Vintage
この記事は、 ギター・マガジン2008年3月号 の「VINTAGE GUITAR CAFE」から一部抜粋したものです。
late 1930's GIBSON L-C/Century
ギブソン社が本格的にフラットトップ市場へ参入したのは1930年代のこと。シカゴ市制100周年を記念したシカゴ万国博覧会が33年に開催され,近郊のミシガン州カラマズーを本拠とするギブソンから,このイベントを記念したモデル ”L-C /センチュリー”が発売された。
L-00などで知られる L シリーズをベースにデザインされたこのギターは,14 3/4インチ幅に4 1/4インチ厚というサイズのボディを持つ小型モデルで,フローレンタイン・モデルなどのバンジョーに使われていた派手な装飾が施されている。ヘッドストック・フェイスとローズウッド製フィンガーボードの表面には,薄いパーロイド(パール柄セルロイド)の板材が全体に貼りつけられ,一般的なギターと反転するように,小さなローズウッド板がインレイとしてパーロイドの中に埋め込まれている。ネックは,24 3/4インチ・スケール。マーティン社に先行し,発売当初から14フレット・ジョイントを採用していたことは興味深い。直線的なヘッドストック・サイド・ライン,プリ・ウォー・スクリプトと呼ばれるマザー・オブ・パールから作られたロゴ・インレイなどは,戦前のギブソンを代表する特徴といえる。
ボディのサイド/バックにはアーチトップ・ギターのように良質なフィギュアード・メイプルが使用され,それを際立たせるように,ボディ裏側にもトップ側同様のサンバースト・フィニッシュが施されている。戦前の小型フラットトップで,ボディにメイプル材が使用されたのはニック・ルーカスと L-C の2機種だが,前者は専用のディメンションで作られているので,実質的にはL-Cのみが Lシリーズの中で唯一のメイプル・ボディ・モデルとも言える。また,スプルースのサウンドボード裏側には X ブレイシングが施されており,アーチトップ・ギターに通じる口当たりとはっきりとした音像を演出してくれる。30年代末頃に作られたこのモデルでは,サンバーストの中心部分が明るめの色合いになっているが,その後のギブソンのサンバースト・カラーよりもかなり小さい面積でカラーリングされている。
個性豊かな L-C/センチュリーは,流行の変化を反映するように,30年代末でその役目を終えていった。





