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BOSS DS-1 Distortion 〜ディストーションの大定番!

BOSS / DS-1 Distortion

  • 文:西岡利浩
  • 写真・動画撮影:雨宮透貴

1978年の発売以来、37年もの長きに渡り生産され続けているDS-1。BOSSのディストーション1号機であると同時に、後発のディストーション・ペダルの原型にもなっている名機である。そのサウンドの秘密を紐解いてみよう。

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DS-1〜その成り立ち

 1978年、ついにこんなにカッコよく歪むエフェクターが登場したのか……DS-1はそんな驚きと共にデビューしたエフェクターでした。DS-1の数ヵ月前にOD-1が登場していますが、海外のロック・サウンドを聴いていた当時のキッズは、「大型真空管アンプのサウンドを再現」したとされるOD-1の歪みの少なさに、若干の不満を募らせていたのです。「大型真空管アンプってもっと歪むでしょ?」。そんな気持ちを一気に晴らしてくれたのがDS-1でした。まだまだ歪まないアンプが主流の当時に、このDS-1は衝撃的に歪んでくれました。ファズともオーバードライブとも違うそのメタリックな歪みは、アマチュア・ギタリストの強い味方になりました。

 NWOBHM(80年代初頭のイギリスHR/HM)のムーブメントがまだ水面下の頃ではありましたが、着実に世界のバンド・サウンドは、よりハードに移行している時代でした。マイケル・シェンカーやエディ・ヴァン・ヘイレン、ジューダス・プリーストらのフォロワーにとってDS-1は欠かせない存在でした(それらは80年代に入り一気に加速していくことになります)。そんな中、エディ・ヴァン・ヘイレンや国内で人気急上昇中であった高中正義もステージやレコーディングでDS-1を使用しているという情報が流れると、よりその信頼性は増していき、持っておくべきエフェクターの代表になりました。

 ところが80年代も中盤に入り、“マーシャル完備”と銘打つ練習スタジオも増加傾向、いよいよ日本のギター・キッズも本物の大型真空管アンプに接する機会が増え始めました。それに伴い、本物の歪みを知ったアマチュア・ギタリストの手元からディストーションというエフェクターは徐々に遠のき、いつしかDS-1は廃盤となりました。しかしそれは日本のみの話。実はワールドワイドでは一度も生産が止まることなく続けられていたのでした(日本でも後に販売再開となる)。その後に登場する多くのディストーションの原型になっているDS-1は非常に理にかなった設計ゆえ、現在でも途切れる事無くロングラン生産されているのでしょう。世界のエフェクター史において非常に重要な位置にある1台です。

DS-1〜そのメカニズム

 DISTORTIONと聞いて真っ先に思い出すのはMXRのDistortion+でしょう。たしかエフェクターのネーミングで初めてDistortionという言葉を使ったのはMXRだと記憶していますが、Distortion+は設計上、現在ではオーバードライブの部類に属するので、DS-1の対抗機種には当たらないでしょう。当時のエフェクターの中では、MAXONのD&SⅡあたりが対抗機種になるでしょうか……。D&S系はファズの延長線上の設計でしたが、DS-1はTA7136というICを使用しています。クリッピングはソリッドさを表現しやすい正対称のダイオード・クリップです。原音も少し残っている点がD&Sより少しアンプ・ライクに聴こえるポイントかもしれません。入力するギターを選ばないところも良いですね。

 各ツマミ(コントロール)と機能はすこぶるシンプルです。
・LEVEL:音量の調整
・TONE:歪んだ音のトーンの調整
・DIST:歪みの強さの調整

 DS-1のコントロールはTONEが肝になっています。動画を参考にしていただくとわかりやすいですが、TONEを絞った状態から全開までのサウンドのキャラクターが非常に幅広く出ています。ただし、現代におけるTONEの解釈から言うとセンター以降は耳に痛いレベルまで出てくるので、音作りの際は12時より左側からベスト・ポジションを探してみてください。また、シングルコイルのギターだとピーキーなハウリングが出やすいので(動画4:50あたり)、絞り気味に設定しましょう。DISTツマミですが、3時あたりのポジションを過ぎると、急激に歪みが増します。逆にゼロから3時まではカーブが緩やかなので、TONEコントロールと絡めると、オーバードライブ的なサウンドを引き出すことが出来るのも優れたポイントでしょう。

BOSS / DS-1

BOSS / DS-1(底面)

BOSS / DS-1(右側面)

BOSS / DS-1(左側面)

BOSS / DS-1(上面)

BOSS / DS-1(下面)

DS-1〜サウンド・インプレッション

 もうこのサウンドはギンギン(笑)のロック・サウンドと非常に相性が良いでしょう。近年のJ-Popでは深い歪みのトーンが増えてきているので、そちらの方でも問題なく使えるでしょう。少し古いですが例えば、宇多田ヒカルの「Movin' on without you」のド頭のフレーズはDS-1ならすぐに作れそうな音ですね。

 右手と左手がきちんとリンクしてこそ初めてその効果が発揮されるのがエフェクター。シミュレーター等が世に出現してからは“アラを隠す”“弾きやすくする”のが良いエフェクターと感じる世代には扱いづらいかもしれませんが、この手のエフェクターを使いこなせるようになる事がステップアップの近道だとつくづく思い知らされる1台でもあります。例えばDS-1でリードを弾いた時に“ネバリが足りない”と感じたとすれば、自分のピッキングを疑えばいいのです。現行品もあり入手しやすいので、ぜひとも若いプレイヤーに手にとってもらいたい1台です。

試奏に関して

サウンドの特色をわかりやすくお伝えするため、ハムバッキング・ピックアップのギターとシングルコイル・ピックアップのギター、真空管アンプの代表的なモデルを使用した。

・ギター:LPタイプ、STタイプ
・アンプ:マーシャルJCM2000

動画ではLPタイプ→STタイプとギターを変更し、マーシャルをクリーンにセッティングし、試奏を行なった。

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