Vintage
1965 Gibson ES-125 3/4T(ES-140T)
ギブソン社からトラベル・サイズのエレクトリック・アーチトップ=ES-140が発売されたのは1950年。そのシルエットは,前年に発売されたフローレンタイン・カッタウェイ付きのアーチトップ=ES-175に酷似していたが,前者のボディ幅が16 1/4なのに対して,ES-140ではボディ幅が12 3/4,スケールが22 3/4に設定されていた。両者はプライウッド・メイプル製のボディ,P-90ピックアップといったスペックも共通しており,まさに兄弟モデルと呼ぶにふさわしいギターであった。
ES-140は,57年にボディ厚が1 3/4へと薄くなり,モデル名が ES-140T へと変更される。この年にノン・カッタウェイ・バージョンの ES-125T 3/4が追加された。両者の違いはカッタウェイの有無のみということになる。ところが今回登場したギターは,カッタウェイ仕様ながらラベルには ES-125 3/4T と記載されている。当時のギブソン社のカタログや出荷表にもカッタウェイ付きの ES-125 3/4T というモデルは存在していないので,本来 ES-140 であるはずのモデル名が錯綜してしまったと推測できる。
65年製の本器には,63年から採用されたメタル製ピックアップ・カバーを取りつけた P-90ピックアップが組み込まれている。カバーがクローム,テイルピースがニッケル・プレイテッドという組み合わせは,メッキの種類が切り替わる過渡期だったことを示している。アーチトップ用のブリッジ部分はレギュラー・サイズのローズウッド製,ほかの ESシリーズとも共通したデザインのテイルピースは,ボディ・サイズに合わせて短くアレンジされたクルーソン社製の専用パーツが使われている。まるでミニ・ギターのような印象のボディは,12 3/4幅&1 3/4厚に仕上げられたフル・アコースティック構造となっており,尖ったカッタウェイ先端部分を除けば,52年に発売されたソリッド・ギター=レス・ポール・モデルに驚くほど酷似している。時系列から推測すると,実際にこのモデルをベースとしてレス・ポール・モデルのシェイプがデザインされたとも考えられる。
ES-140,ES-125 3/4は,スチューデントに向けた安価なモデルではなく,ほかの ESモデル同様の高いクオリティが確保されていたが,69年に既存モデルの大幅な見直しが行なわれた際,そのラインナップから姿を消した。






