ヘヴィなリフに最適なB.C.リッチの8弦ギター!
胃袋が震え、べーシストに怒られる重低音を体感せよ!

B.C.Rich
OUTLAW 8

[2013/10/4] 文&試奏:井戸沼 尚也/写真:星野 俊(*印のみ)

 B.C.リッチの2013年のニューモデル、アウトロー。ボディもピックアップも真っ黒で、いかにもワルそうなギターだ。緑のシャツを着て、おにぎり型のピックを持つ人が弾いてよいギターではない。おまけにこのモデル、8弦なのだ。7弦/ローB、8弦/ローF♯と下に2本、弦が加わっている。恐る恐る、弾いてみた。

 せっかくだから下から弾かねばと思って、低音弦から演奏スタート。……大変に、音程が低い(当たり前)。これではベーシストに領域を侵犯していると文句を言われても仕方がない。おまけに重低音が腹に響き、なんだか胃の調子が悪くなった。浮かんでくるリフも、邪悪なものばかりである。……恐ろしいギターだ。

 サウンド的には、これだけ低い音域を弾いても音が潰れないことに感心した。また、中音域、高音域も歪みの粒がきめ細かく、弾きやすいタイプのサウンド。ネックも幅広だが8弦にしては決して広過ぎず、かなり薄いシェイプで、全体的に演奏性は良好である。

 しかし、実は私はこのギター、全く弾けなかった。できるだけ広くしない方向性の指板上に8本の弦を収めているため、弦と弦の感覚が非常に狭く、通常の6弦の感覚では弾けないのだ。3弦を弾いたつもりが4弦をピッキングしたりしてしまう。ただし、これは単純に演奏者の慣れの問題であって、本器のプレイヤビリティは非常に良好であることは繰り返しておく。

 このギターにやられっぱなしでは悔しいので、最後はクリーン・トーンでのカッティングという自分の土俵に無理やり本器を引きずり込んだ。すると案外、素直に付き合ってくれる。実はいい奴かも、と思わせるアウトローなのであった。


B.C.Rich
OUTLAW 8

[SPECIFICATIONS]
■ボディ:アッシュ(トップ)、マホガニー(バック)■ネック:メイプル■指板:ローズウッド■フレット:24■スケール:673mm■ピックアップ:ダンカン・デザインド・アクティブ・ハムバッカー×2■コントロール:ボリューム、トーン、3ウェイ・ピックアップ・セレクター■付属品:ギグ・バッグ
価格:84,000円

[試奏者PROFILE] 井戸沼尚也(いどぬま・なおや)
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジンチャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター/エディターの2本立てで活動中。