この価格とサイズでエクスプレッション・ペダル搭載
VOXのコンパクト・マルチ・エフェクター

VOX
Stomplab IIG

[2013/2/7] 文&試奏:井戸沼 尚也/写真:星野 俊

 とてもリーズナブルな価格なのに、高級感がある外観と104種類ものモデリング・エフェクトを搭載したマルチ・エフェクターが本機だ。小さいながらVOXのロゴが眩しいエクスプレッション・ペダルも付いている!これは、踏むしかない。

 まずはエクスプレッション・ペダルを、ワウ・ペダルとして使ってみる。これはVOXだけに、当然の選択でしょう。本機はワウの効果だけではなく、クランチさせた音も他のペダルを使わずに作ることができるのが、とても便利(アンプは、どクリーンの状態)。最初はペダルが小さすぎて操作感が掴みにくかったが、2~3分踏んでいるうちに問題なくなった。

 次に、シンセ・ベースにオート・ワウをかけたような音を、ペダルで操作。これは、面白い!通常のワウ・ペダルではこの音は絶対に出せないし、オート・ワウではこれだけフレーズに連動させられない。この音色のためだけでも欲しいと思った。

 続いて、モジュレーションの深さをペダルで操作。“余韻をコントロールできる”のは、さりげない効果だが、演奏者にとってはかなり新鮮な感覚だ。

 最後に、ノーマルな音にリング・モジュレーター的な音を混ぜてみる。混ぜ具合をペダルで操作できるので、なにか時折、おかしくなってしまう感じが出せる。ぜひ、スーツを着て演奏するような正統派のジャズ・プレイヤーに、おかしくなってみていただきたい。

 ちょっと変わった使い方ばかり試したが、もちろん普通のディストーション、普通のコーラス系クリーン・トーンもばっちり。この値段なら、買って損はないと思う。

VOX
Stomplab IIG

[SPECIFICATIONS]
■エフェクト数:104 ■プログラム数:120(ユーザー:20、プリセット:100)■コントロール:カテゴリー(バラード、ジャズ/フュージョン、ポップ、ブルース、ロック・アンド・ロール、ロック、ハードロック、メタル、ハードコア、アザー、ユーザー)、ゲイン/バリュー1、レベル/バリュー2、エディット・ボタン、エフェクト・タイプ・セレクト・ボタン ■入出力端子:インプット、アウトプット/ヘッドフォン(ステレオ/モノ)■電源:単三乾電池×4、9Vアダプター ■外形寸法:207(W)×125(D)×57(H)mm ■重量:780g
価格:9,450円

[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。