Vintage
この記事は、ギター・マガジン2007年2月号の「VINTAGE GUITAR CAFE」から一部抜粋したものです。
GRETSCH 1957 PX6130 ROUND UP
派手なカウボーイ・スタイルの装飾や個性的なトーンによって,多くのロカビリー/ウエスタン・ファンを魅了してきた一連のグレッチ・ギターは,カントリー・ギタリストとして人気の高いチェット・アトキンスのアドバイスを受ける形で1950年代に発表された。チェットは,ギブソン社から自らの名を冠したソリッド・ギターを発売していたレス・ポールと親友であり,ライバル同士でもあった。ブライアン・セッツァーで有名なPX6120 チェット・アトキンス・ホロー・ボディが誕生したのは54年のことだが,ほぼ同時期にギブソン・レス・ポール・モデルに似た13 1/4幅の小型ボディを使ったバージョンも発売された。それが,PX6121 チェット・アトキンス・ソリッド・ボディとPX6130 ラウンド・アップである。初期の両者はとても似通っていて,一部のハードウェアが異なっていたにすぎなかった。
カウボーイ用語をそのままモデル名に使用したラウンド・アップは,ウエスタン色の強いグレッチ・ギターの典型とも呼べるモデルである。発売当初のギターでは,ボディの外周に沿って,ウエスタン・モチーフ柄のベルト用レザーを巻くという独創的なアイディアに加え,ベルト・バックルを使ったテイルピース,ボディ・トップにG ブランドと呼ばれる焼きごて風加工を施すといった徹底ぶりだった。また一方で,ディアルモンド社から購入したダイナソニック・ピックアップやマスター・ボリュームを加えたコントロール・レイアウトなど,実用性の高さも人気の理由である。当時グレッチ社からは,ソリッド・ギターとして発売されていたが,実はボディ・バックのマホガニー材をくり抜いたセミ・ソリッド構造になっており,ボディ・トップにはこのギターのようなメイプル材のほかにも,パイン材やマホガニー材も併用されていた。
57年製と思われるこのギターは,ハンプ・トップと呼ばれる個性的なポジション・マークやヘッドストック・フェイスに入れられたホースシュー(馬蹄)を摸したインレイなどを確認することができる(ビグスビーのビブラートは,あとから組み込まれたものだろう)。強い個性を放つラウンド・アップは,兄弟モデルのPX6121に吸収される形で50年代末には姿を消していった。そして,その後のグレッチは,ビートルズのジョージ・ハリソンが使用したことで,第2の黄金期を迎えることになる。





