Vintage
この記事は、 ギター・マガジン2008年1月号 の「VINTAGE GUITAR CAFE」から一部抜粋したものです。
1958 GIBSON ES-350T
1950年代のギブソン社では,先のエレクトリック時代を見据え,いくつかの新しいギターがデザインされた。52年に発売されたレス・ポールのソリッド・ボディ,58年から登場するダブル・カッタウェイのセミ・アコースティック,そして55年から登場するシンライン・シリーズである。
55年に発売されたES-350T は,17インチ幅のアーチトップながら,一般的なフル・アコースティックが持つ3 3/8インチ厚よりも薄い,2 1/8インチ厚というシンライン・サイズに設定されている。23 1/2インチのミディアム・スケールによるネックも大きな特徴で,センターにマホガニー・ラインが入った高級感溢れる2ピース・フレイム・メイプル構造となっている。また,ヘッドストック裏側部分がブラックに,ネック全体がボディに合わせたサンバースト・フィニッシュに塗装されている。これらの仕様は同年に発売されたバードランドとの共通点も多いが,バードランドのボディ・トップにスプルース材が使用されているのに対し,ES-350T はトップを含むボディ全体に厳選されたメイプル材が用いられている。また,ヘッドストック・フェイスに入れられたクラウン・インレイ,指板上のマザー・オブ・パールによるダブル・パラレログラム・インレイといった装飾類は,このモデルが30年代から続く ES-300,ES-350P の流れを組むモデルであることの証と言える。
57年初頭,ES-350Tには他機種に先行して開発直後のハムバッキング・ピックアップがマウントされてきたが,スリムなナット幅に合わせてポールピースの間隔が若干狭く設定された特別バージョンの“P.A.F.”ピックアップがマウントされている。58年製のこのギターのナット幅は1 5/8インチ幅だが,59年には一般的な1 11/16インチへと変更されることになる。装飾や彫刻が施されたテイルピースは同モデルの専用デザイン。フォーク・ギター・タイプのストラップ・ピンは50年代までの仕様となる。Fホール内に貼られたオレンジ色のラベルには,ハイ・エンド・モデルにのみ見られる A から始まる専用ナンバーが記されている。
チャック・ベリーが愛用したことでも知られるES-350Tは,63年,ほかのモデルに道を譲る形で生産が終了された。





