デジマート・マガジン > 製品動画 > T's Guitars / ARC-STD 24

安定したピッチと素直な反応が魅力の
材も造りも美しい国産ハイエンドモデル

T's Guitars
ARC-STD 24

[2013/3/21] 文&試奏:井戸沼 尚也/写真:星野 俊

 国内で質の高いギターを生産しているT's Guitars。その顔ともいえるARC-STDシリーズに24フレット仕様が加わった。手にしてみると、使用されている木材の選定、細部の仕上げ(例えば、スイッチやノブの周囲が彫り込まれてコントロールしやすくなっている)や塗装の素晴らしさ等、高い技術で製作されていることがすぐにわかる。

 プレイしてまず感じたことは、弾いていて非常に楽なギターだということ。ネックやフレットの処理が良いせいか、どこをどう弾いてもストレスがない。バズ・フェイトン・システムによるピッチの良さも、それに一役買っている感じ。感覚としては「ピアノを弾くってこんな感じか」と思わせるほど、選ぶポジションや弦によるストレスがない。

 サウンドの素直さ、反応の良さも印象的。オリジナルのハムバッカーは、ミドルやローにヘンなクセがなく、ハイが素直に出る。動画の後半、やや高めのゲインでソロを弾いているあたり、リアピックアップを選択してプレーン弦を弾いている時の“カツン”というアタックがわかるだろうか? その後、ピックアップをフロントに切り替えても、5~6弦あたりのもたつき感は全くなく、1弦の音もしっかりと伸びやかに出る。出来の悪いピックアップだと、こうはいかない。

 そうした状況下での演奏だが、かなりブライトなトーンのものから、口径が小さいスピーカーのレンジが狭い感じのトーンまで、同一のセッティングでありながら、キャビとマイキングの違いでこれだけ音が変わることに驚くだろう。特に考えずにアンプ・ヘッドとセットのキャビを使っていた人も、見直す機会になるはずだ。

 これは、無理に強く弾かなくてもよいギター。タッチを大切にする人に勧めたい。

T's Guitars
ARC-STD 24

[SPECIFICATIONS]
■ボディ:メイプル(トップ)、マホガニー(バック) ■ネック:マホガニー ■指板:エボニー ■フレット:24 ■ピックアップ:T'sオリジナルDH-250n(フロント)、DH-250b(リア) ■コントロール:ボリューム、トーン(プルタップ)、3ウェイ・トグルスイッチ ■ブリッジ:ウィルキンソン by ゴトーVS-100N with バズ・フェートン・チューニング・システム ■ペグ:ゴトー・マグナム・ロック ■カラー:チャコール(写真)、アークティック・ブルー、センチュラ・ブルー
価格:420,000円

[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。