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- 2024/04/25
Gibson Custom
ギブソン・カスタム──正式名称は“カスタム、アート&ヒストリック”、その名が示すようにカスタム品やヒストリック・コレクションといったハイエンド製品の企画、開発、製造、出荷を独自に行ってきました。今週は、そんなギブソン・カスタムの現在の姿と、最新版が日本に到着して話題沸騰中のレス・ポール“ハンド・セレクト”について紹介していきます。
1993年にUSAメイン・プラント(レギュラー工場)から独立、移転したギブソン・カスタム。そのフラッグシップ製品は、1959レス・ポール・リイシューに代表されるヒストリック・コレクションです。これは1950〜60年代のギブソン・エレクトリックの名器の数々を、あるべき姿そのままで再現したシリーズで、完成度が極めて高く、実際にビンテージを所有している人でも、実用面からヒストリック・コレクションを購入するケースは珍しくありません。ギブソン・ファンはもちろん、ギター・ファンであれば“いつかは、ヒスコレ”と思っている人も多いのではないでしょうか。
ギブソン・カスタムでは、ヒストリック・コレクションの完成度をさらに高めるために、ビンテージの調査、分析を継続して行っています。あくなき探究心と最新のデジタル技術により、日々蓄積されるデータを製品のリファインに反映し続けています。ヒストリック・コレクションの仕様が大きく変わった節目の年がいくつかありますが、近年ではなんといっても2013年〜2014年のリファインがギター・ファンに与えた衝撃は大きなものでした。
現時点で、限りなくオリジナルに近づいたと思われる2013〜2014年の最新ヒストリック・コレクション仕様を、ギブソン・ジャパンからの情報をもとに改めて紹介していきます。
トラスロッドを包むビニール・チューブを廃し、ハーフ・ムーン・ワッシャーとアンカー部を含めて50年代の素材、形状を再現した剥き出しの太いビンテージ・スティール・ロッドを採用。トーンの重要構成要素であるネック中心部のモディファイは、メンテナンス性を高めると同時に鳴りに影響を及ぼすためトーンへの影響も大きい。
ハイドグルー・ネック
Hide Glue(にかわ接着)とは自然素材による接着方法であり、木工の伝統的手法。古くから高級家具、工芸品、弦楽器などに用いられてきた。2013年よりネック・セットに採用。2014年からはフィンガーボードとネック材の接着にも採用。これらの部分は、弦振動をボディに伝える部分であり、重要なトーン構成要素。
アニリンダイ
染料を目止め(フィラー)に添加して、導管の中まで木材を染色するという手法は、古くから行われてきた。これは時間の経過により褪色しやすいという面がある。アニリンを原料とする合成染料、アニリン染料は、その鮮やかな色彩と、木材の持ち味を際立たせるという特性において優れており、ビンテージ・サンバースト・レス・ポールのバックやSG、レス・ポール・ジュニア、同スペシャルなどに採用されていた。アニリンダイ・パウダーを加えて調合した、独自のレッド・フィラーをマホガニーの導管にすりこみチェリーに着色、その上にクリア・ラッカーという仕上げは、導管に残るチェリーと、ラッカー内のチェリーによる視覚的効果により、たいへん奥深く、立体的で、鮮やかなチェリーに仕上がる。経年変化でフェイドしやすいという特徴があり、あのしっとりとしたオールド色に変化する。マホガニーの素材の美しさを引き出し、時間とともに複雑に色味を変える様子は、まさにビンテージならではの味わいを再現する手法であり、ヒストリック・リイシューのビジュアルを、一層引き立たせる。2014年よりファクトリー内にアニリンダイをアプライする専用ルームを設置し、隔離性、作業効率が高められた。
カスタムバッカー
これまで数々の歴史に残る名演を生んだアーティストや、コレクターが所有する貴重なビンテージ・ギターを調査し続けてきた、カスタム部門の財産である豊富なデータに基づき、ビンテージ・トーンの再現というコンセプトに特化して開発された新型ピックアップが、カスタムバッカ—・ピックアップ。コイルによるターン数のアンマッチというバーストバッカ—の基本構造は受け継ぎつつ、アルニコ3マグネットと、そのサイズ(ラージ)、ワイアーのマテリアルに至るまでにこだわり抜いたカスタムバッカーは、高域の伸び、豊かな倍音、そしてプレイヤーの表現力をダイレクトにトーンに変換するコントロール感といった、ビンテージ・レス・ポールならではの特徴を追求した最新のピックアップ。数多くのビンテージ・レス・ポールの実測値によって明らかとなった、ブリッジ側ピックアップの多くはアウトプットがネック側より低いというオリジナル性を再現するために、アウトプットを落としたカスタムバッカーSもモデルによって使用されている。
ロング・スタッド&インサート
テイルピースのスタッド、インサートとも、スティール製のロング・タイプを採用。多くのビンテージを検証した結果、モデルにより長さが異なるインサートが存在していたことがわかっており、スタッド、インサートとも、サイズ、形状がリファインされた。ブリッジ、テイルピース部は、特にトーンに大きく影響を及ぼすパーツ。
※上記は、製品改善のため、仕様は予告なく変更となる場合があります。
Edited and translated by Gibson Japan
週刊ギブソンでも何度か報じましたが、“ハンド・セレクト”とは、同社ヒストリック・プログラム・マネージャーのエドウィン・ウィルソンが、自ら木材業者にて選別、買い付けし、ファクトリーに納品されるレス・ポール用極上材の中から、日本のディーラーが現地に赴いて1枚1枚材を見て、手にとって触り、その性質と特徴を確認しながら、完成した状態をイメージして選別する作業のこと。トップ・メイプルは、1,000枚を超える膨大な量のストックから、最上級のグレードのフィギュアであることはもちろん、カラー、仕上げとのマッチングを想定して選ばれた材が使われます。さらにマーフィー・バーストやへヴィー・
レス・ポール“ハンド・セレクト”の基本的な仕様は最新のヒストリック・コレクション仕様に準じていますが、ピックアップの選定などはモデルに合わせてオーダーが可能なので、当然トップの表情やサウンドの個性も1本1本異なります。このことが、同モデルの魅力をさらに高めています。
今年の7月に現地でハンド・セレクトが行われ、現在、その時の材を用いたレス・ポール“ハンド・セレクト”が続々と日本のショップに入荷してきています。
レス・ポール“ハンド・セレクト”の魅力については、ギター・マガジン10月号でさらに詳しく紹介しています。そちらも、ぜひお見逃しなく。また、レス・ポール“ハンド・セレクト”は実際に手にすることで、その深い色味、杢目の揺らぎ、素晴らしいトーンを体感することができます。デジマート検索で気になる個体を見つけたなら、ぜひ店頭に赴き、実機を手に取ってみることをオススメします。
リットーミュージック刊『ギター・マガジン2014年10月号』では、「GIBSON CUSTOM HAND SELECTED Les Paul 〜厳選木材を使用した至高のレス・ポール」特集を展開中。実際に日本のディーラーが“ハンド・セレクト”する様子や、最新製作工程の写真、当日実際にハンド・セレクトしたレス・ポールのギャラリー、さらにはdEnkA(KNOCK OUT MONKEY)によるハンド・セレクト・レス・ポール試奏まで、たっぷり“ハンド・セレクト”の魅力が味わえます! ぜひご一読を。※右写真は、ギブソン・カスタム・ファクトリーにてハンド・セレクトを楽しむギター・マガジン副編集長S。
定価:823(本体762円+税)
仕様:A4変型判/258ページ
発売日:2014.9.13
ギター・マガジン2014年10月号の詳細はこちらから!
デジマート・マガジンではこれまで多くのギブソン・カスタム製品を試奏しています。ハンド・セレクト・レス・ポール、並びにコレクターズ・チョイス製品の動画をまとめましたので、その魅力をお楽しみください。
※週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは毎週金曜日に更新します。次回は9月19日を予定。