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- 2024/03/22
Gibson / Derek Trucks Signature SG 2014
近年、ジワジワと盛り上がってきているSG人気は、この人の人気に負うところも大きいかもしれません。SGを持ったスライド・マスター、デレク・トラックス。今週は、ギブソンUSAからリリースされた最新版デレク・トラックス・シグネチャー・モデルの魅力に迫ります。
デレク・トラックスは1979年生まれ。ベテラン勢ばかり名前が上がるスライド・プレイヤーの中にあって、デレク・トラックスは現代を担う新星として新鮮なプレイを聴かせてくれます。ギター選びの点でも、多くのベテラン・プレイヤーがビンテージ・ギターにこだわる傾向があるのに対して、デレクはビンテージを所有はしていても、それにこだわらない点に若手らしい感性を見い出せます。
実際にデレクがメインで使っているギターは、2000年製 GIBSON USA SG 61リイシュー。通常ラインの製品です。ピックガードを外し、板バネ式トレモロ(ロング・ヴァイブローラ)のアームを外してユニットのプレート部分は残したままストップ・テイルピースを付けるなど、かなり無造作に手を入れている感じです。本人いわく「ロング・ヴァイブローラのプレートは見た目がかっこいいから残している。ステージのライトが反射してかっこいいんだ(笑)」(ギター・マガジン2007年2月号より)ということですから、サウンド云々よりも視覚的に気に入っているということでしょう。さらにボディには彼が会った著名なミュージシャンのサインがこれまた無造作に入れられています。
2014年度版のDerek Trucks Signature SGは、デレク愛用のSGをしっかりと再現しているのはもちろん、新たにマホガニーの導管が良く見えるビンテージ・レッドをフィニッシュ。その質感は本人所有のオリジナル器よりも上質に見えるほどです。ピックアップは、フロント/リアともに57クラシックを採用しています。
それでは、Derek Trucks Signature SGのサウンドはどのようなものか、動画で見ていきましょう。
使用アンプ:マーシャルJVM210H(ヘッド)+1960A(キャビネット)
使用シールド:ギブソン18' Purple Gibson Instrument Cable
本器は、マホガニー材&57クラシックというスペックから想像できる通りの、甘く太いサウンド。リアで弾いても“キャンキャン”することはありません。57クラシックは素直に音を拾うので、スライド・バーを揺らすことで倍音が変化していく様や、サステインが消えた後のカサカサした音まで、弾き手の狙い通りに響いてくれます。
ちなみにデレク愛用のアンプは、高域が美しいフェンダー・アンプの中でも屈指のトレブルのキレと、タイトなローエンドを誇るブラックフェイスのスーパー・リバーブです。そのアンプを、ブライト・スイッチ・オン、トレブル7〜8、ミドル3〜4、ベース3と完全にハイ上がりにセットし、反対にギターはフロントを選んで指で弾くという“マイルド設定”にすることでバランスをとって、あの至高のトーンを生み出しています。この動画ではマーシャルJVM210H(ヘッド)と1960A(
もうひとつ、本器を手にして驚いたのが、「Slim 60'S "D"」と呼ばれる非常に薄いネック・グリップです。薄いながらも十分な“かまぼこ感”を併せ持つグリップで、1弦側、6弦側が切り立ち、あとはフラット──そんな感触の握りです。これが“D”シェイプということなのでしょう。スライド・プレイヤーのみならず、テクニカル系のプレイヤーにも喜ばれそうなグリップでしたので追記いたします。
デレク・ファン、スライド・ギター・ファン、そして比較的リーズナブルな価格で良質なSGが欲しいというSGファンにも強くお薦めできる1本です。
※週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは毎週金曜日に更新します。次回は8月8日を予定。
価格:オープン