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  • 週刊ギブソン Weekly Gibson〜第19回

バリトーン・スイッチ搭載のES-345を徹底チェック!

Gibson Memphis / 1964 ES-345

  • 文:井戸沼尚也
  • 映像編集:熊谷和樹

良質なセミアコを多数リリースしているギブソン・メンフィスから、また1本魅力的なギターが発表されました。1964年製のES-345を再現した、Gibson Memphis 1964 ES-345です。セミアコの代名詞であるES-335に比べ、“345”はよりゴージャスなルックスが目を引くモデル。豊かなサウンド・バリエーションを誇る“バリトーン・スイッチ”を搭載している点が最大の特徴でしょう。

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ES-345の特徴

 ギブソンES-345は、セミアコの名器ES-335の上位機種として1959年に発売されました。上位機種らしいゴージャスなルックスが特徴で、パーツ類はゴールドで統一、ES-335の質素な装飾類(シングル・ボディ・バインディング、ドット・インレイ)も、ES-345では3プライのボディ・バインディング、2つの平行四辺形が並ぶダブル・パラレログラム・インレイが採用され、華やかなルックスになっています。

 そしてその最大の特徴は、バリトーン・スイッチを搭載している点です。これはコンデンサー等を使用した可変抵抗スイッチで、一種のローカット・フィルターと考えて良いでしょう。プリセットされた6種類のトーンを選択でき、1から6へ数字が大きくなるにつれて、ローカットの度合いが大きくなります(より高域が目立ち、カリカリした音になっていきます)。1959年当時、市販されているエフェクト・ペダルはほとんどなく、一部のギター・アンプにトレモロが搭載されていた程度。ギターはアンプ直結が基本で、当時のギター・サウンド作りは、せいぜいアンプのトーンを硬め/柔らかめに設定する程度しかなかったはずです。そうした状況下でのバリトーン・スイッチは積極的なサウンド作りに大きく貢献したと考えられ、ギブソンの先進性を示すものでした。

バリトーン・スイッチ

 もちろん、バリトーン・スイッチのサウンドは、現代においても十分に使えます。そのサウンドを、動画でチェックしていきましょう。

使用アンプ:フェンダー 68 Custom Deluxe Reverb
使用シールド:ギブソン18' Purple Gibson Instrument Cable

バリトーン・サウンドをチェック!

 動画ではまず、リア・ピックアップを軽めのオーバードライブで鳴らしています。バリトーン・スイッチは“1”です(1がES-345の基本の音になります)。どうですか、このトーン。まるでビンテージ・ギターのような“コツン”“カツン”という心地良いピッキングのアタックがあって、その後に太く粘りのあるサウンドが響きます。これぞギブソンのリア・ハムバッカーのドライブ・サウンド。他社のギターでは決して出せない腰のあるサウンドです。

 次に、フロント・ピックアップをクリーンでチェック。これも、“ザ・ギブソン”という感じの甘く、太い、素晴らしいトーンです。例えば、フラットワウンドの弦を張れば、ストレートなジャズのサウンドにも対応できそうです。同じくクリーンで、ピックアップのセレクターをセンターにセット。適度に中低域が削れたチャンキーなサウンドは、ファンク系の音楽や、歌モノのバックのコードワークにハマりそうです。フロントを歪ませると、御覧の通り、甘く、太く響きます。サステインも非常に長いので、歪みを強くすればメロディアスなプレイをする時のジョン・サイクスのようなニュアンスも出せそうですし、このくらいの歪みであればサンタナ、さらに歪みを少なくしてアンプのセッティングをブライトにすればラリー・カールトン等、セッティングと弾き手の個性で、様々なサウンドを作り出せそうです。

 ここまで、バリトーン・スイッチは全て1ですが、バリトーン・スイッチを変えていくとさらにサウンドのバリエーションが広がります。動画では、まず1でカッティング。続いてスイッチを2に切り替えて同じフレーズを弾くと、歪み成分が少なくなり、軽やかになっていることがわかります。3ではよりブライトで軽やかになり、カッティングには最高の音になります。4ではよりブライトですが、フィルター感も強まり、ワウを途中で止めたような音になります。5はさらにその傾向が進み、本当にワウ半止め(高域寄り)のようです。6はすっかり低域がなくなり、小型ラジオから流れる音のようにシャリシャリしています。

 今回の試奏フレーズではバリトーン・スイッチの2か3のハマりが良いように思いましたが、例えば単音でミュートしながら弾くバッキング系のフレーズでは、4や5もハマりそうですし、6にファズをかけても面白そうです。もちろん、1の状態でのセミアコとしての基本的なサウンドの素晴らしさは、最初に聴いていただいた通りです。ネックの握りや、ボディのバランス等、弾き心地も文句なし。ビンテージでは専用ケーブルが必要なステレオアウトの個体が多いようですが、本器は通常のケーブルが使えるモノラルアウトを採用している点も実用的で好印象です。そしてビンテージ感溢れるサンバースト・カラーも最高でした。セミアコと言えばES-335が定番ですが、このES-345も、もっともっと注目して欲しい素晴らしいギターです。


※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは10月3日(金)を予定。

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製品情報

Gibson Memphis / 1964 ES-345

価格:¥503,000 (税別)

【スペック】
●ボディ:ラミネイト・メイプル●ネック:マホガニー●指板:ローズウッド●フレット:22●ピックアップ:MHS ハムバッカー×2●コントロール:ボリューム×2、トーン×2、バリトーン・スイッチ、3ウェイ・ピックアップ・セレクター●カラー:ヒストリック・サンバースト
【問い合わせ】
ギブソン・ジャパン http://www.gibson.com/
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