Vintage
この記事は、ギター・マガジン2008年5月号の「VINTAGE GUITAR CAFE」から一部抜粋したものです。
Late 1967 Fender Coronado II
レオ・フェンダーが自らの会社を CBS へと売却したのちの1966年に,コロナド・シリーズは発売された。つまり,レオの影響下から離脱した初めてのフェンダー・ギターということができる。開発を担当したのは,かつてリッケンバッカー社で,多くのギターを世に送り出したロジャー・ロスマイズル。62年にフェンダー社へと渡った彼は,レオとともにキングマンなどの一連のアコースティック・フラットトップの開発を行なった経緯がある。
コロナド・シリーズがフェンダー・ラインナップの中でも異彩を放っているのは,“常に機能性を優先させ,主要パーツは自らの手で作り出す”といったレオ流のギター・デザインとは異なっているためだろう。それでも,6個のチューナーを一列に並べたヘッドストックや4本のボルトを使ったジョイント・システムが採用されたネック部分は,もとをたどれば,ジャガーなどの形状からの転用である。つまり,さかのぼればレオが生み出した仕様であることに間違いない。ただ,おそらくソリッド・ギターとは異なる場所にあったフラットトップ用の工場で生産されたコロナドは,メイプル合板をプレス加工した16 1/4インチ幅のシンライン・アーチトップで,ボディ内部はフル・アコースティック構造になっている。ギブソンの ES シリーズを意識したこのボディには,今までのフェンダー・ピックアップではバランスが悪いと考えられたのだろうか,初めての社外ピックアップとなるディアルモンド製が搭載された。やや大きく,尖った形の f ホールはドイツ出身のロジャーならではのデザインで,一連のリッケンバッカー・ギターや,68年に登場することになるテレキャスター・シンラインといった,彼が開発に携わったモデルにも通じている。
ピックアップ数の違い,12弦,ベースといったバリエーションが作られたコロナド・シリーズの中,この67年製のコロナド II には,ほかのフェンダー・ギターでもお馴染みのキャンディ・アップル・レッド・フィニッシュが用いられている。コントロール・ノブがほかのフェンダーと異なって感じられるのは,ピックアップやノブなどのアッセンブリーをまとめてメーカーから納入していたためだろう。ローズウッド製のブリッジ・ベースの上には,ジャガーに似たブリッジ・ユニットが取りつけられている。
メロウなジャズというよりも,フォーク・ロック向きの涼しいトーンが似合う,実にフェンダーらしいモデルと言えるだろう。





