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  • 週刊ギブソン Weekly Gibson〜第7回

極上材を厳選した“ハンドセレクト”レス・ポール その1

Gibson Custom Shop / Historic Collection Japan Limited 1959 Les Paul Reissue 2014 Heavily Aged

  • 文:井戸沼尚也
  • ギター&画像提供:G-CLUB TOKYO 映像編集:雨宮透貴

昨年話題になったヘビー・エイジド・レス・ポールが復活。しかも今回紹介する1本は、米ギブソン・カスタム・ファクトリーで日本のディーラーがボディ・トップ材を直接選んだ“ハンドセレクト”のヘビー・エイジドというスペシャルな1本。ここでは“ハンドセレクト”の詳細とその魅力を、ヘビー・エイジド個体のサウンド・チェックと併せてお届けします。

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最高の材を選び抜いたハンドセレクト

 1993年にリリースされてから、毎年進化を続けるギブソン・カスタムの59リイシューレス・ポール。特に大きなスペック変更があったのは、1999年(エイジドを開始)、2003年(短期間ながらブラジリアン・ローズウッド指板を導入)、2009年(トップのカービング、ネック・シェイプ、ピックアップなどをアップデート)でしょう。そして2013年にはトラスロッドの変更、さらにはネックの接着にハイドグルーを採用するなど、ネック中心にギター全体の鳴りをさらに向上させ、2014年には指板の接着にもハイドグルーを使用するなど、恒常的にブラッシュアップされています。

 進化を続ける59リイシューの中でも、近年ギター・ファンの間で話題になっているのが“ハンドセレクト”モデルでしょう。ハンドセレクトとは、ディーラーが定期的にナッシュビルにあるギブソン・カスタム・ファクトリーへ出向き、ボディ・トップ材(メイプル)を実際に見て、触って、確認して選ぶオーダー・システムで、“ハンド・ピック”とも呼ばれています。そもそもギブソン・カスタム・ファクトリーが集めているLPR9(59リイシューのこと)用の木材は、ギター用のメイプルとしては最高のものです。何百枚と積まれたトップ材の中から、1枚1枚木目を確認しながらセレクトしていくのですから、選ばれた1枚は極上の中からさらに厳選された至高の材であることは間違いありません。

 また、ハンドセレクトの際にはディーラーが、ベース・モデル、カラー、フィニッシュなど、材とのベスト・マッチングを考慮したオーダーを行っています。59リイシューではエイジド、VOS、グロス・フィニッシュの3パターン、他にも58リイシュー、レス・ポール・カスタムやアクセスといったリイシュー以外のモデルも続々と入荷しています。今回は、その中の1本をチェックしてみます。

絶妙のカラーとリアルなエイジド処理

 本器は、柾目トップの隅々にまで伸びた細めのタイガー・ストライプが美しい1本。ジミー・ペイジの愛器を思わせる退色したようなカラーと、トグル・スイッチ周りに顕著な、オリジナル・カラーの部分的な残り具合が実にリアルです。オリジナル・バーストが新品として出荷された当時、トグル・スイッチのところにタグが付けられていた関係でこの部分に色の“抜け残り”が発生する場合があるのですが、その辺りを知り尽くしたオーダーとそれを実現するカラーリングの技術に驚かされます。

 本器の存在感をさらに高めているのが、使い込まれたビンテージ・ギターを彷彿させるヘビーなエイジングです。エイジド処理は、右ひじが当たるボディの端、ベルトのバックルが当たるボディの裏、左手で触るネックの裏等に施され、長年使用しているとどうしても小傷が付いてしまうヘッドの角などもリアルに仕上げられています。

 また、見た目だけではなく、実際に手にとった時の感じ、特にネックの感触などは2014年製の新品とは思えないほどすっと手に馴染み、自分が長年弾き込んできたギターかと錯覚させられるほどです。ハンドセレクトされたトップ材の持つ気品と、絶妙のカラー、そして精緻なエイジング技術が一体となって、このギター独特の雰囲気を作り上げています。

ハンドセレクト証明書

 それでは、そのサウンドを動画でチェックしていきましょう。

使用アンプ:フェンダー 68 Custom Deluxe Reverb

ナチュラルかつクリアで反応も最高

  本器のサウンドに大きな影響を与える基本的な仕様は、2014年版の最新ヒストリック・コレクション仕様に準じています。つまり、トラスロッドの見直しやハイドグルーが指板の接着にも採用されているバージョンで、その鳴りはヒスコレ史上でも最高峰だと言えます。そしてそれを拾うピックアップには、特別製の“E-Bucker”を搭載。これは通常のCustom Buckerよりも出力を抑えたモデルで、引き締まった低音と輝くような高音を持ったピックアップです。

 こうした組み合わせによるサウンドは、非常にナチュラルかつクリアで、ピッキングやボリュームに対する反応が良く、艶やかなトーンが特長です。クリアというのはクリーン・トーンではもちろん、歪ませても音の粒立ちが良く、低域を弾いてもフロント・ピックアップを選択しても音が濁ったり、甘くなり過ぎないという意味です。ただし、もしも徹底的に甘い音が欲しければ、ピッキングのタッチを変えたり、ボリューム/トーンを調整するだけで、“甘く、太いが、抜ける音”も思いのままに出すことが出来るでしょう。このようにサウンドに関しても既に弾きこんだような味わいがありますが、実際に弾きこんでいけばさらに艶やかで、さらに反応の良いギターに成長するだろうと期待できます。生涯付き合えるレス・ポールを探している人に、ぜひ手に取って欲しい1本です。なお、ここで試奏した個体はG-CLUB TOKYOにて取り扱っています。

※週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは毎週金曜日に更新します。次回は7月4日を予定。

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製品情報

Gibson Custom Shop / Historic Collection Japan Limited 1959 Les Paul Reissue 2014 Heavily Aged

価格:オープン

【スペック】
■ボディ材:メイプル・トップ/マホガニー・バック ■指板材:ローズウッド ■ネック材:マホガニー ■ピックアップ:E-Bucker×2 付属品:ハードケース、保証書、Custom Shop特製認定書
【問い合わせ】
ギブソンジャパン http://www.gibson.com/
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