すこし足すだけで音の張りと太さに違いがでる
スパイス感覚で使える大人のちょい足しエフェクター

HaTeNa?
The Spice

[2013/1/30] 文&試奏:井戸沼 尚也/写真:星野 俊

 オリジナリティ溢れるハンドメイド・エフェクター・メーカーとして知られるHATENAから、コンプレッサー、プリアンプの要素を併せ持つSpiceが発表された。

 まずはアンプのセッティングをクリーンにし、試奏開始。このエフェクターにオン・オフのスイッチはない。基本的に繋ぎっぱなし・かけっぱなしにするためのものだからだ。動画で弾きながらオン・オフを繰り返しているのは、Soloスイッチ。もう一味、太く前に出すためのクリーン・ブースト・スイッチと思えばわかりやすいかもしれない。サウンドのニュアンスはそのままに、太く張りが出ているのがオン、細く小さく鳴っている時がオフだ。サウンドの基本的なニュアンスは変わらないが、ほんのひと匙分のテイストを加える大人のちょい足しエフェクター、まさにスパイスだ。

 次にアンプのセッティングをオーバードライブさせて試してみたが(Spiceで歪ませているわけではありません)、やはりクリーンの時と同様、Soloスイッチをオンにすると張りや太さが明らかに違う。しかし、サウンドそのものが変わってしまうわけではない。

 Spiceの対象はギターだけではなく、アンプを通して音を出す全ての楽器に使用可能だそうなので、他の楽器(ベースとか、エレピとか……)でも試してみたいところ。例えばライブ時のエレアコの“もうちょい感”解消等にも威力を発揮しそうだが、やはりレコーディングのシビアな状況下でバンド全体のサウンドの質を上げる使い方がベストか。エンジニアさんが隠し持っていると、バンドのメンバーに喜ばれること間違いなしだ。

HaTeNa?
The Spice

[SPECIFICATIONS]
■コントロール:ボリューム、センシティビティ、ゲイン、カラー、ソロ、タイト ■入出力端子:インプット×2(ハイ/ロー)、アウトプット ■電源:9Vアダプター、9V電池 ■外形寸法:150(W)×100(D)×60(H)mm ■重量:約570g
価格:オープン・プライス(市場実勢価格:39,900円前後)

[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。