Vintage
この記事は、ギター・マガジン2007年3月号の「VINTAGE GUITAR CAFE」から一部抜粋したものです。
GIBSON 1962 ES-345TD
ギブソン社が開発したセミ・アコースティック三兄弟のうちのひとつであるES-345TDは,1958年発売のES-335TD,ES-355TDに続いて,59年に登場した。同じ構造のボディ/ネックを持つこのファミリーの中間に位置する345は,他の2機種のちょうど中間と言えるクオリティのハード・ウェアや装飾が採用されている。例えば,シングル・バウンド・ボディの335に対して,345はトップのみマルティプル・バウンド,355はトップ/バックともマルティプルといった具合である。また345は,ステレオ・バリトーンが組み込まれた最初のモデルでもあった。
ES-345TDの目印となるのが,ES-175などでお馴染みのダブル・パラレログラム・インレイだが,不思議なことに345には1フレット部分のインレイがない。また,高級機種の証としてゴールド・ハードウェア類が採用され,ビブラート・ユニットが組み込まれているモデルも多い。16インチ幅のメイプル・プライウッドをアーチ状にプレス加工して作られたボディは,1 3/4インチ厚と薄く,ボディ・センター内部はメイプル・ブロックが組み込まれたソリッド構造となっている。また,ほぼ22フレットすべてがボディから突出したダブル・カッタウェイ,鮮やかなチェリー・レッド・フィニッシュといった前例のない仕様は,まさにギブソン社が提案する時代の最先端を行くアーチトップ・ギターであった。
ピックアップは,P.A.F.の呼び名で知られるオリジナル・ハムバッキング。各ピックアップは,まずチョーク・コイル/キャパシタを組み合わせて作られた6段階のミッド・レンジ・フィルター“バリトーン”を通ったあとに,各コントロールへと向かう。多くのブルースマンが,335ではなく345や355を好むのは,このバリトーンによるところも大きい。フロントとリアの各ピックアップを個別に出力するステレオ・アウトプットは,本来専用シールドを使ってステレオ・アンプへと接続するためのものである。
62年製のこのギターには,当時オプションとして用意されていたビグスビー・ビブラートが組み込まれているが,63年以降はファイアーバードでお馴染みのロング・ヴァイブローラが使われるようになる。また,すでにストップ・テイルピース用のスタッドが打ち込まれていることを隠すため,“CUSTOM MADE”と彫り込まれたプラスティック・プレートが取りつけられている。





