弦のニュアンスまで再生する温かみのある3chチューブ・アンプ。
モダン・ハイゲインの新たな名作登場か!?

DIEZEL
D-MOLL

[2013/4/11] 文&試奏:井戸沼 尚也/写真:星野 俊

 ディーゼルの新作は、3チャンネルのチューブ・アンプ。クリーントーン中心のチャンネル1、クランチ中心のチャンネル2、ハイゲインのチャンネル3と、ミドル・カットや超低音の質感を調整するDEEPコントローラーが付いている。

 この仕様だし、これはハイゲイン系だろうから、チャンネル3から弾いてみることにした。しばらくリフを弾き、リード・トーンを試してみたが……これは素晴らしい!これだけ歪みが深いのに、ちゃんとSG、ちゃんとP-90の音がしている!しかも動画の1分前後のところでは、1弦、2弦、3弦をそれぞれチョ―キングした時の、弦の違いがニュアンスとして出ているのがわかるだろうか。サスティンも長く、どこで止めるか決めるまでいくらでも伸びる。これは、弾く方は楽だ。

 次に、チャンネル2でリフやコードを弾いてみた。私には、これでも十分ハイゲインに感じる。チャンネル2は私の追い込み方が足りなかったのか、3程の感動はなかった。

 続いてチャンネル1のクリーン。ハイゲイン・アンプのクリーンは、おまけ程度のしょぼいものもあるが、これはしっかりと使える音。ブライトにしても機械的にならず、温かみがある印象だ。

 最後に、DEEPコントローラーをいじってリフを弾き、途中からミドル・カット・スイッチを入れる。ドンシャリになり、ミュート時の音圧が上がったことがはっきり分かるだろう。これは使いやすくて、良いアンプだ。数年後に名作と呼ばれていても、不思議ではない。ヘヴィ系のギタリストはもちろん、ハイゲインが必要なフュージョン系のギタリストにもおススメだ。

DIEZEL
D-MOLL

[SPECIFICATIONS]
■出力:100W ■チャンネル:3 ■真空管:12AX7×6(プリ部)、KT77×4(パワー部)■コントロール:ループ・スイッチ、ミュート・スイッチ、ストア・スイッチ、チャンネル切替スイッチ×3、プレゼンス、ディープ【チャンネル1】ゲイン、ボリューム、トレブル、ミドル、ベース 【チャンネル2】ゲイン、ボリューム 【チャンネル3】ゲイン、ボリューム 【チャンネル2+3】トレブル、ミドル、ベース 【マスター】マスター1、マスター2 【ミッド・カット】インテシティ、レベル ■入出力端子:インプット、Compensated(レコーディング)・アウト、スピーカー・アウト×5、MIDIイン/スルー、コロンバス、シリアル・ループ(センド/リターン)、パラレル・ループ(センド/リターン)、FS7HE ■外形寸法:590(W)×295(D)×270(H)mm ■重量:23kg
価格:367,500円

[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。