Vintage
この記事は、ギター・マガジン2006年9月号の「VINTAGE GUITAR CAFE」から一部抜粋したものです。
EPIPHONE 1967 CASINO(E230TD)
古くからアーチトップ・ギターのブランドとして知られるエピフォンは,1957年にそれまで長年ライバル関係にあったギブソンを傘下に持つシカゴ・ミュージカル・インストゥルメンツ社(CMI)に買収された。その後の両ブランドは,相互にラインナップを補完し合う兄弟ブランドとして,販売プランに基づいた多くのモデルを発売するようになる。エピフォンからは,ギブソンよりも若干価格を抑えたセカンド・ブランド的な機種も多く発売されたが,ことカジノに関してはビートルズとローリング・ストーンズという2大バンドが使用したことで,ほぼ同仕様を持つギブソン ES-330TDをはるかにしのぐ人気を博した。
62年に発売されたカジノ(E230TD)は,16インチ幅,1 3/4インチ厚というギブソンのシンライン・ダブル・カッタウェイ・シェイプを流用してデザインされている。ES-335TDなどのギブソン・ギターが,ボディ内部にセンター・ブロックを配したセミ・アコースティック構造であったのに対して,カジノはボディ内部が完全な中空構造となるシンライン・アコースティック・モデルであった。それゆえ,ボディ/ネックのジョイント部分の強度をかせぐために,ジョイント位置がボディ側に深く食い込むようにデザインされている。ピックアップはお馴染みのP-90 シングルコイルである。ギブソン・ギターと共通するスペックやパーツ類も多いが,エピフォン・オリジナルのヘッドストック・シェイプ,“E”を模ったシールが貼られたピックガード,ボディ内部に貼られたライト・ブルーのラベルは,エピフォン・ギターの証として,他の多くのモデルにも見られる特徴である。エピフォン・ラインは69年までミシガン州カラマズーで製造が行なわれたのち,日本を始めとする海外での生産へと切り替えられた。
67年製のこのギターは,スマートなエピフォン・ヘッドストック,シングル・パラレログラム・インレイ,クローム・ピックアップ・カバーといった人気の高いスペックを備えている。ボディ・トップに施されたサンバーストが明るい色合いなのもエピフォンならでは。ちなみに,ボディのサイド/バック部分は,サンバーストではなく生地着色によるダーク・ブラウンである。メロウなトーンと独特のアコースティック感が魅力のカジノは,ジャズからボーカリストのリズム・ギター,荒く歪んだカッティングまで,幅広いスタイルに使われている。





