　VOXからスプルース・トップのVirageが登場した。Virageといえば、クリーン、クランチ、リードの３種のサウンドを選択できるピックアップを搭載したVOXのフラッグシップ・モデルで、通常はアッシュやマホガニーからトップを選択できる仕様（フィニッシュ毎に材が決まっているので、色を選ぶ＝材を選ぶことができる）。本機は、その限定版になる。

　まずはピックアップの３種の音色をチェック。順にクリーン、クランチ、リードなのだが、アンプを“どクリーン”に設定していため、ちょっと分かりにくいかも……。そのままクリーン・トーンでソロ。非常に、弾きやすい。実は以前VOXの廉価版のモデルを所有していたことがあり、それも非常に弾きやすく音の良いギターだったが、流石に本機は演奏性・サウンドともそれを上回る。とにかく弾いていてストレスがない。これはネックの握りやフレット周りだけの問題ではなく、ピッチが良い、サスティンが自然で長い、デッドポイントがない、弾いていて疲れないなど、ギターとしてのバランスが良い証拠。サウンドも、どれを選択しても使える。これは良いギターだ。

　他の材のVirageと比較していないので、正直スプルース・トップの良し悪しについては言及できない。しかし、このギターのトータル・バランスの良さ、ポテンシャルの高さにははっきりと折り紙を付けられる。本機は限定版だが、できればたくさんの人にVirageを試してもらいたいと思った。

VOX
Virage II Butterfly VG2SC-BFCT

[SPECIFICATIONS]
■ボディ：スプルース（トップ）、マホガニー（バック） ■ネック：マホガニー ■指板：インディアン・ローズウッド ■フレット：22 ■スケール：638mm ■ピックアップ：CoAxe×2 ■コントロール：ボリューム、トーン、3ウェイ・ピックアップ・セレクター、ピックアップ・モード・スイッチ（クリーン／クランチ／リード）×2 ■ペグ：スーパー・スムーズ・チューナー ■ブリッジ：VOX MaxConnectアルミニウム・ブリッジ ■カラー：パーク・ナチュラル ■付属品：ハードケース
価格：オープン・プライス（市場実勢価格：250,000円前後）

[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也（いどぬま・なおや）
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター／エディターの2本立てで活動中。