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  • 週刊ギブソン Weekly Gibson〜第51回

モダナイズされたエレクトリック・ベース Thunderbird Bass 2015

Gibson USA / Thunderbird Bass 2015

  • 文:坂本信
  • 動画撮影:編集部 録音協力:加藤和彦(オンキヨー) 映像編集:熊谷和樹 取材協力:Gibson Brands Showroom TOKYO

今週は、1963年にデビューしたギブソン・ロック・ベースの代名詞、サンダーバードの2015年版を取り上げます。モダンで使える仕様になった本器の魅力を、試奏動画にてお伝えします。

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オリジナリティと最新機能の融合

 ギブソンを代表するベースのひとつ、サンダーバードは、姉妹モデルと呼べるギター/ファイアーバードと同じく1963年にデビューしました。1弦側の肩の部分が張り出た“リバース”と呼ばれるボディは今見ても斬新ですが、これは楽器とは畑違いの自動車のデザイナーとして有名だった、レイモンド・ディートリックによるデザインでした。ボディの中央部とネックを一体化し、その両側にボディを貼り合わせるという“スルーネック構造”を取り入れていたという点でも先進的でした。ペグを一直線に並べたヘッド・デザインとスケール(弦長)は、当時エレクトリック・ベース市場を席巻していたライバル・メーカーと共通ですが、サンダーバードはライバル・メーカーの製品とはまったく世界観の異なる、強烈な個性を持っています。ギブソンが得意とするハムバッキング・ピックアップを搭載したサンダーバードは、サウンドも個性的かつ魅力的で、オリジナル・モデルの製造本数は少なかったものの、1976年のアメリカ建国200年記念モデルを始め、機会あるごとに再生産されるほど根強い人気を維持しています。

 今回紹介する2015年モデルは、オリジナルのデザインと構造を受け継ぐ一方、電装関係やハードウェアを見直し、楽器としての基本性能に磨きをかけた1本に仕上がっています。最大の特徴は、弦の振動をロスなくボディに伝えるバビッツ製ブリッジと、コイルタップ機能を備え、ポールピースを露出させることで、よりモダンでブライトなサウンドを実現したハムバッキング・ピックアップです。

  

 それでは本器のサウンドを動画でチェックいたしましょう。

ブライトでサステインの効いたサウンド

 本器では、新しいピックアップとブリッジの採用に加え、ローズウッド指板の厚みもやや増してあります。これらの相乗効果で、スルーネック構造の強みでもあるサステインがより豊かになっているのと同時に、サウンド面でも高音域と低音域の両方向にレンジを広げた印象です。ピックアップのマグネットには、“プクプク”という太くて心地良いアタック音が特徴のアルニコVを採用しており、豊かになったサステインにアタックが埋もれてしまうことはありません。チューブ・アンプでドライブさせた時にも、明瞭なアタックが維持されるでしょう。コイルタップ機能をオンにする(ピックアップはシングル動作)と、オフ(同ハムバッキング動作)の時に比べて出力がやや落ちますが、その分サウンドがブライトになるので、好みや音楽スタイルに応じて基本の設定を選び、それに合わせてアンプなどの調節を行うのが良いでしょう。

 サンダーバードと言えば、その洗練されたデザインとは裏腹の野太いサウンドが魅力でしたが、2015年モデルではそこにモダンでブライトなサウンドという選択肢が加わりました。ロー・ポジションからハイ・ポジションまで均一なグリップ感のネックとスムーズな指板は演奏性も高く、奏法も含めて応用範囲を一気に広げた、これぞまさに新時代のサンダーバードと言えるでしょう。


※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは5月22日(金)を予定。

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製品情報

Gibson USA / Thunderbird Bass 2015

価格:¥320,000 (税別)

【スペック】
●ボディ:マホガニー ●ネック:マホガニー/ウォルナット(9プライ) ●指板:ローズウッド ●フレット:20 ●ピックアップ:EB Bass×2 ●コントロール:ボリューム×2、トーン×1、コイルタップ・スイッチ×2 ●チューナー:グローバー・チューリップ・ベース
【問い合わせ】
ギブソン・ジャパン http://www.gibson.com/
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