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アナログ・コンパクト・ディレイの世界基準!「BOSS DM-2/DM-3」

BOSS / DM-2 Delay、DM-3 Delay

  • 文:西岡利浩
  • 写真・動画撮影:雨宮透貴

大型のテープエコーが全盛だった1981年にリリースされ、瞬く間に市場を埋め尽くしたBOSS DM-2 Delay。アナログ・ディレイの名機として現在も多大な支持を集めるDM-2と、その後継モデルのDM-3を取り上げてみた。

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DM-2 Delay

DM-3 Delay

DM-2、DM-3〜その成り立ち

DM-2

DM-2(底面)

DM-2(右側面)

DM-2(左側面)

DM-2(上面)

DM-2(下面)

 1981年、BOSSからコンパクト・ディレイが登場したこと……それはギターを弾く者にとってはちょっとした事件でした。当時の空間系エフェクターはどれも高価かつ大型のものが主流だったからです。DM-2のエフェクト効果はテープエコーのシミュレートとなりますが、若い読者はテープエコーの動作はご存知でしょうか? 少し本題とは逸れますが、簡単に解説しましょう。

 まず、ギターやマイクからの入力音をカセットテープに録音したと仮定します。一般的なカセットテープ・レコーダーでは録音ヘッドと再生ヘッドが同じ位置にあるため、どちらか一方しか機能しません。しかし、テープエコーには録音ヘッドとは別の位置に複数の再生ヘッドが搭載されているため、録音をしながら何度も再生することが可能なのです。つまり録音されたテープが離れた(遅れた)場所で再生される事によりディレイ効果が生まれるという仕組みです。また、テープの再生速度を変える事により、その効果は複雑化するのです。

 そのような機能を持っていたテープエコーはビデオデッキほどの大きさがあり、テープのメンテナンスといったお手入れも必要で、何といってもかなり高価でした。そういったこともあり当時はテープエコーを使用できるアマチュアは限られていました。それがある日突然、低価格でメインテナンス不要なコンパクト・サイズのディレイが登場したわけです。事件なわけです。さらにテープエコーに比べ低ノイズであったこと、AC電源を必要としなかったことなども購入動機となり、それまで主流であったテープ・エコーからDM-2へ一斉に移行し、瞬く間に市場を埋め尽くしていく事になりました。

 その3年後の1984年、進化版となるDM-3がリリースされました。ディレイ・タイムは20msec~300msecと変わりませんが、高速応答ノイズ・リダクションや精密フィルター回路を搭載し、歪みやノイズを緩和しクリアな出力を実現しました。ダイレクト・アウトが搭載され、ドライ音/ディレイ音のステレオ出力が可能になったのも大きな仕様変更のポイントです。しかし、ツマミのデザインが良くないというユーザーが多く、ルックス面でDM-2の方が人気がありました。

DM-2、DM-3〜そのメカニズム

DM-3

DM-3(底面)

DM-3(右側面)

DM-3(左側面)

DM-3(上面)

DM-3(下面)

 デジタル・ディレイが一般的になった現代におけるアナログ・ディレイの必要性は、やはり“アナログならでは”の音でしょう。そのディレイ効果を生み出す“BBD素子”の仕組みを簡単に説明しましょう。バケツリレーで例えてみると分かりやすいでしょう。最初のバケツには水がいっぱい入っていて、それを次のバケツに移し変えるときに、少し水がこぼれるという繰り返しを想像してください。水がいっぱい入ってる時は信号が入力された直後という仮定です。バケツに入った水(信号)が次のバケツに移った時にその水(信号)が少しこぼれて(弱くなるイメージ)最終のバケツには水が無くなります。

 その間に複数のバケツを通過することになりますが、最後のバケツにたどり着くまでのバケツの個数が多いほどディレイ・タイムが長くなるのです。また、次のバケツに水を汲みかえるスピードが速いほどディレイ・タイムも短くなります。バケツに相当するパーツのBBD素子は入力された音の信号を記憶し、その信号はコンデンサに蓄えられます。入力信号の電位をコンデンサからコンデンサに移していく感じで動作する事により、ディレイ・サウンドを作る重要なパーツなのです。

 また、アナログ・ディレイとデジタル・ディレイの違いもコピー機を例にとって簡単に説明しておきましょう。

 アナログ・ディレイはコピーされたそれを更にコピーするイメージです。これを続けていくと、輪郭は甘くなります。似てるけども、元々の鉛筆書きの原稿よりは確実に劣化していきますね。入力された音が複製され音量も自動的に衰退していくものと考えれば良いでしょう。例えば「ヤッホー」と入力すれば、「ヤッホォォホォホォ……」と語尾だけ繰り返される感じです。一方デジタル・ディレイは、鉛筆書きした絵をスキャンして、同じものを何度もプリント・アウトしているような仕組みです。プリンタから出力される絵は何回プリントしても同じクオリティですよね。「ヤッホー」と入力すれば、しっかり聞き取れる感じで「ヤッホー」を繰り返し出力します。こんな風にとらえれば、アナログ・ディレイとデジタル・ディレイの違いがよりイメージしやすくなるのではないでしょうか。

DM-2、DM-3〜サウンド・インプレッション

 ここで、各ツマミの名称と機能を確認しておきましょう。

REPEAT RATE(ディレイ・タイムに相当):繰り返しのスピード。右に回すほど速くなる(ディレイ・タイムが短くなる)
ECHO(ディレイ・レベルに相当):エコーの深さ。右に回すほど深くなる(ディレイ音が大きくなる)
INTENSITY(フィードバックに相当):繰り返しの回数。右に回すほど回数が増える

 ディレイという効果を考えると、曲調およびテンポなどで如何様にもセッティングが変化するでしょう。そこで、ディレイの簡単かつスピーディーなセッティングのセオリーをご紹介いたします。

・まず、どのツマミもセンターに合せます。
・ギターの音を鳴らしながらツマミを1つずつフルにして効果を確かめる。
・各ツマミの効果がわかったところで好きなポイントにメモリを合せ決定する。

 こうすれば難しく思いがちなディレイの設定も容易に決定することが出来ます。

試奏に関して

 サウンドの特色を分かりやすくお伝えするため、シングルコイル・ピックアップのギターと、真空管アンプの代表的なモデルを使用した。

・ギター:ストラト・タイプ
・アンプ:マーシャルJCM2000

動画ではマーシャルをクリーンにセッティングし、試奏を行なった。

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