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図太い単音とコード感が際立つ歪み!「ACE TONE FUZZ MASTER FM-3」

ACE TONE / FUZZ MASTER FM-3

  • 文:西岡利浩
  • 写真・動画撮影:雨宮透貴

前々回ではファズの代名詞、“BIG MUFFを一挙6モデル”取り上げ、マニアから大きな反響を得たが、当コーナーのもうひとつの十八番と言えるのが“ジャパニーズ・ファズ”。Vol.6の“Roland / AF-100 BeeBaa”、Vol.13の“MIRANO / Exciting Fuzz EF-1”に続く第三弾として、ACE TONEのFUZZ MASTERを紹介しよう。

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ACE TONE FUZZ MASTER〜その成り立ち

 ACE TONEは1960年に設立されたエース電子工業株式会社のブランドです。主に電子オルガン、リズム・マシン、ギター・アンプ、エフェクターなどを生産していました。ビートルズやグループ・サウンズの爆発的な人気と共に、1963年より生産が開始されたギター・アンプや、後に登場するFUZZ MASTERなどのヒット商品により、その名は国内で知れ渡る事になります。

 ACE TONEのFUZZ MASTERには下記3モデルが存在します。
・FUZZ MASTER FM-1
・FUZZ MASTER FM-2
・FUZZ MASTER FM-3
 今回ご紹介するFUZZ MASTERは、最終モデルとなるFM-3です。

 FM-1はMAESTROのFAZZ TONEを参考にしたのでしょうか、筐体の形状もそれとかなり近い雰囲気で登場しました。発売当時のメーカー広告には「エレキのマジックサウンドはこれです。ローリング・ストーンズやベンチャーズが良く使う荒々しい音が出せる秘密兵器」とありました。なかなか刺激的な広告ですね。発売当時の定価は¥4,500でした。ちなみに当時の大卒初任給は1960年=約¥16,000、1965年=約¥24,000。現在の水準に換算すると、およそ40,000〜50,000円ですね。お値段も刺激的です。

 FM-2ではFM-1の筐体を横に二倍以上広げたサイズに変更されます。FM-1は単機能でしたが、進化を遂げ2種類の音色を出力することが可能になりました。出音はオクターブ・ファズに属しますが、スイッチで切り替えることにより、太いファズと高域を強調したファズの音色がチョイス可能に。発売当時のメーカー広告には「2種類のファズがワンタッチで出せる。グループ・サウンズの秘密兵器 リード・ギター ベース・ギターの必需品」とありました。発売当時の価格は¥4,900でした。

 そしてFUZZ MASTERシリーズの最終型、FM-3はさらにデラックスな位置付けで市場に投入されることになります。発売当時の価格は¥6,800でした。

FUZZ MASTER〜そのメカニズム

 コンパクト・エフェクター2台分くらいの横幅を持つ板金の筐体に、2つのフット・スイッチ、5つのツマミが取り付けられた黒いボディのエフェクターがFUZZ MASTER FM-3です。電源は9Vの006Pを1つ使用します。電池の交換はダイレクトに筐体を開いて行います。筐体の四隅に銀色のネジが配置されており、ツマミ側の両サイドのネジを緩めると、筐体が開き電池を交換することが出来ます。思いのほか勢いよく開く時がありますので、電池スナップの線材を傷めないよう注意しましょう。

 FM-2からの変更点として、FM-3はFUZZ機能だけではなく、BOOSTERの機能も追加され複合エフェクターに進化しました。サウンド面はFM-2がオクターブ・ファズ・サウンドだったのに対して、FM-3は以前ご紹介したMIRANOのEXITING FUZZのような図太い歪みから、高域がギンギンのファズ・サウンドまでカバーするファズ・トーンに変更されました。また、簡単にハイゲイン・アンプを使える環境ではない時代に、BOOSTERは一体どういう風に使われていたのでしょうか? 驚くかもしれませんが、まだまだPA環境が良くなかったということもあったのでしょう、なんとボーカル・マイクを繋いで使用したことも多かったようです。

 このFM-3にはICは全く使用されていません。しかし現代でも十分に活躍できる歪みサウンドをクリエイトできます。取り扱いにおいての注意点は、FUZZサイドVOLUMEがエフェクターの電源スイッチを兼ねているという点です。入力ジャックにプラグが接続されていなくても、このVOLUMEのスイッチが入っている限り電池は減っていきますので切り忘れのないように。

FUZZ MASTER FM-3

FUZZ MASTER FM-3(底面)

FUZZ MASTER FM-3(右側面)

FUZZ MASTER FM-3(左側面)

FUZZ MASTER FM-3(前面)

FUZZ MASTER FM-3(背面)

FUZZ MASTER FM-3〜サウンド・インプレッション

 ブースター・モードとファズ・モード、各ツマミのポジションとサウンドの変化をまとめてみましょう。

BOOSTER MODE:VOLUME、TONE共に綺麗に可変します。TONEの可変幅はかなり広いですが、こもらせる方向はせいぜいハウリングのカットで使う程度と考えていいでしょう。

FUZZ MODE:VOLUME、TONEはBOOSTER MODEと同じく綺麗に可変します。TONEに至っては可変幅が非常に広いので、活用できるジャンルも多岐に渡るでしょう。TONEを絞ると、聴感上の音量が下がる感じがするので、VOLUMEで補正してください。出音を決定付けるのはこのツマミになりますので、じっくり良いポイントを探してください。ただし、SUSTAINのツマミは半分を超えると、あまり変化を感じません。ハウリング対策を考慮し、良いポジションを探しましょう。

 FM-3の利点はコード感のあるファズ・サウンドを出せるところなので、バッキングからリードまで様々なフレーズと相性が良いでしょう。また、歪みが強く単音でも音の輪郭がしっかり出るので、単音フレーズを曲中に導入するヒントにも繋がるでしょう。ファズという音色の性質上、オーバードライブのように細かなニュアンスは表現しにくいものの、その強く太い歪み感はもはやピックアップがシングルコイルなのかハムバッカーなのかわからないくらいです(笑)。そこから考えると、ピックアップの相性はあまり気にしなくても良いでしょう。ただし、シングルコイルはノイズの成分もきっちり歪みます。

 ファズ・サウンドと言えば、やはりその時代のフレーズが似合うような気がしますが、積極的に新しいサウンドをクリエイトしていって欲しいと思います。FM-3はコード感も出るし、チョーキングにもしっかりついてきます。試奏動画では音の粘り感がよくわかるように、ダブル・チョークや速いフレーズもチェックしています。是非、ご自身のスタイルの参考にしてください。

試奏に関して

サウンドの特色をわかりやすくお伝えするため、シングルコイル・ピックアップのギターとハムバッキング・ピックアップのギター、真空管アンプの代表的なモデルを使用した。

・ギター:ストラト・タイプ、レス・ポール・タイプ
・アンプ:マーシャルJCM2000

動画ではストラト・タイプ→レス・ポール・タイプとギターを変更し、マーシャルをクリーンにセッティングし、試奏を行なった。

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ACE TONE / FUZZ MASTER

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