コリングス・ブランド・ストーリー

米国テキサス州オースティンで、高いクオリティのギターを作り続けているコリングス。その質の高さ・音の良さは世界のトップ・プロが認めるところで、アコースティック・ギターの新しい基準を作ったといっても過言ではない。 今回の特集では、コリングスの歴史と音の秘密を紹介する。まずは6本のコリングス・ギターのサウンドを聴き比べる動画を見ていただきたい。演奏は、自身もコリングス・ユーザーであり、ギターはもちろんバンジョーやマンドリンなども弾きこなす凄腕のマルチ弦楽器奏者・有田純弘氏によるものだ。早速、音と映像で、コリングス・ギターの魅力に迫ってみよう。

世界的に希少なモデルも初公開!
有田純弘がコリングスのサウンドをデモ演奏で披露

 今回用意した6本のコリングス・ギターには世界的に希少なモデルも含まれている。生産数が少なく全国的には試奏することが難しいコリングスのサウンドを、まずは動画でチェックしていただきたい。演奏者は“弦楽器ソムリエ”として名高い有田純弘氏。各個体の特性を明確にするため、前半はあえて共通の演奏(フィンガーと、フラットピックの2種類)をお願いし、後半はそのギター本来の個性を活かした演奏となっている。それでは、早速サウンドの違いを聴いていこう。

CJ Koa / SB (Flamed Koa Side & Back / Abalone Rosette / Koa Sunburst)

 CJはコリングス・ジャンボの略で、ラウンド・ショルダー・タイプのドレッドノート・モデル。本機はサイドとバックにコア材を使用。コリングスの創始者、ビル・コリングスによると「コア材は質にバラつきがあるので、固くてパリパリのものを選んでいる」とか。本機のコア材は素晴らしい木目をもつ貴重なものだ。

力まず弾いても艶のある音が飛び出してくる

有田:指弾きでもピック弾きでも粒立ちが良く、サステインが素晴らしい。ピアノのようなサステインですね。実にコントロールしやすいです。
 レスポンスも凄く良くて、力まず弾いても艶っぽい音が飛び出してきますね。この艶っぽさにブルージーな感覚を刺激されましたが、アタックを強調した弾き方をしても耳に痛くないですし、アグレッシブでワイルドなギターですが、ヘンな癖がなく、音に品があります。
 ネックもしっかりしていますし、テンション感も程良く、実に弾きやすい。カントリー、ブルース、ボサノバ等オールラウンドにいけますから、弾き語りの人はこれを1本持っているとステージに出るのが楽しくなるでしょうね。延々と弾きたくなる1本です。

CJ Koa / SB (Flamed Koa Side & Back / Abalone Rosette / Koa Sunburst)

▲アバロンのロゼッタ(サウンド・ホール周りの装飾)が美しい。


▲サイドのコア。ため息がでるような素晴らしい材だ。


▲バック

【Specifications】
●ボディ・サイド&バック:フレイムド・コア・サイド&バック(+231,000円)●バックストリップ:シンプル・ウォルナット●パーフリング:ブラック/ホワイト・ウッド・ストライプ●ロゼッタ:アバロン・ロゼッタ(+39,900円)●バインディング:アイボロイド●指板:エボニー(アイボロイド・バウンド)/パール・ドット・インレイ●ペグヘッドオーバーレイ:ローズウッド(アイボロイド・バウンド)●トップ:セレクテッド・スプルース・トップ●ブレイシング:プリウォー・スキャロップド(アドバンスドXパターン)●ピックガード:べっ甲●ネック:グロス・フィニッシュド・マホガニー●ナット幅:1 11/16インチ(42.9mm)●スケール:25.5インチ●ヘッド:オリジナル・ソリッド・ヘッド●ブリッジ:エボニー●チューナー:ウェーバリー・ニッケル●フィニッシュ:ハイグロス・ラッカー・フィニッシュ●カラー:コア・サンバースト(+94,500円)●ケース:デラックス・ハードシェルケース●定価:1,047,900円(税込) ※赤文字部分はオプション仕様です

 

C10GC / SB (German Spruce Top / Tobacco Sunburst Color / Cutaway)

 Cシリーズはボディ形状をはじめコリングスならではのオリジナルなアイデアを満載したコンテンポラリー・モデル。コンパクトなボディと癖のない丸みを帯びたラウンド・シェイプのネック形状がストレス・フリーな演奏を実現している。

ビンテージのまろやかさとアタックの明確さを両立

有田:これは身体にフィットして、抱えやすいですね!どのポジションでもリラックスして、楽に弾けます。
 このギターも、指もピックも両方いけますね。ギラッとしたところはありつつ、ピックで弾いても高音のチャラチャラした安っぽさがないです。音の感じは……なんというか、他のメーカーにはない音像で、説明が難しいですが、音の出方が独特です。
 ビンテージの箱鳴り感やこなれている感じ、まろやかさは十分にありながら、アタックも明確に出ます。こういうギターはなかなかないんですよ。撫でるように、リラックスして弾いてもしっかり鳴りますね。単音で弾いても寂しい感じがまったくしませんから、セッションでリードを弾く時にもいいと思います。

C10GC / SB (German Spruce Top / Tobacco Sunburst Color / Cutaway)

▲同社のエレクトリック・モデルに多いオリジナルのヘッド。アコギでは珍しい。


▲カッタウェイ・タイプなのでハイポジションも楽に演奏できる。


▲バック

【Specifications】
●ボディ・サイド&バック:マホガニー●カッタウェイ(+94,500円)●パーフリング:アイボロイド●ロゼッタ:アイボロイド●バインディング:アイボロイド●指板:エボニー/パール・ドット・インレイ●ペグヘッドオーバーレイ:エボニー●トップ:ジャーマン・スプルース・トップ(+47,250円)●ブレイシング:プリウォー・スキャロップド(アドバンスドXパターン)●ピックガード:べっ甲●ネック:グロス・フィニッシュド・マホガニー●ナット幅:1 11/16インチ(42.9mm)●スケール:25.5インチ●ヘッド:オリジナル・ソリッド・ヘッド●ブリッジ:エボニー●チューナー:シャーラー・ミニ・ニッケル●フィニッシュ:ハイグロス・ラッカー・フィニッシュ●カラー:サンバースト(+94,500円)●ケース:デラックス・ハードシェルケース●定価:824,250円(税込) ※赤文字部分はオプション仕様です

 

O-1

 14フレット・ジョイントモデルとしてはBabyシリーズの次に小さい、一般的にいうコンサート・モデル。Dシリーズと比べれば低音の迫力は若干劣るが、繊細かつ甘く優しい音色はまるで語りかけるかのような表現力を持ち合わせたモデルといえる。

自分の声のように扱えるブルージーな1本

有田:ボディが身体にジャストフィットして、最初から弾きやすいです。この位小さいと、日本人には馴染みやすいですね。ネック周りも仕上げが丁寧で弾きやすいですし、レスポンスが速い。シングル・オー・サイズの割には、ボリュームがあります。
 サステインが長いのもコリングスならではで、まるで自分の声のように扱うことができる楽器ですね。音色は、ブルースには最高です。楽器から受けるインスピレーションで自由に試奏するパートでは自然とブルージーなプレイになったというか、プレイヤー・マインドを刺激されました。
 このサウンドでこの弾きやすさですから、言うことありませんね。ビンテージ・ファンも心をくすぐられるのではないでしょうか。こういう楽器で練習するとどんどん上手くなりますから、お勧めです。

O-1

▲色気すら感じさせる、ボディライン。


▲このくびれが、抱えたときに抜群のフィット感を生みだす。


▲バック

【Specifications】
●ボディ・サイド&バック:マホガニー●バインディング:べっ甲●パーフリング:ブラック/ホワイト・ウッド・ストライプ●ロゼッタ:ブラック/ホワイト・ウッド・ストライプ●指板:エボニー/パール・ドット・インレイ●ペグヘッドオーバーレイ:エボニー●チューナー:ウェーバリー・ニッケル●トップ:セレクテッド・スプルース・トップ●ブレイシング:プリウォー・スキャロップド(アドバンスドXパターン)●ピックガード:べっ甲●ネック:グロス・フィニッシュド・マホガニー●ナット幅:1 11/16インチ(42.9mm)●スケール:24 7/8インチ●ヘッド:ソリッド・ヘッド●ブリッジ:エボニー●フィニッシュ:ハイ・グロス・ラッカー・フィニッシュ●ケース:デラックス・ハードシェルケース●定価:567,000円(税込) ※赤文字部分はオプション仕様です

 

OM-2HCE (Engelmann Spruce Top / Cutaway)

 フィンガースタイル・ソロイスト(スチールストリング)の中でもっともポピュラーでフラットピッカーにも多く愛用されているOMは、ボディ・サイズはコンパクトではあるが、Dシリーズと同じスケールを採用するなどのアイデアにより十分な音量と繊細なトーンを実現。本機はそのカッタウェイ・バージョンだ。

ナイーブで優しく、美しいハーモニクスがしっかり出る

有田:良い意味で、道具として優れているという印象です。OMでカッタウェイというのは、個人的には欲しいモデルです。パリッとしているんですが、固いという感じではなく、とてもピュアで品がありますね。ピックでストローク、フィンガーでアルペジオ、どちらもいけます。
 イングルマン・スプルースのせいか、とてもナイーブな優しい音でありながら、腰があり、力強さも備えています。他のメーカーにはないギターですね。
 思わずハーモニクスを多用したプレイをしましたが、動画でも確認できるあの辺りのハーモニクスが綺麗に出るかどうかが、プロの道具として使えるかどうかの判断材料にもなっています。これは文句なしですね。サステインの良さも、このギターの持ち味です。

OM-2HCE (Engelmann Spruce Top / Cutaway)

▲ストレス・フリーな演奏を実現するカッタウェイ。


▲ここまで黒々としたエボニーは近年、なかなか無い。ポジションマークがおしゃれ。


▲バック

【Specifications】
●ボディ・サイド&バック:イースト・インディアン・ローズウッド●カッタウェイ(+105,000円)●バインディング:グレインド・アイボロイド●パーフリング:ヘリンボーン●ロゼッタ:クロスカット・グレインド・アイボロイド/ウッド・ストライプ●指板:エボニー/トラディショナル・ダイアモンド&スクエア・インレイ●ペグヘッドオーバーレイ:ローズウッド●チューナー:ウェーバリー・ニッケル●トップ:イングルマン・スプルース・トップ(+47,250円)●ブレイシング:プリウォー・スキャロップド(アドバンスドXパターン)●ピックガード:べっ甲●ネック:グロス・フィニッシュド・マホガニー●ナット幅:1 11/16インチ(42.9mm)●スケール:25.5インチ●ヘッド:ソリッド・ヘッド●ブリッジ:エボニー●フィニッシュ:ハイ・グロス・ラッカー・フィニッシュ●ケース:デラックス・ハードシェルケース●定価:750,750円(税込) ※赤文字部分はオプション仕様です

 

D-2H SRG (German Spruce Top / Sacha Rosewood Body)

 非常に貴重なサチャ・ローズウッドをサイド&バックに使用したドレッドノート・タイプのモデル。サチャ・ローズウッドは供給が極めて不安定で、現段階で今後の生産の目途は立っていないため、本機は実に貴重なモデルだといえる。

絶妙のバランスを誇る、ありそうでない名機

有田:これは良いですよ!ありそうでない名機です。弾いていて、とても新鮮味がありました。
 通常、ドレッドノート・タイプのギターは、低音が出る程鳴らしにくくなるんですが、これは本当にバランスがいいです。とても鳴らしやすいんですが、ドライではない。例えて言うならマーティンのD28とD18の間のイメージでしょうか。これがサチャ・ローズウッドの特性かもしれません。低音の出方、ダイナミクス、各弦の分離の良さなど素晴らしいですね。プリング・オフの音もくっきりと出ます。
 コリングスはどのギターも弾きやすいですが、このギターも弾いていて思い通りに指が動きます。トラディショナルなカントリーやブルーグラスはもちろん最高ですが、ポップスのバックでも最高でしょう。

D-2H SRG (German Spruce Top / Sacha Rosewood Body)

▲超希少材、サチャ・ローズウッドを使ったボディ・サイド。


▲バックもサチャ・ローズウッド。マホガニーとローズウッドの中間的なサウンドが特徴。


▲バック

【Specifications】
●ボディ・サイド&バック:サチャ・ローズウッド(+136,500円)●バインディング:グレインド・アイボロイド●パーフリング:ヘリンボーン●ロゼッタ:クロスカット・グレインド・アイボロイド/ウッド・ストライプ●指板:エボニー/トラディショナル・ダイアモンド&スクエア・インレイ●ペグヘッドオーバーレイ:ローズウッド●チューナー:ウェーバリー・ニッケル●トップ:ジャーマン・スプルース・トップ(+47,250円)●ブレイシング:プリウォー・スキャロップド(アドバンスドXパターン)●ピックガード:べっ甲●ネック:グロス・フィニッシュド・マホガニー●ナット幅:1 11/16インチ(42.9mm)●スケール:25.5インチ●ヘッド:ソリッド・ヘッド●ブリッジ:エボニー●フィニッシュ:ハイ・グロス・ラッカー・フィニッシュ●ケース:デラックス・ハードシェルケース●定価:782,250円(税込) ※赤文字部分はオプション仕様です

 

D-1A Varnish (Adirondack Spruce Top / Varnish Finish)

 プリウォー(戦前)のドレッドノート・スタイルを基準に、細部にわたりコリングス流のアレンジを加えて完成したDシリーズ。本機はD-1をベースにアディロンダック・スプルース・トップを採用、ヴァーニッシュ・フィニッシュを施した逸品だ。

本当のアコギの味わい深い音がする逸品

有田:うわー、生々しい!いやー、どうしよう……。これは素晴らしいです。もうコメントをするより、音を聴いてもらえば全てわかるんじゃないでしょうか?コードを一発鳴らすだけで、レスポンスの良さ、ダイレクト感が伝わると思います。この生々しさがヴァーニッシュ・フィニッシュの特徴だとしたら、凄い技術ですね。
 一般に音源として発売されているアコースティック・ギターの音は、ミキシングやマスタリングの段階でかなり加工されてしまっているのですが、レコーディング直後の生々しい音こそ、本当のアコースティック・ギターの音なんですね。このギターは、そんな“余計なものが何も足されていない音”がします。いつまでも反芻していたくなる最高の料理のような、味わい深い音です。

D-1A Varnish (Adirondack Spruce Top / Varnish Finish)

▲噂のヴァーニッシュ・フィニッシュ。塗装でここまで音が変わるとは、驚きの技術だ。


▲角ばったヘッドとウェバリーのペグがマッチして、シンプルで美しい佇まい。


▲バック

【Specifications】
●ボディ・サイド&バック:マホガニー●バインディング:べっ甲●パーフリング:ブラック/ホワイト・ウッド・ストライプ●ロゼッタ:ブラック/ホワイト・ウッド・ストライプ●指板:エボニー/パール・ドット・インレイ●ペグヘッドオーバーレイ:エボニー●チューナー:ウェーバリー・ニッケル●トップ:アディロンダック・スプルース・トップ(+157,500円)●ブレイシング:プリウォー・スキャロップド(アドバンスドXパターン)●ピックガード:べっ甲●ネック:マホガニー●ナット幅:1 11/16インチ(42.9mm)●スケール:25.5インチ●ヘッド:ソリッド・ヘッド●ブリッジ:エボニー●フィニッシュ:ヴァーニッシュ・フィニッシュ(+315,000円)●ケース:デラックス・ハードシェルケース●定価:1,039,500円(税込) ※赤文字部分はオプション仕様です

【総評】プロの道具として即使えるギター!

有田:コリングスのギターは、どのギターも音の芯がしっかりしていて、プロのプレイヤーが即コンサートやレコーディングで使えるレベルですね。音程の良し悪しは、プロが道具として使えるかどうかのバロメーターになりますが、コリングスは全く問題ないです。
 デッドポイントが全くないのも素晴らしい。デザインの段階から、相当考え抜かれているんだと思います。音程が良くてデッドポイントがなく、全ての音域でバランス良く豊かに鳴る。サステインが非常に長いのも特徴ですね。コリングスがピアノ・ライクと言われる所以でしょう。
 ギターによっては、ピックを選ぶ楽器というのがあるんです。固いピック・柔らかいピックなど、どんなピックを使うかで音がまったく変わってくる。コリングスもやはり音自体は変わるんですが、クオリティが下がらない。ピックに左右されずに良い音がします。
 今日弾いたギターはどれも素晴らしかったですが、D-2H SRGの絶妙なバランス、D-1A Varnishの生々しさと反応の素晴らしさは、強く印象に残りました。

【Profile】
ありた・よしひろ。1957年、大阪府生まれ。バンジョー、ギター、マンドリンなどを操るマルチ弦楽器プレイヤー。ビンテージから新製品まであらゆるアコースティック楽器を知り尽くし、“弦楽器ソムリエ”とも称される唯一無二の存在。ジャンル無用ながら、ブルーグラスには特に精通し、ドレッドノートに一家言ある氏が愛用するのは、コリングスD-1。

有田純弘オフィシャルサイト

 

 

Part 2:コリングス ブランド・ストーリー >>>

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