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名器OD-1とDS-1の名前を継承したスペシャル・モデルが登場

歪みエフェクトのニュー・スタンダード、BOSS OD-1X&DS-1Xを古川昌義、cinema staffが試奏レポート!

世界中のギタリストに愛されているBOSSからOD-1とDS-1の名前を継承したスペシャル・モデルが登場した。35年以上のエフェクター開発のすべてを集結したという注目のオーバードライブ&ディストーションを、歪みに一家言持つギタリスト、古川昌義氏とcinema staffの飯田瑞規氏&辻友貴氏による試奏チェックを中心にチェックしてみた。試奏動画とコメント、両機の徹底分析、開発スタッフ・インタビューをたっぷりとご堪能あれ!

古川昌義と飯田瑞規&辻友貴(cinema staff)が試奏レポート!

 早速OD-1XとDS-1Xの試奏動画とインプレッションをお届けしよう。日本を代表するスタジオ・ミュージシャンであり、アレンジャー、作曲家、プロデューサーとして幅広く活動する古川昌義氏、そして、オルタナティブ、エモ、ポストロックに影響を受けたシャープなギター・サウンドを聴かせるシネマスタッフの飯田瑞規氏&辻友貴氏にじっくり時間をかけて両機種を試してもらった。

伝説のOD-1の名を引き継いだ、最大限にニュアンスを引き出すオーバードライブ
OD-1X Over Drive

OD-1X Over Drive

 ボス初の歪みエフェクターであり、オーバードライブの名機としても名高いOD-1。そのOD-1は発表された77年当時の音楽シーンを反映したオーバードライブの標準機として生み出されたわけだが、そのOD-1に敬意を表しながらも、今の音楽シーンにおけるODシリーズのスタンダード・モデルを世に送り出したいという思いから誕生したのがOD-1Xだ。モデル名に“OD-1”とあることから、どうしても復刻モデルと思われがちだが、これはOD-1の焼き直しでもモディファイでもなく、パワフルなDSPチップとボス独自技術のMDP(Multi-Dimensional Processing)という最新デジタル技術を駆使した、過去のラインナップとは一線を画すオーバードライブなのだ。

 ボス・エフェクターの魅力のひとつは操作が簡単で、なおかつ直感的に音作りができるところだが、本機のコントロールもLEVEL、LOW、HIGH、DRIVEとシンプルながら、このつまみの組み合わせによって、驚くほど多彩で実戦的な歪みを作ることができる。DRIVEをゼロにすると、ほんの少し歪むクランチ、12時あたりでタイトなオーバードライブ・サウンド、3時くらいにすると音圧のあるパワフルな歪みに変化する。従来機のDRIVEつまみは歪み量が持ち上がるだけだったが、OD-1Xは歪みに加え、粘りやコシも足されてくるので、DRIVEをかなり上げても、音の太さや芯は失われることなく、自然なコンプレッションを楽しむことができる。イコライザーの効きもよく、歪みにうまく作用するように設計されているので、どの位置に回しても “使える音”になるのがうれしいところだ。電池交換用のネジはボスの初期モデルに使われていた銀ネジにして、当時のものよりも厚みを持たせて操作性を向上させている。鏡面のフロントパネル、クロームのつまみもボス初の試みだ。

古川昌義 meets BOSS OD-1X

飯田瑞規&辻友貴(cinema staff) meets BOSS OD-1X

BOSS OD-1X specifications

●コントロール:レベル、ロー、ハイ、ドライブ ●電源:9V型電池、ACアダプター ●外形寸法:73(W)×129(D)×59(H) ●重量:450g ●価格:オープン・プライス

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激重歪みでも1音1音の分離感を出せる、次世代型ディストーション
DS-1X Distortion

DS-1X Distortion

 OD-1と並び称される歪みエフェクターの名機DS-1。OD-1XがOD-1のカラーとスピリットを今に受け継ぐボス・オーバードライブのニュー・スタンダードなら、DS-1Xはボス・ディストーションのニュー・スタンダードである。こちらもOD-1Xで触れたように、DS-1を焼き直したものでもカスタマイズしたものでもなく、パワフルなDSPチップとボスの独自技術MDPを駆使したフルデジタル設計による新発想のディストーションとなっている。コントロールつまみはLEVEL、LOW、HIGH、DISTの4つで、このつまみの組み合わせにより、実に多彩な音作りが楽しめるのだが、DISTがゼロの位置もけっこうおいしいポイントで、分厚いバンド・サウンドの中でも埋もれないパンチとハリのあるクランチ・トーンを生み出すことができる。DIST が9時くらいでドンシャリの印象になり、12時で音圧のあるタイトなディストーション、さらに上げていくと過激で噛みつくような歪みへと変化していく。

 一般にディストーションは歪みが粗いため、ゲインを上げていくと、どうしてもコード感が失われがちになるが、DS-1Xの歪みは低域がすっきりとしているため、ゲインをどこまで上げていってもしっかりと音程感が残ってくれる。ハイゲインにもかかわらず、ノイズが少ないことも特筆すべきポイントだ。イコライザーの可変幅に余裕があり、さらにLOW、HIGHはいずれを回しても、歪みにうまく作用するように、低音域、高音域など複数のパラメーターを同時に動かすような仕組みになっているため、いくつもお気に入りの設定を見つけることができるだろう。また、OD-1X同様に厚みを持たせた銀ネジ、鏡面のフロントパネル、クロームつまみとなっている。長年のオーバードライブ/ディストーション設計のノウハウと最新技術を注ぎ込んだボス・ディストーションの新時代の幕開けを告げるモデルである。

古川昌義 meets BOSS DS-1X

飯田瑞規&辻友貴(cinema staff) meets BOSS DS-1X

BOSS DS-1X specifications

●コントロール:レベル、ロー、ハイ、ディスト ●電源:9V型電池、ACアダプター ●外形寸法:73(W)×129(D)×59(H) ●重量:450g ●価格:オープン・プライス

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総評:試奏を終えて〜古川昌義
「アンプからギターのキャラクターそのままの音が出てくる。普通の音が出るというのは実はすごいことなんですよ」

ギタリストは歪み系とコーラスって永久に買い続けるものなんです(笑)

古川’s impression
「DS-1Xを触ってみた印象は、まず、音作りが簡単で何もしなくていいところ。実は“簡単”ってすごく大事なことで。サウンドも問題ないですね。今、ゲインとレベルしか触ってなくて、ちょっとハイを下げたくらいですけど、アンプからギターのキャラクターそのままの音が出てくる。普通の音が出るというのは実はすごいことなんですよ。エフェクターで音を変えるのが好きな人は、ここからいくらでも作れると思うけど、やっぱりもとの音が出ていないと作れないですからね。僕はわりとアンプの音色がそのまま歪んでいるような音が好きで。アンプのゲインがどんどん上がっていったディストーションというか。DISTをゼロにしたセッティングもすごくいいですね。カッティングでもメロディでも、ちょっと前に出たい時とかに使えると思いますよ。ただ、DS-1Xは僕よりももう少し若い人向けかな(笑)。ノイズも少ないですね。機材っていろいろと相性があって、このギターだと使えないとかがあると困るんですけど、今、ストラトとレス・ポールで弾いてみたかぎり、それは問題なさそうですね。

 大体、歪み系とコーラスって、ギタリストは永久に買い続けるものなんですよ(笑)。他人の持ってるものは欲しくなるし(笑)。初めて買ったオーバードライブはボスのOD-1で、OD-1XはOD-1と全然違いますけど、今の僕の好みで言うとOD-1Xはパーフェクトですね。OD-1XもDRIVEがゼロのセッティングは最高です。このDRIVEゼロのセッティングには、ピッキングした時に“ゴッ”と右手で感じる音の芯の部分が残ってて。ディストーションってやっぱり深くすればするほど、音が圧縮されてしまうので、芯の部分が減っていく方向になるんですけど、DRIVEをゼロにしたほんの少しの歪みくらいの状態だと、5、6弦の“ゴッ”とした芯の部分が右手に感じられるんです。それは聴いている人にはわからなくて、弾いている本人だけしかわからないことだと思いますけど。僕はきれいなクリーン・トーンを使うことはあまりなくて、強く弦を弾いた時にクランチになるようなクリーンが好きなんです。これは気持ちの問題なんですけど、そうしないとイマイチ単音が聴く人に届かないというか。OD-1X でDRIVEをゼロにすると、そういう僕好みのクリーン・トーンが作れますね。

試奏時はフェンダー・ストラトキャスター、ギブソン・レス・ポールを交互に弾いて、さまざまな歪みを試していた。アンプは古川氏所有のBognerのMetropolisを使用。

 OD-1Xはアンプライクだと思います。アンプヘッドの感覚に近い。こんな風に思ったとおりの音が出てくると、スーッと弾けるようになるんですけど、思ったとおりの音がアンプから出てないと、自然と弾き方というのは変わってしまうもので、変に力が入ってしまう。前で聴いている人にはわからないレベルだと思うけど、“弾きにくい〜”って思いながら弾くことになるんです。それは結局プレイの出来につながってしまいますからね。OD-1Xはブルースっぽい人は絶対だし、ハードロックのような音楽でもイケると思います。ブースターとしても使えるだろうし、2台用意して設定を変えて使ってみるのもいいですね。OD-1Xでひとつセッティングをあげるなら、すべてのつまみを真ん中にした状態(図)。これはいいですよ、ホントに。コードが全然つぶれないですし、何の問題もない。ストロークもいけるし、ブーストすればそのままソロにも使えるし。

 僕が最初に買ったボスのエフェクターはフェイザーでした。なんかよくわからないで買ったんですよ。緑色が気になったので(笑)。そのあとにOD-1を買って、オレンジのディストーションも持ってました。それからスーパー・オーバードライブのSD-1。それは長かったですね。上京した頃がそれでした。ターボ・オーバードライブも持ってましたね。あとはコーラス。ディレイはもう何度買ったことやら。タッチワウやトレモロ。ファズも買いましたね。ボスのエフェクターは簡単でクオリティが高い。それに丈夫ですよね。壊れたことなんてあるかなあ。あと、ボスの樹脂でできたエフェクター・ケース(BCB-60)も持ってますよ。ボスはやっぱりナチュラルですよね。自然な音。少なくとも僕が買ったものに関しては、極端に音が変わってしまうことはなく自然で普通。“普通”であるということは、とても大事なことで。エフェクターのスタンダードですよね、やっぱりね。」

Profile

古川昌義(ふるかわ・まさよし)
1964年、大阪生まれ。85年頃よりスタジオ・ミュージシャン、アレンジャー、作曲家、プロデューサーとして活動。嵐、JUJU、AKB48、Swing Out Sisterなど多数のアーティストの作品に参加する日本を代表するギタリスト。自身のアルバムもリリース。
また、4月7日(月)目黒ブルースアレイにて、ギターインスト曲メインのソロライブも決定している。『古川昌義トリオ~Born to be a guitarist~』。メンバーは古川昌義(G/Vo)、 桜井哲夫(B)、鶴谷智生(Ds)の凄腕揃い。タイトル通りの“ギター弾きまくり”ライブは必見だ。詳しくはこちらへ。
古川昌義オフィシャル・ウェブサイト

 

総評:試奏を終えて〜cinema staff
「HIGHを持ち上げた時に耳が痛くならずにレンジ感が広がっていくから音の粒が揃ってくれる印象がある」(飯田)
「LOWを上げても音がつぶれないし歪みを全開にしてもノイズが少なくてとても弾きやすいです」(辻)

コードで鳴らしても音がまとまるのでギターを弾きながら歌う人にもオススメ

飯田's impression:
「両方とも歪み、EQともにすごく良く効いてくれる印象でした。今回のテストでは僕はフェンダー・ジャズマスターで辻(友貴)がブラストカルトを使いましたが、どちらの楽器でも音を作りやすかったです。印象的だったのはOD-1X、DS-1X共にHIGHを持ち上げた時に耳が痛くならずに、レンジ感が広がっていくので、コード弾きした時に音の粒が揃ってくるんですよね。僕は基本的にバッキングをとることが多いので、これは使えそうです。OD-1XはDRIVEがゼロでもクランチする感じが良いですね。DRIVEはツマミを12時から全開に向けて回したときでも効きが滑らかでした。個人的にはDRIVEが9時くらいでクランチよりも少し歪んだ感じが自分のスタイルにピッタリきました。思いっきり歪ませてもちゃんと音が前に出てくるのはスゴイですね。僕らは音を切るような演奏(ブレイク)が多いので、これくらい歪ませると、どうしてもミュートしたときにノイズが出やすいのですが、OD-1Xはその問題をまったく感じませんでした。あとはコードで鳴らしても音がまとまるので、ギターを弾きながら歌う人にもオススメです。それに加えてLOWとHIGHがここまでしっかり効いてくれるのも驚きでした。LOWは相当上げてもしっかりと歪みが付いてくるから、ライブに持って行っても即戦力で使えそうです。OD-1Xはメインの歪みペダルとして使ってみたくなりました。

 DS-1Xはかなり粘りのある歪みで、サステインが気持ち良く、白玉で鳴らしたくなる感じです。低い音もちゃんと鳴ってそこがクリアに鳴ってくるので、全弦を鳴らしたときでも自然に聴こえるのが素晴らしいですね。それでいてオルタナ感がある歪みに感じました。LOWが12時、HIGHが3時、DISTORTIONが12時くらいだとパワー・コードを弾いた時に良いニュアンスが得られました。

 ボスのエフェクターはブルース・ドライバー(BD-2)を長年使っていました。高校の頃、まわりの友達もみんな使っていましたね。あとはDD-3、DD-6、あとはクロマチック・チューナーなども使っています。昔のペダルと、最新のOD-1XやDS-1Xを比べると、ツマミも増えたし扱いやすくなっていますね。多少の音の調整っていうのはライブやレコーディングの現場で必要な機能なので、そういうときは今のモデルのように微調整しやすくなっているのは嬉しいですよね。」

OD-1XはDRIVEがゼロでもいい感じにクランチする

辻's impression:
「OD-1X、DS-1Xのいずれもすごく扱いやすいですね。僕が試奏で使ったブラストカルトはハムバッキングのPUを載せているので、両機種ともにけっこう歪む感じでした。印象に残ったのはHIGHを上げていったときの高域の歪み方がすごく奇麗なところです。これは特にDS-X1の方で顕著に感じました。OD-1XはDRIVEがゼロでもいい感じにクランチするし、高域がすごく気持ち良くて、それでいてLOWを上げても音がつぶれないところが良かったです。思いっきり歪ませていってもノイズが出にくいので、とにかく弾きやすいです。全開で歪ませれば僕らのリード・ギター的な演奏にも余裕で対応してくれそうですね。気に入ったセッティングはDRIVEも思いっきり歪ませて、あとはLOWで低域をグッと足して、パワーコードを鳴らした時の音が面白かったです。

 DS-1XはハムバッキングPUとの相性は本当に最高でした。コードをかき鳴らした時でも、高域にキラっとした感じがあるから、弾き心地がとても良いんです。こちらも歪みのバリエーションが広くて、DISTORTIONを少なめにすればオーバードライブっぽくもいけるし、もちろん過激に歪ませることもできます。個人的にはLOWをカットして歪ませた音もカッコ良くて好きでした。DS-1Xは歪み方にパワーがあるので、それを生かすならやっぱりフルテンで弾きたいですね。演奏中にパンチを出したい時にDX-1Xで思いっきり歪ませたりとか、リード・ソロをプレイする時の歪みとしても使ってみたいです。

 ボスのペダルは僕も飯田と同じく、ブルース・ドライバーを愛用していて、そのあとはディストーションやピッチ・シフターなどを使っていました。ブルース・ドライバーに関しては自然な感じに歪んでくれるから使いやすかったし、あと高域のニュアンスも気持ち良くて好きで、かなり長い間使っていました。ですから、今でも自分にとっての歪みのイメージは、ブルース・ドライバーが基準になっていると思います。」

Profile

cinema staff(シネマスタッフ)
飯田瑞規(vo,g)と辻友貴(g)はシネマスタッフのメンバー。バンドは岐阜県のライブハウスを中心に、2006年より現在の編成で活動を開始。2008年11月に残響recordより1stミニアルバム『document』を発表し、インディーズデビュー。精力的にツアーを重ねながら、2012年6月に1stE.P.『into the green』でポニーキャニオンよりメジャーデビュー。
オルタナティブ、エモ、ポストロックなどの要素を取り入れた音楽性によって、バンドシーンで高い支持を獲得するなか、昨年TVアニメ「進撃の巨人」後期エンディングテーマ「great escape」や、カプコン「モンハン 大狩猟クエスト」テーマソングとなる「dawnrider」を手掛け、話題となる。
2014年4月2日に、メジャー2ndフルアルバム「Drums,Bass,2(to)Guitars 」をリリース。アルバムリード楽曲となる「borka」が3月1日より配信中。同5月からは、ZeppDiverCity(東京)をはじめとした全国14都市のワンマンツアーがスタートする。
cinema staffオフィシャル・ウェブサイト

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