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- 2024/03/22
Gibson / 1959 Les Paul Reissue Murphy Burst BOTB Cover (Japan Limited 2014)
ギブソンはこのほど、『The Beauty Of The Burst』の表紙のギター/シリアル9-1876をモチーフとしたモデルを、日本限定で製作することを発表した。このプロジェクトに携わったのは『The Beauty Of The Burst』の著者であり、ビンテージ・ギターの権威としても知られる現ギブソン・ジャパン取締役社長の岩撫安彦氏と、ビンテージ・レス・ポールのエキスパートであり、サンバースト・ペインティングとエイジングのパイオニアとして知られるトム・マーフィー氏の最強タッグ。夢のようなギター、1959 Les Paul Reissue Murphy Burst BOTB Cover(Japan Limited 2014)の概要を、速報で紹介したい。
レス・ポール好きにとってのバイブル『The Beauty Of The Burst』(以下:BOTB/現在は『ザ・ビューティ・オブ・ザ・バースト リプリンテッド・エディション』として再リリース)。あの表紙を眺め、あまりの美しさにため息をついた人も少なくないだろう。そんなレス・ポール・ファンにとって、まさに夢のギターと言える1本が誕生する。それが、1959 Les Paul Reissue Murphy Burst BOTB Cover(Japan Limited 2014)。
ベースとなるのは1959 Les Paul Murphy Burst。これは、日本のディーラーがギブソン・カスタム・ディヴィジョンにファクトリー・ツアーで訪問する中で生まれた特別なプロジェクトによるギターだ。そもそもトム・マーフィー氏は初期ヒストリック・コレクションのペインターとして名を上げた人物である。1993年、設立当初のギブソン・カスタムのフィニッシュ部門でリペアやペイントを担当していたのがマーフィー氏で、彼が開発したサンバースト・パターンやペイント・テクニックが魅力的だったことは、発売当初からヒストリック・コレクションが非常に高い市場評価を得た理由の一因となっている。
その後トム・マーフィー氏はギブソンから独立したが、彼の名声はその後も高まる一方だった。そこで今日、再びマーフィー氏がギブソンでカラーの開発と、1本1本のハンド・スプレーを彼自身が行うプロジェクトが発足。それが1959 Les Paul Murphy Burstであり、特別なプロジェクトのため生産数、生産期間が限定されている。1959 Les Paul Murphy Burstを素晴らしいギターに仕立てているのは、塗装の面だけではない。そもそもの材の部分が、ハンド・セレクトされているのも特長だ。
ハンド・セレクトとは、ヒストリックのプログラム・マネジャーであるエドウィン・ウィルソン氏が、自ら木材業者にて選別〜買い付けして納品された材から、さらにプロジェクトのために定めたグレードにより材を選定する作業。1枚1枚、材の性質と特長を確認しながら、製品として完成した状態をイメージして選別する。例えばMurphy Burstの場合、バックのマホガニー材は特別に軽量なものが用いられる。ヒストリック・リイシューの基準は9ポンド以下であるのに対し、Murphy Burstはそれ以下の材を選定。より軽量な材が使用されているのだ。
“BOTB Cover”の開発には、もう一人のキーマン=岩撫安彦氏による全面的な協力が大きく作用した。同氏は現ギブソン・ジャパンの取締役社長であり、ビンテージ・ギター全般に関しても非常に造詣が深く、技術面・マーケティング面のいずれにおいても日米ギター市場の牽引役だ。『The Beauty Of The Burst』の著者としても知られる同氏がBOTB Coverの監修として参加、マーフィー氏やギブソン・カスタムのスタッフと綿密なディスカッションを重ね、ペイント・ルームでのテスト・スプレーや色決めにも立ち会っている。
現物が持つ本来のルックスと、撮影と印刷により生じる写真上の彩度や色味に視覚的な差異があるという事実から、重きを置くべきところとして写真のみを頼りにした再現の追求ではなく、マーフィー/岩撫両氏の考えるビンテージ・サンバースト・レス・ポールの理想形のひとつとして、製作の方向性が決まったという。
マーフィー氏は、そのキャリアの中で得てきた膨大なデータと、レストアにより習得した技術に基づく正確かつ緻密な分析により、サンバースト・レス・ポールの工場出荷時から現在までの、経時変化による複雑な色味の変化の過程を紐解いている。これは経時変化で木地に浸透した塗装成分によるフィギュアの陰影に始まり、トップ・メイプルの木地の上に存在する下地のイエロー層と、複数の色味が重なり合いサンバーストとなるカラー層の褪色した色、残った色、本来はクリアであったものが時間とともに飴色に焼けていくトップコートと、それぞれの複雑な変化のバランスをイメージして、カラーとサンバースト・パターンを決めていくためだ。
今回の“BOTB Cover”の個体の再現においては、ボディ外周のグラデーション部、全体のカラーの濃淡のバランス、ハンドスプレー着色ならではの特徴と言えるペイント時にパターンが重なりティー・バーストと化したピックアップ・セレクター部など、特徴を正確につかみながらも、「過度の演出によりビンテージ感を強調する仕上がりになることは避けたい」という本人のこだわりから、トム・マーフィー自らの解釈とエッセンスを加味し、ビンテージを最大限にリスペクトしながらもオリジナルの仕上がりとなっている(下記画像参照)。
これはオーナーとなる人に、トップコートのさらなるアンバー化、バック・カラーの褪色等の経時変化により、ファクトリーから生み出されたばかりのギターがビンテージらしさを醸し出していくその過程も楽しんでもらいたいという願いが込められているからだ。BOTB Coverのバック・カラーについては、これまでのMurphy Burstプロジェクト同様、エドウィン・ウィルソン氏がトップ・カラーとの最適なマッチングを考慮した色味による、オリジナル・アニリン・ダイ・チェリーを採用。赤味をほどよく残しながらも、ほのかにブラウンを感じさせる趣のある仕上がりとなった。
ピックアップには、ネック側にアルニコ3を使ったカスタムバッカーを、ブリッジ側にはより出力を押さえたカスタムバッカーSを搭載。また、その他の仕様については、ネックと指板の接着にハイドグルーを採用した2014年以降のヒストリック仕様に準じている。
1959 Les Paul Reissue Murphy Burst BOTB Cover(Japan Limited 2014)の生産数は、わずか40本。日本限定で、岩撫氏のサイン入り『The Beauty Of The Burst』、オリジナル認定書が付属する。レス・ポール・ファン垂涎の、まさに特別な夢のギターと断言しよう。1959 Les Paul Reissue Murphy Burst BOTB Cover(Japan Limited 2014)については、さらに詳細が分かり次第、週刊ギブソンで紹介していく予定。続報に期待して欲しい。
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※週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは毎週金曜日に更新します。次回は6月6日を予定。
価格:¥924,000 (税別)